2014年11月3日月曜日

婦人科USMLE 2CK対策

 

§Menarche and Normal femal development

Thelarche: 乳房の発達; 8~11歳の間に生じる

Menarche: 初経; 10-16歳の間に発生; 通常はTanner4以降で生じる

女児の性発達: Thelarcheから

男児の性発達: 精巣発達から

 

 

§正常月経周期

①卵胞期1-13日=増殖期

変化するが、~13日が普通

↑FSH→卵胞成長→↑エストロゲン産生

Straight glandsとthin secretions of the uterine liningの発達が認められる

②排卵14

LHとFSHのSpike→卵胞の破裂と成熟卵子の放出

③黄体期15-28日=分泌期

14日間はLHの刺激なしで黄体持続が可能

黄体はエストロゲンとプロゲステロンを産生し子宮内膜の発達を促す

着床なしには黄体は維持できないで、次第に子宮内膜も剥がれ落ちていく

§Menopause

卵胞発育の停止の結果、12か月以上月経が停止すること

 

*病歴/PE

平均年齢は51歳

症状=hot flashes, 腟萎縮、不眠、性欲減退

premature menopauseは40歳以前に閉経が生じること

 

*診断

臨床的診断をする

次の検査はルーチンではないが、診断の助けとなる

Labs: ↑FSH、↑LH

Lipid profile: ↑総コレステロール、↓HDL

 

*治療

①vasomotor symptoms

1. HRT

HRTのリスク: 乳がんのrisk↑、心血管系の死亡率↑

HRTの禁忌: 腟出血、乳がん、未治療の子宮内膜癌、血栓症の既往、慢性肝不全、高TG血症

2. NHRT: SSRI/SNRIs, clonidine, gabapentin→頻回のhot flashに対して

②腟萎縮→estrogenの局所調合剤preparation

③骨粗鬆症

DEXAでBMD(bone mineral density)を測定

カルシウムとVitD投与と運動±ビスホスホネート

 

*KEY FACT: 昨今はHRTが1st lineとして推奨されていない

*KEY FACT: 女性が閉経したら、骨粗鬆症のスクリーニングをルーチンで行うべきである

*KEY FACT: 複数の性行パートナーがいることや妊娠歴がないことはIUDの非適応理由とはならない

*KEY FACT: 避妊薬は子宮内膜腺癌と卵巣癌の予防となる

 

 

§避妊法contraception

Sexually activeで避妊具を使用しない女性の85%は1年以内に妊娠する

①表2-12-1: 各種避妊法の利点、欠点

MOST EFFECTIVE>99%

方法

機序

利点

欠点

Implanon(progestinのみ)

排卵を阻害する

↑頚部粘液粘稠度

3年まで有効

除去後は即座に妊娠可能

安全に授乳できる

体重増加、鬱、不定期

IUD with プロゲスチン(Mirena)

異物を入れることで炎症→プロゲステロンは頚部肥厚と子宮内膜の脱落膜化をもたらす

5年間有効

除去後即座に妊娠可能

安全に授乳できる

Lighter period, less cramping

Spotting(6か月まで)、ニキビ

1/1000に子宮破裂

Cf. IUDは性病から3か月は時間を置く

Copper T IUD(ParaGard)

異物をいれることで炎症; 銅が殺精子効果

10年まで効果的

除去後即座に妊娠可能

安全に授乳

↑cramping, bleeding(5-10%)

1/1000に子宮破裂

外科的非妊(vasetectomy, tubal ligation)

 

永久に効果がある

安全授乳

Tubal ligation: 不可逆、↑異所性妊娠

Vasectomy: 2回の精子(-)所見を待てないために失敗する

Very EFFECTIVE: 90-99%

方法

機序

利点

欠点

Depo-Provera(メドロキシプロゲステロン)

IM injection3か月毎

Lighter or no periods

Shot毎に3か月効果がある

安全授乳

不定出血、体重増加

BMD骨密度の減少(可逆)

中止後、妊孕性回復まで10か月かかる

Ortho Evra(the patch)

弱力価エストロゲンとプロゲスチン合剤の貼付剤

月経周期がより整調に

週ごとに貼付

血栓塞栓症のリスク↑(特に喫煙者と35歳以上の患者)

NuvaRing(the ring)

LDプロゲスチンとエストロゲンの腟リング

月経周期がより整調に

3週間: continuous;

1週間: no ring

安全に継続使用できる

おりもの↑

Spotting(はじめの1-2か月)

OCPs

①FSH/LHを阻害し、排卵を抑制する

②頸管粘液↑、脱落膜化

↓卵巣癌、子宮内膜癌

予見可能で、lighter, less painful な月経に

ニキビ改善効果

中止で即座に妊娠可能に

毎日のむ必要がある

Break through(10-30%)

血栓塞栓リスク↑

プロゲスチンのみ”minipills”

頸管粘液の肥厚

安全授乳

毎日しっかり摂取する必要

Moderately Effetive: 75-90%

方法

機序

利点

欠点

Male condoms

ラテックス

唯一のHIVを含むSTDsを予防できる方法

アレルギーの可能性あり

Diaphragm with spermicide

 

STDsの予防となる

提供者にフィットさせてもらわないといけない

Female condom

 

STDsの予防になる

使用が難しい

月経周期を考える

 

副作用なし

相手の参加が必要

STDs/HIVの予防法とならない

Less effective: 68-74%

方法

機序

利点

欠点

Withdrawal

 

副作用がない

STDs/HIVの予防法とならない

1stとして推奨できない

Spermcide

 

2nd methodとして使用する

1stとして推奨できない

 

②表2-12-2: 避妊法の禁忌

エストロゲンを含むホルモン療法

IUDs(Mirena and Copper)

妊婦

血栓症の既往がある

乳癌

未診断の性器出血

エストロゲン依存性の癌

良性/悪性の肝腫瘍

35歳以上で、喫煙者(最近まで継続)

妊娠が疑われる

未診断の性器出血

最近のpurulent化膿性頸管炎

Active(3M以内)/ 最近のPID

有症状のアクチノミセス症

Bicornuate/ septate uterus

頚癌、内膜癌

Pap smearで扁平上皮癌か2つの非典型的pap smear

弁置換術か人口関節

①Copper T alone

銅の不耐症(アレルギー、ウィルソン病)

重度の月経異常、menorrhagia

②Mirena alone

レボノルゲストレルアレルギー

乳癌

急性肝障害、肝腫瘍

 

③表2-12-3: 緊急避妊法EC

方法

利点

欠点

Morning-after-pill

①エストロゲンとプロゲスチンの併用(75%に効果)

②プロゲスチン単剤(80%に効果)

OTCとして利用できる

着床後のembryoを損傷しない

Bridge contraceptionとして使用可能

全ての女性に安全に使用できる

上記と同じ

吐き気、嘔吐が少ない

EP合剤より効果的

吐き気、嘔吐、疲労感、頭痛、めまい、乳棒の圧痛

STDsの予防とならない

上記と同じ

Copper T IUD(99%に効果)

ECとして使用可能で

高価

プロバイダーに挿入してもらう必要

STDsの予防とならない

 

 

§月経周期の異常

(1)1度無月経、思春期晩発症

*病歴/PE

①二次性徴の特徴を欠いている

1. 一貫性のある成長遅延

2. 原発性卵巣機能不全: Turner症候群が最多。放射線治療と化学療法の治療歴の有無を確認。

3. 中枢性卵巣機能不全: 様々な原因が考えられる

栄養不足、ストレス、高プロラクチン血症、運動

CNS腫瘍、頭頸部放射線照射

Kallmann’s syndrome(anosmia合併)

 

②二次性徴の特徴を認める

ミュラー管無形成; 腟の2/3が形成されない、子宮の異常

Imperforate hymen: hematocolpos腟留血、bulging(突出した)hymenを認める

完全androgen不応症→乳房発達は生じるが、無月経や恥毛を認めない

∵乳房発達はテストステロンのアロマタイゼーションによるエストロゲンへの変化で生じるから

 

*診断

①妊娠検査を施行せよ

*KEY FACT: 1度無月経も2度無月経も妊娠検査が初めに施行すべき検査である

 

②骨年齢(PA left hand)を検査する⇒骨年齢は思春期の開始と一致するから

1. 患者が低身長で、骨年齢が12歳未満であれば、単純な成長遅延が原因だと考えられる。

単純な成長遅延の最多原因は原発性無月経である。

2. 骨年齢が12歳以上だが、二次性徴のサインを認めなければLH/FSHのレベルを測定し、病変の首座がどこにあるのかを検索する。(HPA axis)表2-12-4参照

 

GnRH

LH/FSH

E/P

病因論

Constitutional

Growth delay

↓(思春期前の値)

思春期

Hypogonadotropin

Hypogonadism

視床下部or下垂体機能↓

Hypergonadotropic

Hypogonadism

卵巣がエストロゲン分泌できない

無排卵問題

PCOSかエストロゲンR×

解剖学的問題

正常

正常

正常

月経血が外に出られない

③卵巣を超音波で評価する

④通常の乳房発達、子宮(-)→karyotypeを検索し、アンドロゲン不応症を評価する

⑤通常の乳房発育、子宮(+)→プロラクチンを測定し、下垂体を調査する

 

*治療

①Constitutional growth delay: 治療を必要としない

②Hypogonadism: the lowest doseのエストロゲン単剤で治療を開始し、12~18か月後に周期的なestrogen/progesterone療法を開始する(子宮が存在するなら)

③解剖学的な無月経: 外科的治療を要する

 

(2)2度無月経: 6か月間、月経を認めない

*診断

妊娠検査を施行せよ

もし陰性なら、TSHとプロラクチンを測定する

1. TSH↑: 甲状腺機能低下症を示唆する

2. プロラクチン↑(LHとFSHの分泌を抑制する): 下垂体病変を指摘する

→MRIでプロラクチン産生腫瘍を検索

プロゲスチンチャレンジングテストを施行する(10日間プロゲスチン投与する)

1. プロゲスチンチャレンジ(+)=消退出血を認めるwithdrawal: 非周期性のゴナドトロピン分泌による無排卵を示唆する→PCOSや医原性無排卵の存在が考えられる

2. プロゲステロンチャレンジ(-)=無出血: 子宮異常かエストロゲン不足を示唆する

表2-12-3を参照

 

Cf. プロゲスチン投与

①消退出血withdrawal bleed

1. LH上昇: ↑PCOS、↑↑premature manopause

→エストロゲン出ているのだが…

2. LH減少: ↓特発性無排卵

②消退出血認めない: estrogenも↓

1. FSH上昇: 高ゴナドトロピン性性腺機能不全、卵巣不全

2. FSH減少: cyclic estrogen/progesterone testを追加

a. 消退出血: 低ゴナドトロピン性性腺機能不全

b. 消退出血(-): 子宮内膜or解剖学的問題

高血糖を示唆する(多飲、多尿)か低血圧: デキサメサゾン1mg抑制試験を施行し、CAH(先天的副腎過形成)、クッシング症候群、Addison病を鑑別する

臨床的に男性化徴候virilizationを認めるとき: テストステロン、DHEASと17-hydroxypogesteroneを測定する

1. mild pattern: PCOS, CAH, クッシング症候群

2. moderate~severe pattern: 卵巣腫瘍か副腎腫瘍を検索する

 

*治療

①Hypothalamic視床下部: 原疾患を治療し、ゴナドトロピン分泌を促進して排卵を促す

②Tumors: 切除する。Medical therapy forプロラクチン腫瘍(ブロモクリプチン、カベルゴリン)

③premature ovarian failure(<40 yrs): もし子宮が存在するのであれば、HRT(エストロゲンとプロゲスチン)で治療する

 

(3)原発性月経困難dysmenorrhea

病的所見がない状態で、月経周期に適合した月経時痛を認める。血管収縮、低酸素、過剰なPGF2αによる収縮持続に起因する。

*病歴/PE

①下腹部中心に痙攣性pelvic painを生じ、しばし背中や大腿に放散する。

②月経初日から3日目に発生し、しばし吐き気、下痢、頭痛、flusingを伴う。

③Pelvic examで所見を認めない

 

*診断

除外診断を行い、2度月経異常を除外する。

 

*治療

NSAIDs; 局所温熱治療heat therapy; combined OCPs; Mirena IUD

 

(4)2度月経困難 dysmenorrhea

原因が存在する月経痛。子宮内膜症、腺筋症、fibroids子宮筋腫、癒着、ポリープ、PIDによることが多い。

 

*病歴/PE

①触知される子宮、cervical motion tenderness、附属器圧痛、腟・頚部分泌物、visible vaginal pathology(粘膜裂傷、塊、prolapse脱出。しかし、腹部検査や骨盤検査に所見を認めない場合にも、病気を否定できない。

②子宮内膜症と腺筋症を区別するための特徴(表2-12-5参照)

鑑別点

子宮内膜症

腺筋症

定義

子宮内膜機能層と基質が子宮外に

子宮筋層内に子宮内膜

病歴/PE

周期的な骨盤、直腸痛と性行時痛

古典的なトリアス: 非周期的疼痛、menorrhagia、肥大した子宮

診断

Laparoscopyかlaparotomyによる直視が必要

典型的所見=blue-black(raspberry)/ dark brown(powder-burned)

卵巣の子宮内膜症(chocolate cyst)

USが効果的だが、子宮筋腫と腺筋症の鑑別ができないこともある

MRIは診断の一助となるが費用が掛かる

最終的には病理診断

治療

①薬物療法: 排卵を抑制

OCPs、GnRH analogs, danazol, NSAIDs or progestins

②保存的外科手術: 切除、cauterization焼灼、ablation of the lesions、付着部を溶かす。20%の患者は治療後も妊娠可能

③根治的外科手術

total abdominal hysterectomy(TAH)/ bilateral salpingo-oophoorectomy(BSO)

完全な子宮除去術、卵巣卵管摘除術+/-付着部溶解

①薬物療法: 主に症状緩和

NSAIDs+OCPs or プロゲスチン

②保存的外科手術

子宮内膜掻爬、摘除(子宮鏡下)

深部の腺筋症の肝前摘除は難しく失敗することが多い

③根治的外科手術

子宮摘除術が唯一の完治術である

合併症

不妊症(30歳以上の女性に最多)

子宮内膜癌に移行することは稀

 

*診断

①βhCGを測定し、異所性妊娠を除外する

②以下の検査をorderする

1. CBC: 感染や腫瘍を除外する

2. 尿検査UA: UTIを除外するため

3. gonorrhea/ chlamydia swabs: STDs/PIDを除外するため

③痛みを惹起する骨盤病変を検索する(表2-12-5参照)

*治療: 病態に則した治療を行う。

 

(5)異常な子宮出血

通常の月経出血は2-7日間で終わる。機能異常性の子宮出血は、以下に定義されるような除外診断を行う。

①基礎疾患のない異常な子宮出血

②排卵を伴ったり、伴わなかったりする

*KEY FACT: 閉経後の性器出血は他の疾患が診断されない限り、癌であると考える

 

*病歴/身体所見

①出血の程度を査定する

1. Oligomenorrhea稀発月経: 月経期間の延長(35-90日周期)

2. polymenorrhea頻発月経: 21日未満のサイクル; 無排卵

3. menorrhagia過多月経: 出血量が増加する(1周期に80ml以上)、出血期間延長(>8日間); 貧血を惹起することがある

4. metrorrhagia不正子宮出血: bleeding between periods

5. Menometrorrhagia機能性子宮出血: 過剰で不定期の出血

②Pelvic examination骨盤検査: 肥大した子宮、頚部mass、筋腫、妊娠、頚癌を検索する

Meno-: 過剰

Metro-: 不正な

 

*診断

①βhCG: 異所性妊娠を除外する

②CBC: 貧血を検索する

③Pap smear: 頚癌を除外する

④TFTs: 甲状腺機能異常、高プロラクチン血症を除外するため

⑤血小板数、PT/PTT: vWF病、11因子欠損症を除外するため(特に青年期の患者)

⑥超音波検査: Uterine mass、PCOS、子宮内膜肥厚を検索する

⑦子宮内膜生検を施行すべき

1. 閉経後の女性において子宮内膜が4mm以上の厚さである場合

2. 35歳以上で、子宮内膜過形成のリスク因子(肥満、DM)を有している場合

 

*治療

①過剰出血

1. 高用量estrogenIV: 子宮内膜を安定させ、典型的には1時間以内に出血を停止させる

2. 出血が12-24時間以内に制御できないときには、D&Cが適応される

Cf. D&C=dilation & curettage子宮内容掻爬術

②排卵時出血

1. NSAIDs: 出血量を減らす

2. 循環動態安定しているならば、OCPsかMirena IUDを処方する

*KEY FACT: 異常な子宮出血の1st lineはNSAIDsである(出血量↓を見込める)

*KEY FACT: menorrhagiaに対してOCPsとMirena IUDは非常に効果的な治療法である

*KEY FACT: 異常な子宮出血の合併症は、貧血と子宮内膜過形成+/-癌

③無排卵性出血

1. 目標は、増殖期の子宮内膜を分泌期の子宮内膜に変化させる

→子宮内膜過形成や子宮内膜腺癌になるリスクを抑える

2. プロゲスチンを10日間処方する : 消退出血を促すために

3. デスモプレッシン: vWFと第VIII因子↑のために(血液病をもつ若年患者)

4. OCPs

5. Mirena IUD

④薬物療法が失敗した場合

1. D&C

2. 子宮鏡: 子宮内膜ポリープを特定したり、直接に子宮内膜生検を施行する

3. 子宮摘除術、子宮内膜除去術ablation

a. 薬物療法が失敗した患者や、hormone療法を望まない患者

b. 有症状の貧血、持続的・非定期的出血によりQOLが減少している患者

 

 

§Reproductive Endocrinology

(1)先天的副腎過形成

①21-hydroxylase def: 最も重症かつ多; 不明瞭な生殖器と致死的な塩類消失として現れる

②11β-hydroxylase def: まれ

*病歴/PE

多毛、ニキビ、無月経、異常な子宮出血、pelvic massを触知する

 

*診断

↑アンドロゲン(testosterone>2ng; DHEAS>7μg/mL): 副腎もしくは、卵巣腫瘍を除外する

↑Serum testosterone: 卵巣腫瘍が疑われる

↑DHEAS: 副腎異常が疑われる(adrenal tumor, クッシング症候群、CAH)

↑17-OH progesterone levels(basally or ACTHに対する反応)

 

*治療

グルココルチコイド: 新たな末端毛髪の成長を阻害する(既存の多毛は残る)

レーザー治療、電気掻破、定期的な脱毛などで不要な毛髪を除去する

*KEY FACT

①Hirsutism=male hair pattern

②Virilization=前頭部のはげ、陰核拡大、声が低い

③defeminization=↓Breast size; loss of feminine adipose tissue

 

(2)PCOS

アメリカの妊娠可能女性におけるPCOSの有病率は6-10%。診断には次の3つのうち二つを満たす必要がある。

①Polycystic ovaries

②Oligo-/Anovuation

③臨床的もしくは生化学的に高androgen症を認める必要がある

 

*病歴/PE

①高血圧と肥満を検索する(BMI>30)
②高アンドロゲン症のStigmata徴候、インスリン抵抗性を検索する: 月経周期の異常、多毛症、肥満、にきびなど

③PCOSをもつ女性は次のリスクが上昇する

1. DM2(子宮体癌↑よりも強い関連)

2. インスリン抵抗性

3. 不妊

4. メタボリック症候群: インスリン抵抗性、肥満、athelogenic dyslipidemia、高血圧

 

*診断

①生化上の高アンドロゲン血症: ↑テストステロン(total±free); DHEAS, DHEA

②高アンドロゲン血症の他の原因を除外する

1. TSH, prolactin

2. 17-OH progesterone: CAHを除外するため

3. クッシング症候群や先端肥大症のscreeningも考慮する

③代謝異常を評価する

1. グルコース耐性の2時間値

2. 空腹時脂肪とリポ蛋白量(HDL, LDL, TG)

④選択的検査

1. 超音波検査: 8個以上の卵胞形成を認める=pearl necklace sign; 2/3の患者に認める

2. ゴナドトロピン: ↑LH/FSH比(2:1)

3. free cortisolに対する24時間尿検査: 成人発症CAHやクッシング症候群を検索

 

*治療

①妊娠希望のない女性: OCPs、プロゲスチン、メトフォルミン(+or 他のインスリン抵抗性改善薬)

②妊娠希望のある女性: クロミフェン+/-メトフォルミンが1st line(卵巣刺激)

*KEY FACT: PCOSに対するHRTとプロゲスチンによる治療は子宮内膜過形成と癌のリスクを下げる

③症状に対する治療法

1. 多毛症: OCPsが1st line; 抗アンドロゲン薬(spironolactone, finasteride)とメトフォルミンも使いうる

2. 心血管系のリスク因子と脂質レベル: 食事療法、体重↓、運動+脂質代謝異常改善薬(スタチンなど)

 

*合併症

早期発症のDM2; 流産の危険↑; 乳がんと子宮がんの長期リスク↑

(3)Infertility

12か月以上unprotected sexをしているにも関わらず、妊娠できない

1度不妊症は、過去に1度も妊娠がないこと

2度不妊症は、少なくとも1度の妊娠経験があること

精子検査で異常→数日~数週後に再検査

 

 

§婦人科の感染症

(1)バルトリン管嚢胞、膿瘍

腺管の閉塞が痛み、腫脹そして膿瘍形成を惹起する

*病歴/PE

①性行疼痛を伴う両側入口面introitusの有痛性腫脹

②直径1-4㎝の変動性fluctuant腫脹を小陰唇下部に認める

③圧痛を認めた場合には感染がactiveであることが疑われる

 

*治療

①無症状の嚢胞: 無治療+/-warm soaks

②膿瘍: 吸引もしくは切除とドレナージ(word catheterを利用しての再蓄積予防)、クラミジアや他の病原生物の培養

③抗菌薬はcellulitisが存在しない限り不要

 

(2)膣炎

Vulvovaginal symptomsを生じる: 痒み、熱感、Irritation、異常帯下。

最多原因は細菌性膣症、腟カンジダ症、トリコモナス

 

*病歴/PE

①帯下の変化、異臭、irritation、灼熱感、腫脹、性行時痛、排尿困難

②通常の分泌物は次のようなもの

1. Midcycle estrogen surge: 透明、弾性があり、粘稠な分泌

2. 黄体期/妊婦: 厚く、白い分泌液、膣壁に付着する

③腟、vulva外陰、膣壁と頚管の検査を施行する

④白血球が大量に認められ、saline smearで微生物を認めなかった場合にはクラミジアを考える

 

*診断/治療

①頸管粘液検査: 腟のpH、アミン検査、wet mount(with saline)、10%KOH鏡顕

②大量の下り物、沢山の白血球とPID症状を有する患者は、クラミジアやgonorrheaを疑ってDNA検査と培養する→頸管炎の否定

③治療は病態に則したものを施行する

梅毒: ペニシリンアレルギーの場合にはペニシリン脱感作した上でペニシリン投与する

Cf. bacterial vaginosis: 1st=メトロニダゾール、チニダゾール

カンジダとの共感染を認めるときあり→+フルコナゾール150mg PO in a single dose

*KEY FACT: bacterial vaginosis細菌性膣症膣炎の診断

次にあげる4つのうち3つを満たす

①異常なwhitish-gray discharge

②腟pH>4.5

③amin test陽性

④Clue cellsが上皮細胞の20%を占める

 

(3)頚管炎

①子宮頚管の炎症。病因は次の通り。

1. 感染症(最多): クラミジア、gonorrhea、トリコモナス、HSV、HPV

2. 非感染: 外傷、放射線照射、癌

②病歴/PE

黄色

緑色の粘液性分泌液; cervical motion tenderness; PIDの他のサインを欠いている

③診断/治療: IDの項を参照

 

(4)PID

上部生殖管の感染: 1/3がN. gonorrhea, 1/3がクラミジア、内因性の嫌気性菌、好気性菌。

リスク因子: コーカシアンでない民族、膣洗浄douching, smoking, 複数の性行相手、prior STD, prior PID

*KEY FACT: IUDはPIDのリスクを上げない

*病歴/PE

①腹痛、発熱、冷感、月経異常、大量の頸管分泌

②Cervical motion tenderness(シャンデリアサイン)、付属器の圧痛

*KEY FACT: シャンデリアサインの言われ: 患者は触診のあまりの痛さにシャンデリアまで届くほど跳ね上がる→PIDを疑ったときに初めにすべき検査=Bimanual Pelvic examinationà シャンデリアサンを惹起

 

*診断:

①急性の下腹部痛や骨盤痛に加えて以下にあげるうち一つの所見がある

1. 子宮圧痛

2. 付属器圧痛

3. cervical motion tenderness

②白血球数>10000cells/μLはPIDにおいてpoor positive value and negative predictive value

③妊娠を除外するためにβhCGを測定する

④US所見: 肥厚/拡大したfallopian tubes、cul-de-sac(盲管)の液体、多発嚢胞、tubo-ovarian膿瘍(卵管卵巣膿瘍)

*Mnemonic: 急性の骨盤痛の原因; AROPEC

①A: appendicitis

②R: Ruptured ovarian cyst

③O: ovarian torsion/abscess

④P: PID

⑤E: ectopic pregnancy

⑥C: Corpus luteum cyst

⑦M: Mittelschmertz

→これらの鑑別方法

1. Corpus luteum cyst: 白血球↑やESR↑がない

→Ovarian capsuleが伸びることで痛みを感じる

2. Mittelschmertz: 月経中期の骨盤痛で排卵と関連して痛みを生じる

 

*治療

①培養結果を待たずに、抗生剤による治療を開始すべきである

性行パートナーにも診断/治療をすべきである。

②外来患者のレジメン

1. RegimenA: オフロキサシンかレボフロキサシン×14日間

±メトロニダゾール×14日間

2. RegimenB: セフトリアキソンIM×1 doseかセフォキシン×14日間

+プロベネシド+ドキシサイクリン×14日間

±メトロニダゾール14日間

③入院患者のレジメン

1. セフォキシンかセトテタン+ドキシサイクリン×14日間

2. クリンダマイシン+ゲンタマイシン×14日間

④外科療法

1. ドレナージを施行する: 抗生物質施行後もmassが残り; 膿瘍が4-6㎝以上で; massが盲管にあり、腟からのドレナージが可能な場合

2. 膿瘍がrectovaginal septum腟直腸中隔を分断し、vaginal membraneに固定しているときには、腟切開ドレナージが適応である

3. 患者の容態が悪化している際には、探査的腹腔鏡開腹術を施行する

4. 手術療法は、重症患者に対するTAH/BSO with lysis of adhesionから、妊孕性を維持したい女性に対する保存的治療まである

 

*合併症

①繰り返す感染症症状、慢性骨盤痛、性交時疼痛、異所性妊娠

②不妊(1回目の発症後10%、2回目の発症後25%、3回目の発症後50%)

③Fitz-Hugh-Curtis syndrome: 肝周囲炎、RUQ痛、異常肝機能、肩の痛み

*KEY FACT: 軽度で臨床的徴候を認めないPIDは、不妊、子宮外妊娠と慢性の骨盤疼痛の主な原因となる

 

(5)Toxic Shock Syndrome

黄色ブドウ球菌により発症し、タンポン使用者の月経開始後5日以内に生じることが多い。月経中の女性の発症率は6-7:100000/年である。非月経症例も月経中症例と同程度発生する。

*病歴/PE

①発熱(38.9℃~)、嘔吐、水様下痢が突然生じる

②びまん性の斑状紅斑をみとめる

③痒みのないconjunctivitisがよく認められる

④Desquamation落屑、特に手掌と足の裏、一般的に治癒過程に現れ、発症から1-2週間で生じる

 

*診断

血液培養陰性→前もって産生された毒素から作られ、細菌侵入はないから

 

*治療

①急速な補液 

②抗黄色ブドウ球菌薬(ナフシリン、オキサシリン)、ペニシリンアレルギーをもつ女性に対してはバンコマイシン

③ステロイド→疾患の重症度↓、発熱↓

④腎不全、心不全をmanageする

*KEY FACT: 急激な症状をもたらすので、急速補液と抗生剤投与が重要

*合併症

①死亡率: 3-6%

②3大死因: ARDS, intractable難治性低血圧、DICからの二次性出血

 

 

§婦人科腫瘍

(1)子宮筋腫 uterine leiomyoma(fibroids)

①悪性化は非常にまれ(0.1-0.5%)

②有病率はコーカシアンの中で25%、アフリカアメリカ人の50%

*KEY FACT: 閉経後も増大し続けるfibroidsは悪性のものを疑う

 

*病歴/PE

①多くの場合無症状

②症状

1. 出血

2. 圧感: 骨盤圧感、膨満感; 便秘と直腸圧、頻尿、尿閉

3. 痛み: 2次性月経困難、性交時疼痛

4. 骨盤症状: 硬い、無圧痛、不整膨大(lumpy, bumpy)、cobblestone uterus

 

*診断

①CBC: 貧血検索

②超音波: 筋腫検出するとともに、卵巣腫瘍を除外する

③MRI: 粘膜内、粘膜下の描出

 

*治療

①薬物療法

1. NSAIDs

2. ホルモン療法

3. メドロキシプロゲステロンかダナゾール: 出血停止、遅くする

4. GnRHアナログ(リュープロリドかナファレリン): 筋腫の大きさ↓、さらなる発達を↓、血管増生↓、手術前にも使用する

②手術療法: 有茎筋腫の捻転鬆に対して適応

1. 妊孕性のある女性: 開腹または子宮鏡下筋腫摘除術

2. 妊娠を終えた女性: 開腹または子宮鏡下子宮全摘/亜全摘

3. 子宮動脈塞栓術: ~25%に追加治療を要する

 

*合併症

不妊症: 筋腫が子宮腔を歪めさせ、IUDと同様の効果を生み出すと考えられている

 

(2)子宮内膜癌

Type1: 非典型的な子宮内膜の過形成に由来し、女性の生殖期系癌の中では最多

Type2: 漿液性か明細胞から発生し、よりaggressiveであるが、診断とmanagementはどちらのタイプも似ている

*病歴/PE

腟出血(early finding)

Pain(late finding)

Metabolic syndrome

*KEY FACT: 子宮内膜癌の80%に腟からの出血を認めるが、異常な出血を認めるのは5-10%だけである

 

*診断

子宮内膜、子宮頚管生検

Pelvic骨盤超音波検査所見: 肥厚した子宮内膜を示し、肥厚性変化と腫瘍性変化を示す

*KEY FACT: 無症状の女性に子宮内膜癌のスクリーニングは推奨されない

 

*治療

①妊娠可能年齢の女性: 高用量のプロゲスチン

②閉経後女性: TAH/BSO+/-放射線治療

③進行癌: TAH/BSO+アジュバンド化学療法

 

(3)頚管癌

上部1/3の頚管は円柱上皮からなる

下部2/3は扁平上皮細胞からなる

酸性のvaginal pHにさらされて、円柱上皮は扁平上皮に異形成する

SCJの細胞は発癌物質にさらされて、CINが起こる

①HPV DNAはすべての頚管癌の99.7%に認められる

HPV16: 扁平上皮癌に最もよく認められる

HPV18: 腺癌に最もよく認められる

②頚管癌の追加リスク因子は免疫抑制、HIVかSTDの既往歴、タバコ、多くの出産歴parityとOCPs

③Gardinal vaccineはHPV6, 11, 16, 18を予防し癌化予防になる

 

*病歴/PE

①Metrorrhagia不正性器出血, 性交後点状出血と頚管潰瘍

②血性、大量で、汚臭、掻痒感のない下り物をinvasion後に認める

 

* Screening

①ACOGのお達し: 21歳から頚管癌のスクリーニングをすべし

②sexually active womenは21歳以前からスクリーニングすべきだと考えられていたが、そのriskが低いことが今ではわかっている

③頚管癌のスクリーニングは次の通り

1. 2年ごとにPap semar with conventional cervical cytology

2. 2年ごとにPap smear with liquid-based cervical cytology

④30歳以上の女性で3連続で異常なしの所見が得られた患者では3年ごとに検査する

⑤30歳以上で高リスク群の女性にはHPV DNAによる検査を施行する

⑥70歳以上の女性で、3回以上陰性所見だった患者ではスクリーニングを中止する

⑦DES exposureや免疫不全の患者では、致死的な状況でない限りスクリーニングを継続する

⑧HPVワクチンを施行した人もスクリーニングを継続すべきである

*KEY FACT: 頚管癌と診断される女性の50%は3年間pap smearを施行しておらず、さらに10%は5年間pap smearを施行していない。

 

*診断

診断とフォローアップの方法は以下の通り

*KEY FACT: Pap smearの分類

Numerical数字

Dysplasia

CIN

Bethesda System

1

良性

良性

正常

2

炎症を伴う良性

炎症を伴う良性

正常、異型扁平上皮

3

Mild dysplasia

CIN1

LSIL

3

中等度dysplasia

CIN2

HSIL

3

重度のdysplasia

CIN3

HSIL

4

CIN

CIN3

HSIL

5

浸潤癌

浸潤癌

浸潤癌

*KEY FACT: 頚部病変のsubtype

①ASC-US: Atypical squamous cells of undermined significance

②ASC―H: Atypical squamous cells cannot exclude HSIL

③LSIL: Low grade intraepithelial lesion

④AGC: Atypical glandular cells of undermined significance

⑤HSIL: high-grade squamous intraepithelial lesion

①ASC-US: 非妊婦で、細胞診にてASC-US所見を呈する患者では次のような検査を施行する

1. HPV-testing

a. 陰性であれば: Pap smearを12か月後に施行する

b. 陽性であれば: Colposcopy

2. 6か月後と12か月後にcytologyを再施行する

a. Pap smearで6か月後12か月後共に(-)であれば、ルーチンのスクリーニングに戻る

b. Pap smearでASC-USかより高い異型度を認めた場合にはコルポスコピーを施行する

3. コルポスコピー

②ASC-H: 非妊婦であれば全てコルポスコピーを施行する

③LSIL: 非妊婦で、閉経前の患者はすべてコルポスコピーを施行し、以下のことも施行する

1. 不十分か、眼に見えない病変: 頚管sampling

2. CIN2, 3: 以下のCINのマネジメントを参照せよ

3. no CIN2,3: pap smearを6か月後と12か月後に施行し、HPV testingを12か月後に施行せよ

4. 閉経後の女性: HPV DNA検査か、コルポスコピーか、6か月後と12か月後のPap smearを再検する

5. 妊婦: 出産後6週までコルポスコピーは延期すべきdefer

④AGC

1. AGCを示すすべての女性はコルポスコピーとともに頚管サンプリングを施行せよ

2. 35歳以上の女性か、子宮内膜腫瘍を疑わせるような異常出血を認める患者にはコルポスコピーとともに頚管サンプリングと子宮内膜サンプリングを施行せよ

⑤HSIL: HSILを示す非妊婦には、コルポスコピーとともに頸管サンプリングを施行し、次のことを施行せよ

1. CIN2,3であれば、病変の切除または掻破を施行せよ

2. CIN2,3を認めなければ: 切除またはPap smearによる経過観察をし、1年間コルポスコピーを6か月ごとに施行する。又は、すぐにLEEPを施行する。

3. HSILが持続するならば切除術

4. 妊婦であれば、子宮頚管の掻破をしないコルポスコピーを施行すべきである

Cf. LEEP: 外来で行う。早期合併症=出血、感染。後期感染症=狭窄、頚管機能不全。

 

*治療

Non-inasive disease

①CINⅠ:

1. 主な治療法はclose observation

2. 21歳以上の女性に対してはPap smear screeningを6か月後と12か月後に施行and/or 12か月後にHPV DNA検査を施行する

3. 21歳以下の女性にはHPV testingは推奨されない

4. 2回のPap smear(-)所見かDNA検査(-)所見の後は、患者は1年ごとのルーチンF/Uをする

②CINⅠが継続する

掻破: Cryotherapy or laser ablation or

切除: LEEP; laser and cold-knife conization

③CINⅡ&

掻破: Cryotherapy or laser ablation or

切除: LEEP; laser and cold-knife conization

子宮切除: CINⅡかⅢが繰り返す場合に選択される

④掻破後か切除治療は以下の通り施行する

1. margin(-)のCINⅠ、Ⅱ、Ⅲ: 12か月後にPap smearを施行and/ or HPV testing

2. margin(+)のCINⅠ、Ⅱ、Ⅲ: 6か月後にPap smearを施行; 頸管内掻爬術の再施行を考慮する

3. margin不明: 6か月後にPap smearを取得し、HPV DNA testingを12か月後に施行する

Invasive disease

①Microinvasive carcinoma(StageⅠA1): 円錐切除術と入念なfollow upか単純子宮全摘術を施行する

②StageⅠA2,ⅠB1、ⅡA: 根本的な子宮切除

+chemoradiもしくは、放射線療法単独/化学療法単独

 

*診断

①頚管癌の5年生存率はコーカシアンで68%、Africaアメリカ人で55%

②生存率は癌のステージに反比例する

Stage0: 99-100%

Stage1A:>95%

Stage1B-2A: 80-90%

Stage2B: 65%

Stage3: 40%

Stage4:<20%

③未治療頚管癌患者の約2/3は尿毒症で死亡する(両側の尿管閉塞で)

 

(4)Vulvar Cancer

リスク因子: HPV type16, 18, 31、Lichen sclerosus、低頻度のmedical exams, DM, 肥満、高血圧、心血管疾患、免疫不全。

Vulvar intraepithelial neoplasia(VIN)は前癌病変で、閉経前女性に多く認められる。

*病歴/PE

①掻痒感、痛み又は中心性潰瘍ulcer of the mass

②その他の症状は以下の通り

1. Early: 病変: 白く、pigmented、盛り上がっており、分厚くて、結節状か潰瘍状

2. Late: vulvaに大きいか、カリフラワー様か、硬い潰瘍状領域を認める

 

*診断

病変部か掻痒が持続する部位で、Vulvar punch biopsy

 

*治療

①High-grade VIN: 局所的化学療法、Laser ablation、拡大切除、Skinning vulvectomy

②Invasive

1. Radical vulvectomyと局所的リンパ節切除

2. 腫瘍局所の拡大切除と鼡径部リンパ節切除+/-手術前放射線療法か化学療法又は両方

 

(5)Vaginal cancer

婦人科癌の1-2%を占める

リスク因子: 免疫抑制、慢性的なirritation(長期のpessary使用か女性器のprolapse)、low SES、頚管癌に対する放射線照射、異型性に対する子宮切除、複数の性行相手、DES exposure。

病因は以下の通り

①Postmenopausal: 扁平上皮癌が多い

②Younger women: 扁平上皮癌以外のものが多い(例: 腺癌、DESによる明細胞癌)

*病歴/PE

①異常な腟からの出血、異常な下り物、性交後出血

②75%の患者で腟の上1/3に認められる

 

*診断

細胞学、コルポスコピー、生検

 

*治療

①小さくて少数であれば、局所切除

②腟粘膜広範に及ぶ→腟の部分切除か完全切除を施行する

③浸潤病変は放射線療法かradical surgeryを必要とする

 

(6)Ovarian cancer

多くの卵巣腫瘍は良性であるが、悪性のものは生殖期系癌の主要な死因である

リスク因子

①年齢、出産数少ないparity、妊娠歴少ない、遅い出産

②家族歴+、1親等に1人の卵巣癌+なら5%のリスク、1親等に2人以上なら7%のリスク。

③BRCA1 mutation+→45%が卵巣癌発症、BRCA2 mutation+→25%

④LynchⅡ症候群、Hereditary nonpolyposis colorectal cancer(HNPCC)

→大腸癌、卵巣癌、子宮内膜腺癌、乳癌のリスク↑

⑤OCPsを5年以上使っている→29%リスク↓

 

*病歴/PE

①良性腫瘍、悪性腫瘍ともに無症状であることが多い

②Mild, nonspecific GI symptomsか骨盤圧感/骨盤痛を認める

③早期症例はルーチンPelvic examでは検出できないことが多い

④進行した卵巣癌患者の75%は腹痛、腹部膨満感、腹部腫瘤触知と腹水によって存在が証明される

⑤表2-12-10は良性と悪性腫瘍の鑑別点

PELVIC MASSの触診

所見

良性

悪性

可動性

Mobile

Fixed

構成consistency

Cystic

Solid or Firm

位置

片側性

両側性

Cul-de-sac

平滑

結節状

経膣超音波: Adnexal Mass

所見

良性

悪性

Size

<8㎝

>8cm

構成

Cystic

Solid or Cystic & Solid

嚢胞性状

単房性

多房性

位置

片側性

両側性

その他

石灰化

腹水

 

*診断

①腫瘍マーカー: ↑CA125: 卵巣上皮癌で認める(全卵巣癌の90%を占める型)が、進行度と再発を調べるためだけの検査

1. 閉経前女性: ↑CA125は子宮内膜症のような良性疾患を示している可能性がある

2. 閉経後の女性: ↑CA125(>35 units)は卵巣腫瘍が悪性であることを示唆する

②経腟的超音波: 高リスクの女性をスクリーニングするため使われ、有症状女性のワークアップの1st stepとして用いられる(骨盤充満感、骨盤痛)

Tumor

Marker

Epithelial

CA125

Endodermal sinus

AFP

Embryonal Carci

AFP, hCG

Choriocarcinoma

hCG

Dysgerminoma

LDH

Granulosa cell

inhibin

Cf. teratoma: struma ovariiと関連することがありstruma ovariiはhyperthyroidismと関連する可能性がある

 

*治療

Ovarian massesの治療は以下の通り

①初経前の女性: Masses>2cmは綿密なFUと外科的切除を必要とする

②Premenopausal women:

1. 経過観察: 無症状で、可動性があり、片側性で、単純嚢胞<8-10cm、多くは自然消退する

2. 外科的評価: 8-10㎝以上の大きさで、Pelvic examとUS再検で変化してないか複雑な形態をとっている場合

卵巣がんの治療は以下の通り

①手術

1. Surgical staging: TAH/BSO with 大網切除と骨盤リンパ節と傍大動脈リンパ節切除術

2. 良性腫瘍→腫瘍切除か片側卵巣切除oophorectomy

②手術後化学療法: 早期ステージか低悪性度の卵巣癌を除きルーチンで行う

③放射線療法: dysgerminomaに効果的

Cf. dermoid cysts: laparotomyを施行する:>5cmとなり捻転のリスク↑になると

 

*予防

①BRCA1+の患者→1年ごとにUSとCA125でスクリーニングを行うべきである。予防的oophorectomyが35歳までか、出産希望がなくなった時点で推奨される

②OCPの使用は卵巣癌のリスクを下げる

§Pelvic Organ Prolapse骨盤臓器脱

リスク因子: 経膣出産、遺伝的傾向predisposition、加齢、骨盤手術歴、結合組織病、肥満や便秘による腹腔内圧↑

 

*病歴/PE

①腟におけるbulgeや突出感

②尿失禁、便失禁、残尿感、性行時痛

 

*診断

Prolapseの程度は、砕石位の状態でバルサルバ法を施行させることで評価可能である

 

*治療

①支持療法: 高線維食と減量、strainingとliftingの制限

②ペッサリー: 手術を希望していない患者や慢性疾患をもつ患者に有効

③最も共通する手術手技は経膣または経腹的子宮切除(Vaginal vault suspensionとともに腟円蓋suspension)

 

 

§尿失禁

*病歴/PE
①尿失禁のタイプ表2-12-12参照

Type

病歴

機序

治療

Total

常に、どんな姿勢でも出続ける

①括約筋の損傷(手術歴、神経障害、癌浸潤)

②尿路と皮膚の異常な結合

手術

Stress

腹圧↑

①骨盤底筋群の筋力低下に伴う尿路括約筋不全

②多産婦、骨盤手術歴

ケーゲル運動とpessary

Vaginal vault suspension手技

Urge

強く、unexpectedな排尿感↑

過活動膀胱

炎症疾患や神経障害に伴う括約筋機能不全

抗コリン薬かTCA薬; 行動治療

Ex: tolterodine

Overflow

慢性の尿閉

膀胱内圧↑>括約筋の力の時に少量溢れ出る

急性期: カテーテル留置

基礎疾患の治療

Timed voiding

Cf. 中年女性の尿失禁: 腹圧↑まずPelvic examination

②尿生殖器の異常を伴わない尿失禁の原因DIAPPERS

Delirium/confusion state

Infection

Atrophic urethritis/Vaginitis

Pharmaceutical

Psychiatric causes(especially depression)

Excessive urinary output(高血糖、高カルシウム血症、CHF)

Restrcted mobility

Stool impaction陥入

③瘻孔を否定する

④urge incontinence又は溢流性尿失禁の場合には神経学的異常を検索する(spasticity, flaccidity, 直腸括約筋のtone)

 

*診断/治療

①UA、尿培養: UTIを除外するため

②Voiding diary

③urodynamic testingを施行せよ

④血清クレアチニンを測定: 腎機能低下を除外するために

⑤膀胱造影: 瘻孔の描出と膀胱頚の下行

⑥Tx: 上表を参照

 

 

§Pediatric Gynecology

(1)Pediatric Vaginal Discharge

小児の下り物の病因

①Infectious vulvovaginitis:

汚臭、黄-緑色、大量の分泌物

1. GroupA streptococcus: 最多原因

2. Candida: DMと関連することがある(稀)

3. STDs: 性虐待の結果の可能性がある

②Non infectious vulvovaginitis: 接触性皮膚炎、湿疹など

③Foreign objects

④Sarcoma botryoides(横紋筋肉腫): 腟内にbunches of grapes様の病変を伴う悪性腫瘍

 

(2)思春期早発症

8歳未満の小児で2次性徴が生じる

①中枢性思春期早発症: 早期の視床下部におけるGnRH産生

②末梢性思春期早発症: GnRHと無関係の機序

中枢性(GnRH dependent)

末梢性(GnRH independent)

Constitutional

下垂体病変

ディスジャーミノーマ

水頭症

CNS感染

CNS外傷/irradiation

松果体腫瘍(稀)

神経線維腫

TS

CAH

副腎腫瘍

McCune-Albright syndrome(polyostotic fibrous dysplasia)

Gonadal dysplasia

Exogenous estrogen, OCPs or topical Ovrian Cysts(females)

*病歴/PE

①エストロゲン過剰サイン: 乳房発達と腟からの出血→卵巣嚢腫ovariancystか卵巣腫瘍を示唆する

②アンドロゲン過剰サイン: 恥毛、腋毛、陰核肥大、ニキビ→副腎腫瘍かCAH

 

*診断: 思春期早発症のwork up

*治療

①中枢性思春期早発症

Leuprolideが1st line Tx; 身体変化か進行停止

②末梢性思春期早発症

1. 卵巣嚢腫: 介入を必要としない、通常嚢腫は自然消退する

2. CAH: ステロイドで治療する。外科的手術は、ambiguous genitaliaに対しては施行されない

3. Adrenal/ ovarian tumor: 外科切除が必要

4. McCune-Albright syndrome: 抗エストロゲン療法(タモキシフェン)かエストロゲン産生阻害(ケトコナゾールかテストラクトン)

 

 

§Breast Disorders

(1)線維嚢胞変化

最も多く認められる良性の乳房病変。基質組織のhormoneと成長因子に対する反応であるとされている。

①嚢胞(肉眼的、顕微鏡的)、乳頭腫、腺腫症、線維腫そして上皮過形成を含む。

②30-50台の女性に好発し、まれに閉経後の女性にも認められる。

③外傷歴とカフェイン摂取が関連している。

*病歴/PE

①周期的な両側性の乳房痛と腫脹、症状は月経直前に最も強く感じられる。

②大きさの急激な変化fluctuationがよく認められる。

③正常組織に対して、不整で凹凸がある

 

*診断

①表2-12-12のアルゴリズム参照

②マンモグラフィーはあまり使用されない

③USは固型腫瘤と嚢胞性腫瘤の鑑別に使用される

④FNAは嚢胞性腫瘤であることが示唆されるときに適応となる。嚢胞性の性状を確定すると同時に、嚢胞性腫瘤による痛みを緩和するalleviate。

⑤Excisional biopsyは液が認められれなかった時や、液体が血性であった時に適応される。

⑥管内上皮の過形成や、細胞異型性を認めた場合に乳がんのリスクが上昇する。

 

*治療

①食事療法: カフェイン摂取の制限

②ダナゾール: 痛みが強い時に使用されうるが、副作用が多いのであまり施行されない

③OCPsを考慮する→ホルモン変化を抑える。

 

 

(2)線維腺腫Fibroadenoma

良性の、緩徐に成長する

30歳未満の女性でもっとも良く認められるBreast lesion。葉状腫瘍Cystosarcoma phyllodesは大きな線維腺腫。

*病歴/PE

①球形、卵形、ゴム状、辺縁明瞭、比較的可動性+、圧痛(-)で1-3cmくらいの直径。

②通常solitary tumorで、20%は多発性である。

③腫瘍は月経周期で変化しない

④HRT療法を施行していない限りは閉経後に発症することはない

 

*診断

①乳房超音波検査はsolid massから嚢胞状腫瘤を鑑別する

②針生検またはFNA

③診断不確定の場合にはExcision生検を施行する。

 

*治療

切除が根治的療法であるが、しばし再発する。

 

(3)乳がん

女性で最もよく認められる癌であり(1/8人)、女性における癌死因として二番目に多い(肺癌の次)。

60%は上外側に認められる。

リスク因子は次の通り。

①女性; 加齢

②乳がんの既往あり

③一親等に乳がん患者

④BRCA1とBRCA2変異を認める(早期発症を示唆する)

⑤高脂肪、低線維食

⑥異形成を伴う線維嚢胞変化を認めたことがある

⑦エストロゲン暴露↑: 未経産、早期の初潮、閉経遅延、35歳以降で初めてのfull-term pregnancy

*病歴/PE

乳癌の90%は患者により発見される。臨床的症状は以下の通り。

①early findings

単一で、圧痛を認めず、firm to hardで辺縁不整の腫瘤か、マンモグラフィー上の異常として認められる。

②later findings

皮膚と乳首のヒキツレ、腋窩リンパ節腫脹、乳房拡大、発赤、浮腫、痛み、皮膚や胸壁への接着

③late findings

1. 潰瘍; 鎖骨上リンパ節腫脹; 上腕浮腫; 骨、肺、肝転移

2. 片側乳頭の分泌物+/-の潰瘍形成(paget’s disease)

④転移

1. 背中か骨の痛み、黄疸、体重減少

2. 1cm以上の硬い腋下結節

3. 腋窩リンパ節: Stage3、同側の鎖骨上or鎖骨下リンパ節: Stage4

 

*診断

①スクリーニング

1. 閉経後女性: マンモグラフィー

微小石灰化の集塊と辺縁不整な領域を探せ。マンモでは臨床的に触知されるようになる2年前に病変を触知することができる。

2. 閉経前女性: 30歳未満の女性に対する超音波検査→良性の嚢胞から固型腫瘤を鑑別することができる

②疑わしい病変を生検する

1. FNA: 初めの生検として優れている、特に皮膚近くの病変に対して; しかしながら、生検領域が狭いのでしばし、FNとなる。FNAは治療に対する反応性を見る上でも優れている。

2. Core needle biopsy: より広い領域に対する生検で受容体の状態を測定できる。

3. open biopsy: より正確なaccurate診断が可能であり、腫瘍の迅速な切除が可能となる。しかし、ORで施行する必要がある。

③腫瘍マーカー: CEA, CA15-3, CA27-29

④腫瘍の受容の状態: ER, PR, HER2/neuの状態を検出する

⑤転移

1. Labs: ↑ESR、↑アルカリフォスファターゼ(肝臓と骨転移)、↑Ca

2. Imaging: CXR; 胸部CT、腹部CT、骨盤CT; 脳MRI

PETやbone scanも有用である

 

*治療

①薬物療法

1. Hormone R+à tamoxifenを投与すべきである

2. ER(-)à 化学療法を受けるべき

3. トラスツマブ: HER2/neu(+)の患者には大変有用である

②外科療法

1. 部分的な腫瘤切除lumpectomy+腋窩リンパ節切除+放射線療法

2. modified radical mastectomy(total mastectomy+腋窩リンパ節切除)

③乳房保存術の禁忌: 腫瘍サイズ、subareolarに病変、多発、胸壁に癒着、胸壁への放射線治療歴がある、乳頭かoverlying skinを伴う

Cf. 妊婦の乳がん

基本的には非妊婦と同様の治療。ただし2つの例外あり。

①1st trimesterには化学療法施行しない

②放射線療法は出産後

 

*予後

①TNMステージング

②ER+ and PR+は予後良好因子である

③乳房に限局する→75-90%が治癒する

④腋窩リンパ節転移→5年生存率40-50%

⑤aneuploidy染色体異常→予後不良

*合併症

胸膜浸潤は転移のある乳癌の50%に認める; 上腕浮腫は良く認められる

 

 

§性暴行

アメリカで最も報告されにくい犯罪である。内科医は、被害者を評価し、証拠を収集するよう努めるべきである。レイプの被害者は女性が殆どであるが、男性も被害者となりうる。

*病歴/PE

①完全な病歴をとること: 避妊薬の使用、暴行の日時と場所、暴行前のcondomの使用、薬物かアルコールの使用、STD歴、加害者の描写、暴行時の雰囲気(陰茎挿入の有無、condomの使用、生殖器外への行為、凶器の有無)、暴行後の患者の行動(douching洗浄、入浴、歯磨き、排尿、排便、着替え)

②身体所見を完全に聴取せよ、外傷のいかなる徴候もノートせよ、詳細な骨盤検査、外生殖器・腟・頚管・肛門の調査

 

*診断

①gonorrheaとクラミジアSmear/Culture; HIV、syphilis、HSV、HBVとCMVの血清検査

②妊娠検査

③血中アルコール濃度; 尿中薬物のスクリーニング

 

*治療

①STDの治療/予防(セフトリアキソン+アジスロマイシン)

②HIVリスクの想定と曝露後の予防

③EC: emergency cotracetives

④精神科にコンサルトする

⑤基本的には同じ内科医がFUすべきであるが、より適切な内科医が入れば紹介する

⑥FU方法: STDと妊娠のスクリーニングを繰り返す、必要なら精神科医とのチーム医療を施行する

2014年10月5日日曜日

精神科における予診の取り方

 

予診の総論

①病人自身に先に会うか、付添者にあうか

1. 病人自身が一人でやってくる人

2. 誰かに付き添われてくる人

3. 病人の代わりに第三者が相談にこられる場合

1.3. の時は言わずもがなで、やってきたその人から予診とるしかない

2. 身近な家人から話を聞くのが良いだろう

⇒本人には、自分しかわからない睡眠・食欲・便通・性欲について尋ねるくらい

*睡眠の情報はとても大切である

②簡潔な主訴を冒頭に

 

予診の際の着目点

①自発的にきたか、連れられてきたか

自発的に来る人は「苦痛」を持っている。

⇒この場合、たいてい治療意欲を多少とももつ。そして心的エネルギー水準の低下もそれほど低くない。

⇒一方で、連れられてきた人の中は、一見紳士風でも治療意欲は低いか、あるいはない人がいる。

⇒ただし、付添に連れられてしぶしぶやってくる人のすべてが病識不十分な精神病とは限らない。アクティングアウト傾向の多少ともみられる適応障害の人やパーソナリティ障害の人の中には、内的に不安や苦痛を感じにくいのでなかなか自発的に来ない人がいる

⇒逆に一人できたから「精神病ではない」ということにはならない。今日、統合失調症でも数多くの人が自ら治療を求めて自分からくる。

②年齢・性

③これまでの社会的機能: 数年さかのぼり それは予後予測因子となる

「発症までどの程度の社会生活をこの人は営んできたか」

数年くらい遡る

⇒逆に予診の段階で、幼少時期の母子関係にまでさかのぼる必要はまずない

例えば同じうつ病でも「年齢」+「症状」「性格」と病前の社会適応度を知ることで、予後判定は異なってくる。

中年のメランコリー神話型性格の持ち主で、平均以上の社会適応を病前に示していた人であれば、そのうつ「症状」が少々非定型的でも予後良好と判断してまず良い。

少々長引いても、「休息する」ことを基本に置いた薬物療法をつづけるべきである。

逆に症状は典型的に見えてもアナムネーゼに職業を短期間に転々としていたり、アルコールや薬物ないし、それに準じる状態の時期がはさまっていたりした場合には、その予後はそれほどカラッとしないことを予想したほうが良い。

統合失調症の1級症状があっても今までの社会機能にそれほど破綻がない、あるいは間然するところのない成人の場合、予後はふつう良好である

青少年・学生の場合は社会的適応といっても何を目印にするか?

⇒学校への出席・友人関係の濃淡・学業成績あたりか

④性格について: 内向性、energy、仕事好き、几帳面、思いやり

うつ病と

メランコリー神話型、循環性格、強迫性格、自己愛性格、

統合失調症と

分裂性格、内航性格、反抗期をもたぬ温和で自己主張の少ない良い子との関連度は高い

性格を正確に自己描写できる人は少ない

⇒こちらからの刺激後が大切である

a)内向的か、外交的か あるいは、非社交的か社交的か

友人は少ないか、多いか。世話好きか否か。

⇒要するに対人態度に関する陽と陰。

b) エネルギーのある方かどうか。精力的か、無力的か。

同じない後者でもエネルギーのある人とない人。外向き者でも無力的な人もいる。体の強い人、弱い人。

c) 仕事好きかどうか。

これは社会機能の良否と関係する。外向的で精力的でもそれが社会機能となってどこまで結実しているか、という見方である。

d)几帳面かどうか。

完全主義的傾向の有無という方が正確かもしれない。

⇒a)b)c)よりも細かくなるが、今日の精神病理にとって有用な項目である。

e)同調性

あるいは開放性

あるいは人へのおもいやりの有無

「思いやり」というとここには、少し価値判断が入るので注意を要するが、同じ内向き者でも、同じ強迫者でも対人的配慮の出来る人とできない人がいる。あるいはしすぎる人がいる。色々の訊ね方があろうが、「思いやり」という刺激語は意外に有効なように思われる。

⑤発症契機

家認は心因論に傾きやすい

偶然、経時的におこった複数の出来事を強引に疑似了解的に結び付ける危険を孕んでいる

非心因的前提条件、器質的な疾患を無視させる、危険もはらむ

現代人、特に都市在住者には発達途上の青少年でもない限りは、それほど見事なヒステリーや心因反応は稀と考えておく方がよい

DSM-Ⅲは乖離障害という項目で現代的なヒステリーに注目を促したけれども

日常心理学的な了解を超えた心因(ないしは状況因)は家人によっては黙殺される可能性がある。「ここで状況因」というのは、例えばサラリーマンにとっての昇任とか、家庭婦人にとっての「転居」とかがうつ病の契機になるといった場合である。証人という一見喜ばしい出来事が「心因」たりうる。

心因たりうる出来事

a) 過労

b) 対人葛藤

c) 離別もしくは死別

「喪失体験」とした方がよいかもしれない

あるいは「対象喪失」

d)試験、あるいは試験に準ずるところの「試される」状況

e)遭難

f)日常環境の比較的急な屈折的変化:仕事上の転勤、承認、配置換え

子女の結婚、婚約、遊学、死亡、別居、誕生などによる家族構成の増減

生命にかかわらぬ程度の身体疾患ないし負傷。負担の急激な増減(特に減少も注意)

出産による心身の変化。住居の移動や改造

⇒負のストレスっていうものもあることを知っておくこと

g)すこぶる過酷な非日常的な環境になげこまれること

⑥家族に関する事項

両親の存否、年齢、没年、病歴

同胞は、年齢の上から順にきくと聞き落としが無くて良い。

同胞の一人一人について性格等を聞いても、それほど時間はかからない。

遺伝歴については、初診時に十分には聴取できないものと思っておく方がよい。

⑦生活史

「特記すべき出来事」のみで十分であろう。

「外的生活史」と「内的生活史」(ピンスワンガー)があるが、家人から聴取することができるのはもちろん前者である。

a)出産前後の模様

産後、母に精神的不適応はなかったかも含めて

b)幼少時期両親のひざ下にあったか

幼児期、何らかの理由で長期間母親から離れることはなかったか。母親の心理的安定を脅かすような事態があったか。

母代理者がいたら、どんな人か。

c)学校関係

学歴や成績を大まかに知りたい。

その精神病像が原始反応的ニュアンスをつよく帯びるとき、素朴な社会文化的背景、平均以下の知能という条件があったら、その病像を「反応」として了解する可能性を高める。

逆に高学歴で、知能の高い人に同様のことがおきたときは、反応より内因的な「病的家庭」がより多く問題と考え得る。

また登校拒否、怠学の有無、出席状況も聞くべきであろう。

d)職業生活

内容だけでなく、転々としたか

e)結婚生活

少し聞きにくくても性生活は参考になる

時に、1人で来た人で初対面からいきなり「内的生活史」をしゃべりだす人がある。

⇒病人の過たる内的生活史は、いうまでもないが、必ずしもそのまま外的現実ではない。

例えば、もしある婦人が初診でいきなり小児期父親との間に近親相姦があったと言ったとしても、それを直ちに現実とみて良いかどうか検討することは予診では不要である。

⑧身体的既往歴

身体疾患や治療薬に起因ないし関係した精神症状が話題にされることが少なくない

大まかに、軽重にかかわらず意識のくもりや平素のその人らしからぬ言動のある時、特に年配の人の場合、脳器質性疾患、全身病、中毒性の物質を使っていないか、常用しているならその治療薬をきく

てんかん発作らしさはないか

おわりに

うつ病圏、ノイローゼ圏、統合失調症圏の人で、3分の2から4分の3を占めてしまうのでそれらを想定して書いた

しかし、「身体的基盤をもった精神障害」や「児童の精神障害」がある場合には、夜間せん妄の有無、あるとすればその発生時期、頻度、異常行動の模様とか

2014年9月21日日曜日

Alzheimer病の原因遺伝子

Nature 2014.6.15より

Strittmatterは、アミロイド結合蛋白質を探索中に、ApoEを発見した。

元々Alzheimer病と19番染色体の一部領域との遺伝的関連が指摘されていた。

ApoEをcodeする遺伝子も19番染色体上にあることが示され、ApoE遺伝子がAlzheimer病の発症リスクに関与することが推測された。

ApoEの一般的な変異体であるApoE2,3,4に関して解析され、ApoE4対立遺伝子がAlzheimer病の発症リスクの高さと相関していることを示す論文が発表された。

APOE4を1copy受け継ぐと、その人がAlzheimer病を発症するriskは4倍となり、copyだと12倍になる。

しかし、このdataに対する当時の反応は、ほとんどが批判か無視であった。その後2年もたたないうちに研究者らがアミロイドβの研究に殺到するようになり、APOEへの関心は薄れてしまった。

βアミロイドに対する治療の効果が、芳しくないことがわかるにつれてAPOEへの関心が回復してきた。

そもそも、βアミロイドは脳内で細胞が死んで萎縮が起こった結果プラーク内に蓄積される多くの物質の一つに過ぎないだろう。

そんな中、APOE4が発症リスクを上昇させる仕組みが徐々に解明されてきた。

APOE4は2種類の経路でAlzheimer病に関与していて、一方の経路はアミロイドに依存している可能性がある。

APOE4は動物でもヒトでも、APOE3に比較して脳内のアミロイドβ沈着を強く促進する。

APOE2はアミロイドβ沈着を減少させる予防的な型だと考えられている。

もう一方の経路はアミロイドが関与しない。neuronはstressを受けると修復機構の一環としてAPOEを産生する。

そしてAlzheimer病のリスクとなるAPOE4は、毒性のある断片に分解されやすく、これらの断片が細胞のenergy産生工場であるmitochondriaを損傷し、細胞骨格を変化させてしまう。

この2つの経路がAlzheimer病の発症リスクにどのくらいの比率で関わっているのか、まだわかっていないが、多くの研究者は有害な型のAPOEおw臥位の少ない型に変えることが有望な治療法になるのではないかと考えている。

実際、実験レベルではAPOE4蛋白質の構造をAPOE3に似た構造に変えることに成功しており、それにより、培養細胞レベルでは異常な断片化を減らすことに成功したとのことであった。

mitochondria損傷は、Alzheimer病だけでなく他の疾患でもあてはまると言われている。

例えば、パーキンソン病や、てんかんでもリスク因子となることが知られており、脳損傷の予後不良riskの上昇やHIV感染で無治療の場合に急速な症状進行が見られることとも関連付けられている。

Rosesは、2009年に19番染色体のAPOEに隣接するTOMM40という遺伝子内に非codeDNA配列があることを報告した。

この配列は「523」と呼ばれ、長さにばらつきがあり、その長さによってTOMM40とAPOEの発現の程度が決まる。

Tom40はmitochondriaの外膜にあるタンパク質搬入用のchannelを形成している。このタンパク質がないと、mitochondriaは必要な時に分裂することができない。

多くの場合、Alzheimer病を発症するのは、かなり高齢になってからであるが、APOE4対立遺伝子を持つのは全体の25%にすぎない。

そのため、発症予測のためのAPOE4検査では部分的な情報しか得られないが、APOEとTOMM40の両方の遺伝子型を判定することで、もっと幅広い集団について情報が得られるだろうと推測されている。

Roseのteamは、APOE3が通常は短い523配列か非常に長い523配列のどちらかをもって遺伝することを見出し、APOE3対立遺伝子を2個受け継いだ日殿Alzheimer病発症年齢は、それと一緒に受け継いだ2個の523個の変異体の組み合わせ方に依存して異なっていたことを報告した。

ただし、他の研究室からこれとは異なる研究結果が報告されており、まだ決着はついていない。

「TOMORROW」と呼ばれる臨床試験が実行されており、健康な高齢者6000人が募集されており約5年間かけて実行され、APOE及びTOMM40にもとづいて発症リスク評価を行うalgorismについても調べられる。

またこの臨床試験では、リスク評価algorismでAlzheimer病のリスクが高いと判定された人々に、「ピオグリダゾン」という薬剤を低用量投与することで発症を遅らせることができるかも調べる。

ピオグリダゾンはmitochondriaの分裂を促進し、Alzheimer病に関連する病理や症状を改善することが期待される。

地球の呼吸を測定するOCO-2とは?

ASCENDS intro image

“NASAは2014年7月2日に炭素観測衛星を打ち上げた

http://science.nasa.gov/missions/oco-2/

OCO-2 mission graphic

 

 

 

 

 

“NASAにとって最初の炭素観測衛星になるが、実は5年前に約4億ドルを投じて開発されたOCOの打ち上げに失敗

“OCO-2は、地球大気中の二酸化炭素濃度の正確な分布を測定するための人工衛星である

“NASAは温室効果ガスである二酸化炭素の、工場や自動車などから排出・吸収されるような人為的要因によるものと植物、火山などからの自然要因によるもの両方の詳細な地図を作ることを目的としている

“実は日本でも、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(Greenhouse Gases Observing Satellite)が2009年に打ち上げられている

http://www.jaxa.jp/press/2009/05/20090528_ibuki_j.html

“OCO-2は「いぶき」や「GOME-2(欧州気象衛星開発機構による開発された二酸化炭素濃度測定衛生)」と比較して、観測視野が約3㎢と非常に狭いが、圧倒的に分界能が優れている

“そのため、雲の多い地域、無秩序に広がる都市圏や大規模な発電所から排出される二酸化炭素さえ検出できるのではと期待されている

“NASAの目的は、OCO-2からの測定結果と地上での患側dataや化石燃料消費量の明細表とを組み合わせて温室効果ガスの排出源をつきとめることである

“OCO-2は光合成をする植物が放出する弱い蛍光を測定することにより、植物による炭素の取り込みも詳細に観測する。

“植物のクロロフィルという色素が太陽光を吸収してenergyを取り出し、より長い波長の光子を再放出する現象を利用して、この蛍光を測定する

“OCO-2の運営期間は予定ではわずか2年程度であるが、積載している燃料は10年分ある

“NASAは2017年に国際宇宙ステーションにOCO-2の測定装置を同じものを設置することを計画している

“OCO-2よりも低軌道で運行するため、異なる時刻にデータを收集することができる

“この2つのとなるdataから植物の光合成や大都市圏のラッシュアワーの影響による二酸化炭素の時間変導に関しても解析が可能になるかもしれない

“NASAに限らず、各国が次世代のに二酸化炭素測定衛生を開発しているASCENDS(NASA), GOSAT-2(JAXA), CARBONSAT’'(ESA)

http://decadal.gsfc.nasa.gov/ascends.html

http://www.iup.uni-bremen.de/carbonsat/

日光浴は中毒効果があるかもしれない

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“マウスを低用量紫外線に長期間さらすと、脳内麻薬の一つであるβエンドルフィンというオピオイドが産生されることがあきらかになったと2014年7月19日 Cell紙online版に掲載された。

“日に焼けることは、皮膚がんのリスクを高めることが広く知られている

“にもかかわらず、多くの日焼け愛好者がリスクをものともせず、日光を求め続ける

その理由を明らかにした発見かもしれない

“Fisherらは、マウスの一部の皮膚細胞が、低用量の紫外線に長期間さらされるとβ-endorphinも合成することを明らかにした

“紫外線を照射していたマウスでは、そうでないマウスに比べて血液中のβ-エンドルフィン濃度が優位に上昇

“マウスはもともと夜行性であるため明るい場所よりも暗い場所を好む傾向があるが、UVを照射したマウスでは、ライトのあたる場所を好むようになったと報告している

“しかし、紫外線に暴露したマウスを暗い箱とオピオイド作用と拮抗する「ナロキソン」投与とを結びつけるように学習させると、このマウスは明るく照らされた箱を探し出すようになった。

“ただし、この偏倚行動は遺伝学的にβ-endorphinを産生できないようにしたマウスでは認められなかった。

“マウスは全身を毛におおわれており、太陽に対する反応はヒトとは違う可能性もある

“そして、マウスが紫外線暴露の物理的報酬を経験したことは示されているが、依存症になったことまでは示されていないと指摘している

“それでも尚、Fisherによれば日光への暴露は、オピオイド薬よりはるかに多くの人々に影響を及ぼすため、今回の研究結果が人に当てはまるとしたら、社会に対する影響は極めて大きい可能性があると結論付けている

フリー素材 写真素材 高画質写真 海辺で日焼け

●所感

健康リスクがあるにもかかわらず、日焼けを好む人が後を絶たない

その理由として、日焼けをすること自体が脳内麻薬を産生することにつながることを示した初めての論文で、一定の価値があるだろう

β-endorphinの前駆体はPOMCと呼ばれる物質で、MSHとよばれるメラニン産生刺激物質の前駆体でもある

要するにMSHとβ-endorphinは同時に作られるのである

日光に暴露するという行為が、MSHだけでなくβ-endorphin産生も同時にもたらすということ

現在はsupplementとしてVitamine Dを摂取できるがかつては、できなかった

そのため日光暴露というものが、相対的に生命予後をよくしていたためにβ-endorphinも同時産生されるように進化したのかもしれない

高齢になり癌をもたらすリスクというのは、女性の生殖可能年齢が50歳であることを考えると、生物的には、それほど重要なことではないことも示唆しているかもしれない

そして、基本的に報酬回路というのは、寿命50年程度を考えた時に、種全体としての生命予後を良くする選択に対して働くのか

2014年9月13日土曜日

IgG4関連疾患

 

§IgG4関連疾患

IgG4-RDは日本で確立されたステロイドに反応する良性疾患であり、少なくとも自己免疫性膵炎はIgG4RDの一部である

IgG4-RDは炎症病態とはいえず、不明熱にもなり難いが、他臓器病変+高ガンマグロブリン血症を呈する疾患。

 

(1)概説

壮高年男性に多く、抗核抗体陰性、膠原病と関係しない

各臓器の腫瘤にIgG4酸性形質細胞の浸潤がある

○IgG4とは?

慢性の抗原刺激を受けた時に生じる

補体結合性抗体による免疫複合体性炎症に拮抗

IgEによるアレルギ―性障害に拮抗する

アレルギー患者ないし、IgE高値例に高IgG4がしばし認められる

⇒CSSでもIgG4↑、疾患活動性と相関

○IgG4-RDとは原則としてCRP0であることが初期判断に重要

⇒熱性病態でもないが炎症性腹部大動脈瘤は例外

 

(2)IgG4-RDに先立って知られていた疾患群

1. 自己免疫性膵炎/ Autoimmune pancreatitis

浸潤形質細胞はIgG4陽性細胞の比率が高い

多くは閉塞性黄疸または糖尿病によって気づかれ、膵腫大・膵管狭窄の画像をみてかつては膵腫瘍として手術されたが巣状のリンパ球・形質細胞浸潤、それを取り囲む線維化

⇒PSL 30-40mg/dayを著効して、腫大・黄疸・糖尿病が改善する

2. Mikulicz病

唾液腺と涙腺の腫大病変

Sjogren症候群と混同されたが、分泌低下は乏しく、抗SSA抗体陰性で、ステロイドに反応する点でSjogren症候群と異なる。全く別疾患であるサルコイドーシスの唾液腺腫脹まで含めてMikulicz症候群と言われたこともある。

3. 後腹膜線維症/ retroperitoneal fibrosis

後腹膜腔で炎症浸潤細胞と線維化を伴う軟部組織が増生し、血管や尿管を取り巻き、臨床的に疼痛ないし、炎症性腹部大動脈注、水腎症・腎後性腎不全を呈する

⇒多くは血清IgG4高値であることがわかった

4. IgG4-RKD

*後腹膜線維症、腫瘤による腎盂・尿管の圧迫⇒水腎症、腎後性腎不全

*尿細管間質性腎炎

尿細管~間質に巣状のリンパ球・形質細胞、それを取りまく線維化

IgG4陽性形質細胞が多い、好酸球の浸潤も見られる

まとめ: 腫瘤性病変と高γグロブリン血症を見た際にはIgG4-RDを疑うべき

臓器別の病態名

頭頸部; 肥厚性硬膜炎(脳神経の圧迫障害、頭痛)。下垂体縁、炎症性偽腫瘍、耳下腺炎、涙腺炎

胸・腹; リンパ節炎、間質性肺炎、肺・縱隔腫瘤、自己免疫性膵炎、硬化性胆管炎、炎症性腹部大動脈瘤

腎・泌尿器; 尿細管間質性腎炎、水腎症、前立腺炎

 

(3)症状

圧迫症状(膵管、胆管、尿管、腎、神経、血管)、糖尿病(←膵炎)

例えば、軽い腹痛、黄疸、腎不全、脳神経圧迫症状、頭痛で受診する

Ex: 嗄声・嚥下障害で発症し、脳神経圧迫の原因となるpachymeningitisを認めた。珍しい気管支粘膜の腫瘤性病変も見られ、所見はすべてステロイド治療で改善したが嗄声は遷延した。

 

(4)検査

○血液

血清IgG高胝

IgG4>135mg/dl

IgG4/IgG index>8%

ときに好酸球増加、血清IgE高値、通常CRP0

○画像検査

肺(寒湿、儒喀の浸潤影または腫瘤影)、腹部・後腹膜腔(腫瘤、大動脈瘤)、頭部(脳硬膜粃糠、大腦のpseudotumor, 下垂体炎)

 

(5)治療

PSL:0.6mg/kg/day

一般に著効するが線維化病変には効きにくい

線維化した腫瘤の尿管圧迫による腎障害は回復しにくいこともある

自己免疫性膵炎によるDMもすぐに治るわけではない

高齢者が多いので、感染及び長期的副作用に気を遣う、減量中の再然も多い

 

(6)診断基準

癌・悪性リンパ腫、WG、Sarcoidosis, CSSなどを除外すべき

炎症性大動脈瘤を除いてCRP上昇は認めにくい

1. 特徴的な、びまん性または局所性の腫大病変が単発または多発

2. 血清IgG4>135mg/dL

3. 生検像

①明瞭なリンパ球。形質細胞浸潤と線維化像

②浸潤形質細胞; IgG4陽性細胞/IgG陽性細胞比>40%かつ

強拡大視野にIgG4陽性形質細胞>10

診断: 1+2+3: 確実、1+3: 多分IgG-RD、1+2: IgG-RDの可能性あり

2014年9月7日日曜日

泌尿器科 2CK/ 日本医師国家試験対策

泌尿器科

<解剖生理学>

(1)腎の脈管

○脈管の関係

腹から: V→A→U

(2)尿管

尿管の長さ: 25~30cm

尿管の走行: 後ろから前へ; 総腸骨動静脈より前、大腰筋より前

膀胱三角部の機能: 逆流を防ぐ

狭窄部3か所: ①腎盂尿管移行部②膀胱流入部③総腸骨動脈交叉部→結石陥頓しやすい。

胃袋と膀胱は筋肉三層構造

膀胱は頂部のみ腹膜と接している。

膀胱粘膜は移行上皮

膀胱壁の中の尿管は斜走→逆流防止にgood

膀胱の容量は300~500ml

容量と膀胱内圧の関係は、正比例ではない

(3)精巣、精管

精液: 精子+精嚢液+前立腺液

精細管(周囲: 間質、白膜)→精巣上体→精管

精細管→①精細胞: 精祖細胞→精母細胞(第1第2減数分裂)→精娘細胞(セイジョウ)→精子

   →Sertoli細胞(FSH)

間質 →ライディッヒ細胞→テストステロン(LH)

精子の分化: 精細管 精子の成熟: 精巣上体

 

<尿がでない>

(1)尿が出ない

 

尿閉   ←鬱滞→         無尿1(腎後性無尿)

無尿2

       

原因

BPH

排尿反射↓(DM, LSS,脊損)=弛緩性膀胱=自律性

子宮脱

癌(骨盤内)

ARF: 腎前性, 腎性

症状

尿鬱滞→水腎症→腎後性腎不全

尿鬱滞→水腎症→腎後性腎不全

尿を作らない

治療

*導尿(家なら間欠的自己導尿、腹圧排尿)

*エコー下腎盂穿刺

*下腹部圧迫=手圧排尿禁忌

*エコー下穿刺

*腎瘻

生食、フロセミド

Cf. 排尿反射

1. 膀胱収縮 =副交感神経↑

2. 括約筋緩む=交感神経α↓

この二つが同時に起こるのが大切

Cf. BPH→αブロッカー: 出口緩める

抗コリン薬→尿閉: 抗コリン薬 (PL風邪薬にも入っている)

(2)尿閉の原因: BPH,②自律性膀胱(弛緩性膀胱)

①BPH

@検査: 尿流測定→エコー、MRI

ピークが下がってダラダラ出る

治療: 1st αブロッカー @2nd TUR and 自己導尿( 1stで効果ないとき)

②自律性膀胱; “反射”から独立した溢流性 。反射が起きずどんどん蓄積していく。

検査: 膀胱内圧検査

治療: 自己導尿(押し出す力が弱いとき)

遅れて、しかもだらだら出る

Cf腎不全→静脈性尿路造影はできない ∵濾過されないから

水腎症の状態でドレナージすると、腎性尿崩症になることがある→水腎症では必ず入院でin out管理しないといけない!!

 

<尿が出すぎる>

(1)頻尿

①多尿: 1. DM、2. 尿崩症

②過刺激: 3. 膀胱刺激症状、4.過活動膀胱

(2)尿失禁: http://jinzou.sekatu.com/nyousikkinn.html

①真性尿失禁: 尿路自体に異常

*尿管異所性開口

*括約筋損傷(前立腺全摘後など)

②仮性尿失禁: 尿路以外の異常

1. 腹圧性尿失禁:膀胱造影が有用

*骨盤底筋群↓→(多経産婦)いきんで漏れる

治療:骨盤底筋群のトレーニング

2. 溢流性(奇異性)尿失禁

*尿閉に伴う(たとえば、弛緩性膀胱⇒尿閉⇒溢流性尿失禁)

3. 切迫性尿失禁(過活動膀胱: 脳での)

4. 反射性尿失禁(過活動膀胱: 脊髄での)

5. 機能性尿失禁: 尿路以外の身体精神障害で生じる(ex: トイレまでいけない)

Cf. 腹圧性膀胱と過活動膀胱の鑑別

 

尿意

症状

腹圧性@

(-)

*頻尿(夜トイレ3~4回)

*失禁

過活動性膀胱  

求心路intact(中枢性、間質性膀胱炎)であれば(+)

*頻尿(夜トイレ3~4回)

*失禁

Cf. 神経因性膀胱: 過活動膀胱、弛緩性膀胱

◎過活動膀胱: 神経因性膀胱

排尿反射↑: 反射性/切迫性→尿失禁→治療: 抗コリン薬

 

尿意

場所

反射性(自動性)

(- )

脊髄

切迫性(無抑制)

(+)

大脳

*脊髄は狭いので、求心路(尿意)も遠心路(過活動抑制)も破壊される。

*大脳は広いので、遠心路(過活動抑制)のみ破壊される。

◎弛緩性膀胱: 神経因性膀胱@

排尿反射↓⇒尿閉⇒尿失禁⇒治療: コリン薬

①自律性  ; 求心路、遠心路共に

②知覚麻痺性; 求心路のみ

脊髄中枢=S2~4

D/D排尿反射による失禁の分類

①排尿反射正常: 真性尿失禁、機能性尿失禁、腹圧性尿失禁、尿閉(BPHなど)

②排尿反射過剰: 過活動性膀胱(切迫性尿失禁、反射性尿失禁)

③排尿反射低下: 弛緩性膀胱

 

<機能障害>

(1)水腎症

腎盂が拡大→腎後性腎不全(特に集合管障害されやすく腎性尿崩症の状態に)

→腎性と同じ

* Uosm=Posm: 等張尿

*尿Na上昇

原因は?: 尿路の閉塞

①尿閉(BPH, 自律性)

@②尿管の閉塞 cf. 馬蹄腎: 両側性のこと多い 膀胱三角瘤: 先端が狭窄=ピンホール様

@後部尿道弁→精丘のところで膜様弁が生じる→両側性水腎症

腎盂が大きく見える→①水腎症②慢性腎不全(腎実質の縮小で腎盂が大きく見える)

(2)膀胱尿管逆流症(VUR)

排尿時に膀胱→尿管逆流: 尿管鬱滞→①水腎症②急性腎盂腎炎

①原発性

逆流防止の未熟→年少児(性: 女>男児)

原因: 膀胱三角部の機能未熟、尿管が垂直に膀胱に侵入(締め付け弱い)

②続発性

@膀胱より下流―鬱滞

Ex: 尿閉

@検査: 排尿時膀胱造影, IVP, エコー, CT

Cf. IVPはCr>2mg/dl以上あるときは造影が不十分なことが多く、しかも腎機能をさらに悪化させる可能性が多い

治療: @

①原発性: まずF/U→改善しない水腎症などを認める→逆流防止術を試行する

②続発性: 原疾患の治療

Cf. 下大静脈後尿管

⇒右の尿管うっ滞から結石伴って血尿を呈することあり

(3)尿管異所開口

*概念

尿管が正常の尿管開口部以外の場所に開口するもの

*臨床像

患側の水腎症の原因になりやすい。女性の場合尿失禁の原因として重要。

*検査

⇒静脈性尿路造影

インジゴカルミンを静注すると異常開口部から排泄がある

⇒当然、上から流さないと意味ない!!

*治療@

腎機能が良好なら尿管膀胱吻合術。腎機能不良なら腎尿管摘除術。

 

<尿路感染症>

(1) @炎症疾患: 10^5/ml以上を認めることが診断基準の一つである

 

発熱

特異的な症状

急性膀胱炎

陰性(管腔臓器なので)

*膀胱刺激症状(頻尿・排尿時痛・残尿感)

急性腎盂腎炎

陽性

*背部痛

*CVA tenderness(腎被膜伸長による)

*膿尿ほぼ必発

急性前立腺炎

陽性

*会陰部不快感

*膀胱刺激

*排尿障害、膿尿認めることあり

急性精巣上体炎

陽性

*陰嚢痛

*陰嚢腫脹 D/D精巣捻転: 発熱(-)で鑑別

逆行性が多い⇒排泄障害が伴う時に原因になる=尿道下裂はリスクになりにくい

GNR: 大腸菌

尿沈渣: 白血球, 赤血球

@治療: ニューキノロン系

単純性→基礎疾患(-)

複雑性→基礎疾患(+)

(2)STD

淋菌性

クラミジア

潜伏期

3d~1w

1~3w

分泌物

(+)膿性

(±)漿液性

検査@

Gram染色

DNA診断

治療@

セフェム・PC・ニューキノロン

マクロライド・テトラサイクリン・ニューキノロン

(3)尿路結核

空気感染→肺へ→経血行的→①まず腎臓、次に腎臓から排泄されて尿路へ、②尿路へ

尿路: 変形、狭窄(乾酪性肉芽腫により)

 

<尿路結石>@男性は女性の2倍以上!!、上部尿路の方が多い。

(1)原因

1. Ca結石

シュウ酸カルシウム結石(最多): 正四面体、正八面体

リン酸カルシウム結石(シュウCaとの混合石)

 

原因

@シュウ酸Ca結石

①尿にCa↑:

(1)濾過量多い;血中Ca↑(副甲状腺↑、骨吸収↑(ねたきり、遠位RTA))

(2)Ca再吸収×; ステロイド、Cushing症候群、炭酸脱水素酵素阻害薬

②尿にシュウ酸↑:

(1)遺伝性

(2)腸管吸収性高シュウ酸血症:

腸管内のCa-FFA結合↑→シュウサン-Ca結合↓→シュウサンの腸管吸収↑

(3)食事性: ホウレンソウ、チョコ、ココア、VitC

③うっ滞/ 異物(カテーテル)

2. リン酸アンモニウムマグネシウム結石

UTIに合併する→尿がアルカリ: リン酸アンモニウムMgが沈殿→結石→UTIの悪循環

女性に多い: UTIの頻度に関連

形状: 珊瑚状腎盂(悪循環で育って大きくなる)

そもそもの頻度も多い(尿酸結石より多い)∵UTI頻度が関係する

3. 尿酸: 高尿酸血症

酸性で沈殿しやすい→予防: 尿をアルカリにする

X線: 陰性石(CTで描出)

Cf: サイアザイド→尿中への尿酸排泄↓→尿酸結石×

4. シスチン結石: 常染色体劣性遺伝、六角形

酸性で沈殿しやすい→予防: 尿アルカリ化

X線: 陰性石(CTで描出)

治療薬: ペニシラミンがキレート剤として機能する

Cf. 糖尿病とアルドステロン症は尿路結石の原因とならない

Cf. 海綿腎: 集合管の障害で鬱滞→結石ができる

(2)診断~治療の流れ@

*側腹部痛

*会陰部への放散がある(CVA tenderness)à 尿鬱滞

→尿: ①試験紙法: 鮮血陽性 ②沈渣:RBC(変形なし) 試験紙法で陽性→沈渣を行う

1. エコー: 腎盂にあればこれでわかる

2. X-P: エコーが弱い尿管もok@

3. CT

4. IVP: どうしてもわからないときに施行、尿路形態の異常と陰影欠損)

→石の診断とともに水腎症の有無もみる

治療:@

①10×6mm以下; 自然排石可能@

*保存的: 1. 飲水、2. 抗コリン薬(平滑筋緩む、痛みも減る)、3. ペンダゾシン、硬膜外麻酔(鎮痛して緩ませる)

*結石溶解: 1. 尿酸結石⇒アロプリノール、2. シスチン結石⇒D-ペニシラミン、3. Ca結石⇒サイアザイド

②長径10mm以上: 自然排石無理→結石破砕術(ESWL体外衝撃結石破砕術)⇒難治例には経皮的腎砕石術や経尿道的尿管砕石術との併用療法。

Cf. 尿管ステントが留置されることもある

③手術的治療の適応

a. 腎機能障害をきたす尿路の閉塞 b. 難治性尿路感染症の併発 c. 自然排石困難な結石

(3)尿pHとX線透過性による分類

①尿pH

酸性: キサンチン、尿酸、シスチン、シュウ酸Ca

アルカリ性: リン酸Ca、リン酸マグネシウム、リン酸アンモニウム

②X線透過性

透過性大: キサンチン、尿酸、シスチン(語呂: キニシない)

透過性小: シュウ酸Ca、リン酸Ca

 

<尿路系の腫瘍>

腎細胞癌/ 膀胱癌→血尿(無症候性、間欠的)

→尿細胞診を行う(陽性率高く有用)、IVP(尿路に接しているので有用)

腎細胞癌

腎盂・尿管癌

尿道癌

膀胱癌

由来

尿細管上皮由来

移行上皮癌

仮性重層円柱上皮

移行上皮が90%

(1)腎細胞癌

@原因: ①VHL遺伝子×(がん抑制遺伝子)②長期透析 →腺癌

@症状: 腫瘤、疼痛、血尿(ただし早期症状乏しい)

特徴: ①Hypervascular(血行性転移)、②ホルモン放出↑↑(Epo, PTHrP, サイトカイン→発熱)③静脈内への浸潤傾向強い

@検査: ①エコー ②CT/MRI ③Angio ④IVP ⑤尿細胞診

手術: ①~4cm: 部分的腎摘除 ②4cm~: 根治的腎切除(Gerota筋膜ごと)

→手術適応ないときサイトカイン療法( IFNなど)

Cf. IVP=intravenous pyelography

(2)膀胱癌

原因: 不明、ナフチルアミン・オーラミン・ベンジジンはリスク

病理: 移行上皮癌、乳頭状増殖、多発性(空間的: 同じ移行上皮領域の腎盂、尿管にも発症、時間的: 再発起こる)

症状: 血尿(初期に発見できる)

検査: ①エコー(1㎝以下でも描出可能) ②CT,MRI(深達度も) ③膀胱鏡→生検(深達度も) ④膀胱造影/IVP( 膀胱内のコントラスト劣るが腎盂尿管系を幅広くスクリーニングできる)⑤細胞診

◎治療

①表在癌: TUR-Btの後に抗癌薬、BCGの膀胱内注入療法を行う

②浸潤癌: 膀胱全摘+抗癌薬全身投与

(①上皮内癌: 膀胱内に抗がん剤、BCG注入→辺縁不明瞭なため

②粘膜下層: 内視鏡的切除(TUR)

③筋層: 手術+尿路変更術)

Cf. 尿路変更術

(1)腸に尿を出す(S状結腸): 感染の問題。

(2)回腸を一部切除し導管を作って、皮膚に露出させる(リザーバーを作る)→感染の問題はすくないがコスメティックな問題あり。

Cf. レノグラム@

  • 閉塞性腎疾患や腎血管性高血圧症、腎腫瘍などにおける分腎機能評価や治療後の経過観察に有用です。
  • アイソトープを静脈内に注射しながら30分連続撮影する。腎臓に流れ込む血液の様子、左右の腎臓それぞれの機能を知ることができる。
  • 移植腎の機能評価が可能です。
  • 利尿剤を負荷して検査を行う利尿レノグラフィでは、尿路系の拡張が器質的な閉塞によるものか、機能的なものかの鑑別が可能です。

◎尿膜管→胎生期に膀胱から臍帯へ向かう管: 胎生期膀胱からの老廃物を排出

→生後は閉じる

①嚢胞→鬱滞、感染のリスク

②発癌(腺癌): 予後悪い

 

<生殖器の腫瘍>

(1)前立腺

○輪切にした絵

腹側: 膀胱 背側: 直腸

前立腺:

①中心域; 本来の前立腺→精液の一部を作る(精子活性↑)

@②移行域(周囲腺)→BPH

③辺縁域→前立腺がん

○横から見た絵

移行域: BPH→図より膀胱刺激、排尿困難生じやすい

辺縁域: 前立腺がん→図より症状生じにくい

①肥大症(正常前立腺=くるみ大)

診断から治療の手続き

○診断@

頻尿→排尿困難(+)→排尿困難(++)残尿感→尿閉(特に飲酒後)

→①スコアを付けるIPSS ②尿流測定 ③エコー、(CT)、MRI

尿の出方が遅い、積分したら尿量

肥大症では、機能異常の検査の方が重要

○治療

排尿困難(+)~ →α1ブロッカー

排尿困難(++)、残尿感~ →α1ブロッカー+TUR

尿閉→α1ブロッカー+TUR

Cf. TURでは、電流を使用するため灌流液として非電解質等張液を使用する。

Cf. 排尿後尿滴定→残尿強

②前立腺癌

診断から治療の手続き

○診断

@健診で見つかること多い: PSA↑(PAPも上昇、癌特異的)

検査:

①エコー: 経直腸的

@②MRI: T2;辺縁域高信号→高信号でない不整なmass

③生検: 経直腸的

○治療@

A: たまたま(BPHのTUR)→F/U

B: 前立腺内 →手術=前立腺全摘 (+放射線+内分泌)、放射線治療も根治術たる

C: 骨盤内 →(手術+)放射線+内分泌

D: 骨 →内分泌+(補助的に化学療法、効きづらいので)

Cf. 内分泌療法@

①産生↓: GnRHa

②受容体ブロック: 抗アンドロゲン薬=フルタミド(CAB療法)

③アンドロゲン活性↓: 5α還元酵素阻害薬=フィナステリド

③拮抗: エストロゲン製剤

○骨転移→脊椎、骨盤

脊椎: 椎体に転移→脊柱管内に浸潤して神経症状

①下肢、筋力低下、感覚×

②排尿×→自律性膀胱→尿のうっ滞、急性腎盂腎炎→導尿・輸液(尿閉に近いときに導尿すると導尿後尿崩症様の症状呈する)@

Cf. 膀胱瘤

(2)精巣腫瘍: 25-35

受精卵→セミノーマ: LDH↑

@胎児細胞→胎児性癌、卵黄嚢腫、奇形腫: AFP↑

絨毛細胞→絨毛癌: hCG↑

○診断から治療への手続き@

精巣腫大(無痛性、透光性なし)

検査: エコー、CT/MRI、腫瘍マーカー、生検は禁忌

手術(転移があっても施行する: 放射線化学療法が著効するので)

術式: 高位精巣切除術(鼠蹊部のレベルで精巣動静脈を切除する)

@治療: ①セミノーマ: 放射線・化学 ②非セミノーマ: 化学療法

ただし範囲広いときはセミノーマでも放射線療法施行せずに、化学療法を行う。

 

<外傷>

(1)

○分類: 出血量の度合いで分類@

1度: 挫傷

2度: 裂傷

3度: 破裂、断裂

4度: 腎茎

http://www.geocities.jp/study_nasubi/e/e66.html

○症状

血尿(腹部損傷後血尿でたら腎損傷疑う): 膀胱バルーンカテーテルを入れておく

@→血尿見られたら①造影CT、②Angio、③IVP

☆血尿の程度は腎損傷の度合いを反映しない。

○検査

腹部X線像影CT、腎動脈造影、IVP、DIP(≒IVP)

⇒逆行性腎盂造影は禁忌: 尿道通すと腹腔内に最近まき散らす??

○治療

1度→保存

2度→塞栓術の適応もあり

2~4度→開腹手術する

(2)尿道

 

原因

症状

その他の所見

膜様部損傷

骨盤骨折

血尿

 

球部損傷

直接会陰部損傷

排尿困難・尿閉

会陰部出血斑

○診断: 逆行性尿道造影(cf. 尿道近くはこっち、より腎近いのはIVP)

○治療:テで保存的、手術(一期的、二期的手術:一時的に膀胱瘻を作り血腫落ち着いてから)

(3)精巣の外傷

病因: 白膜が断裂

症状: 精巣腫脹、疼痛

検査: エコー, CT/MRI

○治療

軽症→F/U

重症→血腫除去/精巣摘出

 

<先天性>

(1)

①嚢胞

嚢胞腎

 

嚢胞腎

海綿腎

病因

○遺伝性:

AD-成人

AR-小児・重症(1歳以内で死亡する)

○非遺伝性: 成人からみられること多い、両側性

病態@

尿細管と集合管の癒合不全

→嚢胞が形成され周りを圧排、破壊→血尿・多尿→CRF

Cf. 腎実質が破壊されるので高血圧も呈する

集合管の拡張(錐体部に異常)→小さい嚢胞で周囲を壊さないが、うっ滞が強い→尿路結石

合併症

*肝、脾臓、すい臓に嚢胞

*脳動脈瘤

 

検査

 

IVP: 錐体部にブラシ状の陰影

腎嚢胞エコー

IVP: 上部尿路の診断にgood http://www.harasanshin.or.jp/kensa/housha/ivp

②癒合した腎: 下極で

馬蹄腎: 遺伝性なし

症状: 一~両側に尿管狭窄→水腎症(前を尿管が下りるので)

@特徴的な所見: Rovsing徴候; 背屈で癒合腎が脊柱に押されて、狭窄が起こる→痛み++

検査: CT/MRI

(2)尿管→3つあり、互いに合併しうる@

①異所性の開口→真性尿失禁

②瘤を形成する→尿管瘤→小さい穴なので狭窄も起きる

③重複尿管

◎重複尿管

Meyerの法則

上から出たもの→下に開口しやすい: VURは生じにくい(斜めに挿入するので)、尿管瘤あることも。

下から出たもの→上に開口しやすい: 三角部より上に開いたときVUR生じやすい。

Cf. 女性の場合、尿管瘤が外尿道口から脱出することもあり。

(3)精巣

下に降りてくる

横から

腹膜が筒、症状突起→その中に精巣動静脈を包む

①下に降りない→停留精巣: 生下時に降りているのがふつう、数か月までは下に降りる、1歳~は治療対象→乏精子症/ 発癌→治療は精巣固定術

②袋が閉じない

1. 外鼠径ヘルニア

2. 陰嚢水腫

3. 精巣捻転症

病態: 動静脈狭窄: 虚血、うっ滞

症状: 腫脹・圧痛

治療: 4-6hr以内の手術(整復)

検査: ドップラーで血流→途絶している

治療: 精巣固定術を両側に行う

○精巣腫脹のD/D@

   

透光

その他の特徴

無痛性

陰嚢水腫

精液瘤

精巣腫瘍

あり

あり

なし

硬い

有痛性

精巣捻転症

精巣上体炎

なし

なし

Prehn徴候陽性

発熱、Prehn徴候陰性

Prehn徴候: 精巣を拳上して痛みが増す→陽性

精巣上体炎→精巣に鬱滞した血流が下がり痛みが減る

精巣捻転症→鬱滞がよりつよくなり痛みが増す

良性で、無症状のものはF/Uの必要なし。

○精索静脈瘤@

①特発性

②続発性→腎細胞癌

左に出来やすい

急にできる→腎細胞癌を疑う

特発性→乏精子症の最大の原因

<その他>

陰茎の勃起と障害

@陰茎海綿体→海綿体洞: 血液が充満→勃起する: 副交感神経刺激(骨盤神経)

治療薬→シルデナフィル; 硝酸薬と同時投与は禁忌

○持続的勃起

@*血液の病的な、うっ滞→白血病が原因であることが多い

*亀頭の拡張(⇒排尿困難(-))がないこと、圧痛を認めることが特徴

*最終的に勃起不全になる

○精巣損傷

Adding

腎乳頭壊死: http://blogs.yahoo.co.jp/comoson2000/60644318.html

耳鼻科2CK/ 日本医師国家試験対策

耳鼻科学まとめ

<耳-総論>

聴神経: ①蝸牛神経=聴覚、②前庭神経: 平衡覚

(1)聴覚

聴覚伝導路: Ⅰ聴神経→Ⅱ蝸牛神経核→Ⅲ上オリーブ→Ⅳ外側毛帯→Ⅴ下丘→Ⅵ内側膝状体→聴覚野(上外下内)

(2)平衡覚

三半規管

耳石器

検知対象

頭の回転角加速度

重力の方向

機能装置

クプラ

平衡斑(平衡砂+有毛細胞)

(3)頭頸部の知覚神経

鼻: V1, V2

動眼神経は上からくる=上咽頭癌で障害されやすいのは外転神経

Cf. リンパの流れ

 

<難聴-総論>

(1)鑑別

image

(2)耳痛

①耳疾患に由来するもの

外耳: 外耳道炎、RamsayHunt症候群

中耳: 急性中耳炎

②口蓋、咽頭扁桃疾患: 舌咽神経を介した放散痛

③歯、口腔疾患: 三叉神経枝を介した放散痛

④喉頭・咽頭疾患・耳下腺炎: 迷走神経を介した放散痛

Cf. 咳嗽反射: 求心=CNⅩ 遠心=CNⅩ、横隔神経、肋間神経

(3)先天性難聴

風疹、CMV、低出生体重児、重症黄疸

(4)一側か、両側か??

一側

両側

非感染性

突発性難聴

老人性

騒音性

中毒性

感染性(内耳炎)

ムンプス、ヘルペス

風疹、麻疹、インフルエンザ、梅毒 MRインバイ

(5)補聴器: 一般には平均聴力40db以上で、語音明瞭度良好の時に良い適応

伝音性⇒非常に良い適応(実際には両側性のものに適応)

感音性⇒軽症は○、重症は×(実際には初期からADL改善目的に使用する)

適応なし⇒①ろう>91db→人工内耳の適応、②機能性: 詐聴、心因性難聴

 

<外耳の疾患>

(1)耳せつ(急性化膿性限局性外耳炎)

*概説: 外耳道軟骨部に発生したおでき。保存的に治療。

*D/D: 単純膿性の耳瘻、発熱(-) 中耳炎は粘液性

Cf. furuncle=せつ、carbuncle=よう→せつが複数集まったもの

<伝音性難聴>

①中耳: 中耳炎; 1. 急性⇒慢性⇒真珠腫、2. 急性⇒滲出性中耳炎

②耳小骨障害

(2)中耳炎: リスク; 1)乳突不良2)糖尿病

*概説

起因菌: インフルエンザ桿菌、肺炎球菌

リスク: 保育所などの集団生活 悪化因子: 2歳以下

①急性⇒慢性⇒真珠腫性

急性⇒

慢性⇒

真珠腫性

病態

主に経耳管的に感染⇒発熱、耳痛、鼓膜の発赤・膨隆

*慢性炎症⇒肉芽腫形成⇒鼓膜穿孔=耳ろう⇒伝音性難聴

*含気蜂巣発育抑制

*扁平上皮過形成(非常に固い)⇒①耳小骨②内耳ともに破壊される

*顔面神経麻痺

治療

抗生剤(初めの3日間は経過観察)、切開排膿

*まずは保存的治療

→伝音性難聴高度で手術

1. 保存

a. 排膿

b. 抗菌薬点耳、内服、IV

2. 手術=鼓室形成術

鼓室形成術

D/D慢性化膿性中耳炎と真珠腫性中耳炎

 

耳漏の性状

鼓膜所見

X線像

慢性化膿性中耳炎

粘液性

緊張部中央に穿孔

緊張ないと光錐(-)

乳突蜂巣発育不全

硬化像

真珠腫性中耳炎

悪臭を伴う分泌物

上鼓室(弛緩部あるいは辺縁)に穿孔

骨欠損

*顔面神経と鼓室の位置関係

○鼓膜所見

 

位置

肉眼的所見

層構造

弛緩部

上方

濁っている

2層

緊張部

その他

半透明、光錐

3層

⇒緊張ないと光錐できない⇒下が緊張部と想起

②急性⇒滲出性

*病態

1. 耳管がa. 上気道炎、b. アデノイド、c. 上咽頭癌により閉鎖され、中耳内が陰圧になる⇒水が中耳内にたまる⇒伝音性難聴

2. 小児(4~6)と高齢者の二峰性ピーク

D/D 耳痛(-): 中耳炎との鑑別点

*検査

視診: 鼓膜内陥

@インピーダンスオージオメトリー: B型(稀にC型 cf. 耳管狭窄が主なC)

*治療

耳管閉塞の原因疾患の治療

(2)耳小骨

*概説

AB gap(+)で鼓膜に異常無し!!

病態

病名

特徴

検査

ティンパノ

治療

耳小骨硬い(アブミ骨と蝸牛の固着)

耳硬化症

*10~30歳女性好発

*周りがうるさい方がよく聞こえる

*鼓室岬の充血

*徐々に進行

*両側性

オージオグラム

⇒2000Hzで骨導↓=cahartの陥凹

As型

アブミ骨術

耳小骨外れた

離断症

外傷契機に発生

 

Ad型

 

⇒さらにティンパノメトリーで検査

Cf. 外傷性の難聴

病因

難聴の種類

耳小骨離断症

頭部打撲

伝音性難聴

外リンパ瘻

鼻をかむ、重いもの持ち上げた

感音性難聴

 

<感音性難聴>

(1)内耳性-AB gap(-), 補充現象(+)

*高度な難聴(ろう>91dB)⇒内耳炎

*一側: すべての音域⇒突発性難聴: 突発的で耳閉感を伴う

*両側高音域

1. 4000Hz(C5-dip); 騒音性難聴: 急(音響外傷)⇒眩暈(+)、緩徐⇒眩暈(-)

2. 高音域全体: 老人性難聴

*両側全音域: 中毒性難聴: アミノグリコシドによる

老人性難聴で高音域から障害されるのは当然である→蝸牛の底部で、高音が聴取される=音エネルギーを最初にうける→長年の音エネルギーの蓄積で、底部から変性する(騒音性難聴も同様である)

①内耳炎

②薬剤性難聴

③突発性難聴④騒音性難聴⑤老人性難聴⑥外リンパ瘻

⑥外リンパ瘻

概説: 腹圧↑により内耳窓が破裂→外リンパ液(髄液)が流入もしくは漏出し、蝸牛症状や前庭症状を呈する

症状: 高音域優位の変動性感音性難聴、めまい

Cf. 先天性難聴

-内耳炎などによる

-早期に診断(6か月)

-言葉の発達を図る

D/D言葉の発達が遅れる①知能低下②難聴

Cf. Ramsay-Hunt症候群@

顔面神経麻痺だけでなく、蝸牛・前庭脳神経障害も生じる

Cf. 機能性難聴: オージオグラム(主観的)⇒聴力低下、しかしABR(客観的)⇒変化なし

Cf. 自記オージオメトリ: 聞こえないとき音量大きくする、聞こえるとき小さくする

 

難聴の種類

オージオメトリの型

連続音=断続音

正常or伝音性

Ⅰ型

連続音が聞き取りづらい

感音性

Ⅱ型: 内耳性

Ⅲ, Ⅳ型: 後迷路性

断続音が聞き取りづらい

機能性難聴

Ⅴ型

補充現象(+)⇒ギザギザが細かくなる

黒=持続音、青=断続音

(2)後迷路性: 蝸牛神経障害

▽第Ⅷ神経鞘腫(聴神経鞘腫)⇒前庭神経から発生する

Cf. 大きくなると周囲の神経圧迫(Ⅴ,Ⅶ)

Cf. 両側性の場合は神経線維腫と考える

発生母地と症状

検査所見

蝸牛神経⇒難聴

AB gap: (-)

補充現象: (-)

ABR: 潜時延長; 伝道↓を反映

前庭神経⇒めまい(+/-):CNSが代償するので

Caloric test: CP

 

<めまい-総論>

@

特徴

経過

末梢性

中枢性

回転性

vertigo

悪心、嘔吐を伴う

凝視による抑制あり

急性

メニエール

前庭神経炎

BPPV

脳梗塞

脳幹梗塞(ワレンベルグ)

動揺性

dizziness

ふらつき=前庭性失調: Romberg(+), 偏倚(患側に傾く)

凝視による抑制なし

慢性

聴神経鞘腫

小脳変性症

<めまい-各論>

 

メニエール病

前庭神経炎

BPPV

症状

突発性のめまい(回転性)、前庭性失調

眼振

方向固定性水平性眼振

一方向性水平眼振

回旋性眼振

Caloric test

反応(-)=CP

反応(-)=CP

施行しない

難聴

(+)

(-)

(-)

経過

繰り返す

感冒ウイルス

くりかえす(~数十秒)

治療

循環改善薬、利尿薬⇒内リンパ嚢開放術

 

理学療法

Cf. 内耳性難聴+めまい

①メニエール病

②アミノグリコシド系-動揺性めまい

<鼻-総論>

(1)解剖生理

鼻腔・副鼻腔: ①吸気の加温、加湿、浄化②音性の共鳴

上鼻道: 後ろにあるものが開口; ①後部篩骨洞、②蝶形骨洞

中鼻道: 後ろにあるもの以外; ①前部篩骨洞、②前頭洞、③上顎洞

下鼻道: 鼻涙管が開口

(2)症候

▽嗅覚障害@

<炎症性鼻疾患>

(1)アレルギー性鼻炎

 

年齢

合併症

減感作(IgG4関連)

通年生

ダニ

若い

喘息

有効

季節性

花粉

 

結膜炎

無効→免疫寛容も記憶??というか遮断抗体産生を介すので

症状: 鼻閉、鼻汁、くしゃみ

鼻甲介: 蒼白、腫脹

治療: 抗アレルギー薬、抗ヒスタミン、ステロイド点鼻

(2)副鼻腔炎

好発部位: 篩骨洞(蜂の巣上で貯溜しやすい)、上顎洞(開口部が上)

<血管性鼻疾患>

鼻出血

特発性-80%

@続発性-20%: ①血友病、②上顎・上咽頭癌、③Rendu-Osler-Weber病

Cf. Rendu-Osler-Weber病: 肺動静脈瘻+鼻・消化管血管腫(鼻出血、下血)

Cf. Bellockタンポンの合併症=滲出性中耳炎

 

<腫瘍性鼻疾患>

▽上顎癌@

-扁平上皮癌、男性に多い

-予後: 悪い、骨の中で早期症状出にくい

-治療: 集学的治療が原則

①術前に放射線療法や化学療法(浅側頭動脈から抗腫瘍剤動注)

②縮小してから手術

<咽頭総論>

(1)解剖生理

咽頭扁桃腫大→①上気道狭窄、②滲出性中耳炎

アデノイドは4~6歳で生理的に肥大する

<唾液腺の疾患>

多形腺腫(耳下腺、顎下腺、舌下腺): 良性、しかし切除して取り残すと癌化

唾石症(顎下腺好発): 摂食時疼痛、腫脹

 

支配神経

排泄管

耳下腺

CN9、CN5

ステノン管

顎下腺

CN7

ワルトン管

舌下腺

 

<扁桃の疾患>

急性扁桃炎→扁桃周囲膿瘍or慢性扁桃炎

(1)急性扁桃炎

@起炎菌: A群β溶連菌(pyogenes)

症状: 発赤、膿栓、白苔

治療: PC-G, 広域PC/セフェム

(2)扁桃周囲膿瘍

概説: 扁桃被膜と咽頭収縮筋の間に感染波及→縦隔炎へ移行するriskあり

症状: 開口障害、耳痛、口蓋弓腫脹、口蓋垂が健側へ

治療: 起因菌として、連鎖球菌・インフルエンザ菌・肺炎球菌・嫌気性菌が最も考えられる→ペニシリン系+クリンダマイシンの経静脈投与が採択されることが多い

(3)慢性扁桃炎

概説: 自己免疫疾患のきっかけに

合併症: AGN、IgA腎症、掌蹠膿疱症

治療: 抗生剤+切開排膿

 

<腫瘍性咽頭疾患>

(1)上咽頭癌

概説: 男性に多い、EBV関わることも、扁平上皮癌、リンパ行性転位

予後: 転位しやすく、余後悪い

症状: ①鼻出血、②耳管狭窄、③頭蓋底浸潤=頸静脈孔症候群(CN9,10,11)

検査: ①内視鏡、②CT/MRI

治療: 1st; 放射線療法、2nd; 化学療法もよい適応

(2)下咽頭癌

*概説

輪状後部: 女性に多い

梨状陥凹: 男性に多い

(3)良性腫瘍

①血管線維腫

概説: 上咽頭に発生、思春期男児、hypervascular

良性腫瘍だが、浸潤性を持っている。

症状: 鼻閉、滲出性中耳炎、鼻出血

治療: 切除術

Cf. 頸部リンパ節転位をきたしやすい疾患

①甲状腺癌

②声門上癌、舌がん

③上咽頭癌

④下咽頭癌

⑤消化管癌のリンパ節転移

 

§喉頭

<総論>

(1)解剖生理

(2)気道狭窄と気管切開

*適応-気道狭窄

-挿管が1st choice

@*気管切開はどのような時に??

長期の挿管

挿管ができない: 外傷、腫瘍、頸髄損傷

*手技

Jackson三角: 第2-3気管軟骨輪うえ

@①底辺: 第1気管軟骨 ②頂点: 胸骨上窩

 

<嗄声>

(1)病態

image

(2)反回神経麻痺: 気息性でより重症

*解剖生理

Rt: 右鎖骨下動脈で反回 Lt: 大動脈弓部で反回

声帯: 感覚=上喉頭神経、運動: 下喉頭神経=反回神経

*原因

①末梢性: 縱隔×; 食道癌、肺小細胞癌、縦隔腫瘍

②中枢性: 頸静脈孔症候群

*症状

両側性→両側声帯閉鎖しており窒息の可能性あり

*反回神経のD/D

主訴

咽頭

気息性嗄声

=大声がでない、持続しない

中枢性

カーテン徴候、嚥下構音障害

末梢性

異常所見なし

(3)声の酷使

疾患名

片側or両側??

声帯結節

両側性

声帯ポリープ

片側or両側性

ポリープ様声帯

両側性

(4)乳頭腫: 凸凹だけど、てかっている。癌ではない。

-HPV→母子感染

-癌化することもある

→両仮声帯、声帯に乳頭状腫瘤が多発

→多発でテカッタ腫瘤なら乳頭腫疑う

(5)喉頭癌

①疫学

-口腔癌とともに発生頻度が高い扁平上皮癌

-40歳代から増加し始め70歳代がピーク、男性喫煙者に多い

-声門部癌が頻度多く、転位も少ない→治療=放射線療法@

@

声門上癌

声門癌

声門下癌

頻度

約35%

約60%

約5%

症状

異物感、嚥下痛

嗄声

咳嗽

②診断、治療: 病気の決定はTをマーカーにする

@

特徴

声帯運動

治療

T1

声帯・声門上・声門下限局

T1a=一側声帯

T1b=両側に及ぶ

制限されない

*T1~2: 放射線療法

*T1~T2放射線非制御例で、喉頭水平部分切除術

T2

領域外に進展

制限されない

T3

声門周囲への浸潤

制限される

*喉頭全摘術

→代用音声指導(食道発声、人工喉頭)

T4

喉頭外浸潤

制限される

<炎症性喉頭蓋炎>

急性喉頭蓋炎

急性喉頭炎@

急性声門下喉頭炎

(仮性クループ)

好発

欧米では幼児

日本では成人に多い

 

5歳以下の幼児

原因

インフルエンザ菌が主

咽頭痛が激しいにも関わらず、のどの所見が乏しいときに疑う。

ライノウイルス

コロナウイルス

パラインフルエンザ

インフルエンザ菌、連鎖球菌、ぶどう球菌による続発性混合感染を起こしうる

時期

 

季節の変わり目

冬季

症状

①咽頭痛、嚥下障害、発熱で発症(嗄声なし)

②急速に嚥下困難、吸気性呼吸困難、努力性呼吸が出現

③窒息死することもある

嗄声、喉頭の違和感・乾燥感、咳嗽

①声門下の粘膜腫脹

②犬吠様咳嗽、喘鳴、嗄声

③吸気性呼吸困難による苦悶状発作で夜間に発症

④脱水、チアノーゼ、窒息を起こすこともある

治療

気導切開の態勢を整え、ステロイド・抗生物質点滴静注

安静、消炎薬、去痰薬など

①アドレナリン+ステロイド吸入による粘膜浮腫軽減

②抗生物質・ステロイドの全身投与

③輸液、酸素投与

所見

     

<先天性頭頚部疾患>*治療=袋ごと摘除

疾患名

特徴

正中頸嚢胞

①甲状舌管の遺残

②舌骨レベル

側頸嚢胞

①第2鰓溝の遺残

②胸鎖乳突筋の下1/3

<外傷>

(1)顔面損傷

①鼻骨骨折: 外鼻錐体、鼻中隔→変形、鼻出血

②下顎骨折: 多い、咬合不全

③上顎骨折

LeFort

部位

症状

三叉神経×

頭蓋底部×

3

上部

咬合不全

(+)

髄液瘻、耳出血、鼻出血

2

上顎骨の眼窩壁まで

(+)

(-)

1

上顎骨歯槽

(-)

(-)

④側頭骨骨折

 

A: 縦骨折

*伝音難聴

*顔面神経麻痺

B: 横骨折

*感音難聴

*顔面神経、内耳神経麻痺

⑤眼窩吹き抜け骨折: 眼球運動×

Bruns眼振