Nature 2014.6.15より
Strittmatterは、アミロイド結合蛋白質を探索中に、ApoEを発見した。
元々Alzheimer病と19番染色体の一部領域との遺伝的関連が指摘されていた。
ApoEをcodeする遺伝子も19番染色体上にあることが示され、ApoE遺伝子がAlzheimer病の発症リスクに関与することが推測された。
ApoEの一般的な変異体であるApoE2,3,4に関して解析され、ApoE4対立遺伝子がAlzheimer病の発症リスクの高さと相関していることを示す論文が発表された。
APOE4を1copy受け継ぐと、その人がAlzheimer病を発症するriskは4倍となり、copyだと12倍になる。
しかし、このdataに対する当時の反応は、ほとんどが批判か無視であった。その後2年もたたないうちに研究者らがアミロイドβの研究に殺到するようになり、APOEへの関心は薄れてしまった。
βアミロイドに対する治療の効果が、芳しくないことがわかるにつれてAPOEへの関心が回復してきた。
そもそも、βアミロイドは脳内で細胞が死んで萎縮が起こった結果プラーク内に蓄積される多くの物質の一つに過ぎないだろう。
そんな中、APOE4が発症リスクを上昇させる仕組みが徐々に解明されてきた。
APOE4は2種類の経路でAlzheimer病に関与していて、一方の経路はアミロイドに依存している可能性がある。
APOE4は動物でもヒトでも、APOE3に比較して脳内のアミロイドβ沈着を強く促進する。
APOE2はアミロイドβ沈着を減少させる予防的な型だと考えられている。
もう一方の経路はアミロイドが関与しない。neuronはstressを受けると修復機構の一環としてAPOEを産生する。
そしてAlzheimer病のリスクとなるAPOE4は、毒性のある断片に分解されやすく、これらの断片が細胞のenergy産生工場であるmitochondriaを損傷し、細胞骨格を変化させてしまう。
この2つの経路がAlzheimer病の発症リスクにどのくらいの比率で関わっているのか、まだわかっていないが、多くの研究者は有害な型のAPOEおw臥位の少ない型に変えることが有望な治療法になるのではないかと考えている。
実際、実験レベルではAPOE4蛋白質の構造をAPOE3に似た構造に変えることに成功しており、それにより、培養細胞レベルでは異常な断片化を減らすことに成功したとのことであった。
mitochondria損傷は、Alzheimer病だけでなく他の疾患でもあてはまると言われている。
例えば、パーキンソン病や、てんかんでもリスク因子となることが知られており、脳損傷の予後不良riskの上昇やHIV感染で無治療の場合に急速な症状進行が見られることとも関連付けられている。
Rosesは、2009年に19番染色体のAPOEに隣接するTOMM40という遺伝子内に非codeDNA配列があることを報告した。
この配列は「523」と呼ばれ、長さにばらつきがあり、その長さによってTOMM40とAPOEの発現の程度が決まる。
Tom40はmitochondriaの外膜にあるタンパク質搬入用のchannelを形成している。このタンパク質がないと、mitochondriaは必要な時に分裂することができない。
多くの場合、Alzheimer病を発症するのは、かなり高齢になってからであるが、APOE4対立遺伝子を持つのは全体の25%にすぎない。
そのため、発症予測のためのAPOE4検査では部分的な情報しか得られないが、APOEとTOMM40の両方の遺伝子型を判定することで、もっと幅広い集団について情報が得られるだろうと推測されている。
Roseのteamは、APOE3が通常は短い523配列か非常に長い523配列のどちらかをもって遺伝することを見出し、APOE3対立遺伝子を2個受け継いだ日殿Alzheimer病発症年齢は、それと一緒に受け継いだ2個の523個の変異体の組み合わせ方に依存して異なっていたことを報告した。
ただし、他の研究室からこれとは異なる研究結果が報告されており、まだ決着はついていない。
「TOMORROW」と呼ばれる臨床試験が実行されており、健康な高齢者6000人が募集されており約5年間かけて実行され、APOE及びTOMM40にもとづいて発症リスク評価を行うalgorismについても調べられる。
またこの臨床試験では、リスク評価algorismでAlzheimer病のリスクが高いと判定された人々に、「ピオグリダゾン」という薬剤を低用量投与することで発症を遅らせることができるかも調べる。
ピオグリダゾンはmitochondriaの分裂を促進し、Alzheimer病に関連する病理や症状を改善することが期待される。
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