2014年9月7日日曜日

耳鼻科2CK/ 日本医師国家試験対策

耳鼻科学まとめ

<耳-総論>

聴神経: ①蝸牛神経=聴覚、②前庭神経: 平衡覚

(1)聴覚

聴覚伝導路: Ⅰ聴神経→Ⅱ蝸牛神経核→Ⅲ上オリーブ→Ⅳ外側毛帯→Ⅴ下丘→Ⅵ内側膝状体→聴覚野(上外下内)

(2)平衡覚

三半規管

耳石器

検知対象

頭の回転角加速度

重力の方向

機能装置

クプラ

平衡斑(平衡砂+有毛細胞)

(3)頭頸部の知覚神経

鼻: V1, V2

動眼神経は上からくる=上咽頭癌で障害されやすいのは外転神経

Cf. リンパの流れ

 

<難聴-総論>

(1)鑑別

image

(2)耳痛

①耳疾患に由来するもの

外耳: 外耳道炎、RamsayHunt症候群

中耳: 急性中耳炎

②口蓋、咽頭扁桃疾患: 舌咽神経を介した放散痛

③歯、口腔疾患: 三叉神経枝を介した放散痛

④喉頭・咽頭疾患・耳下腺炎: 迷走神経を介した放散痛

Cf. 咳嗽反射: 求心=CNⅩ 遠心=CNⅩ、横隔神経、肋間神経

(3)先天性難聴

風疹、CMV、低出生体重児、重症黄疸

(4)一側か、両側か??

一側

両側

非感染性

突発性難聴

老人性

騒音性

中毒性

感染性(内耳炎)

ムンプス、ヘルペス

風疹、麻疹、インフルエンザ、梅毒 MRインバイ

(5)補聴器: 一般には平均聴力40db以上で、語音明瞭度良好の時に良い適応

伝音性⇒非常に良い適応(実際には両側性のものに適応)

感音性⇒軽症は○、重症は×(実際には初期からADL改善目的に使用する)

適応なし⇒①ろう>91db→人工内耳の適応、②機能性: 詐聴、心因性難聴

 

<外耳の疾患>

(1)耳せつ(急性化膿性限局性外耳炎)

*概説: 外耳道軟骨部に発生したおでき。保存的に治療。

*D/D: 単純膿性の耳瘻、発熱(-) 中耳炎は粘液性

Cf. furuncle=せつ、carbuncle=よう→せつが複数集まったもの

<伝音性難聴>

①中耳: 中耳炎; 1. 急性⇒慢性⇒真珠腫、2. 急性⇒滲出性中耳炎

②耳小骨障害

(2)中耳炎: リスク; 1)乳突不良2)糖尿病

*概説

起因菌: インフルエンザ桿菌、肺炎球菌

リスク: 保育所などの集団生活 悪化因子: 2歳以下

①急性⇒慢性⇒真珠腫性

急性⇒

慢性⇒

真珠腫性

病態

主に経耳管的に感染⇒発熱、耳痛、鼓膜の発赤・膨隆

*慢性炎症⇒肉芽腫形成⇒鼓膜穿孔=耳ろう⇒伝音性難聴

*含気蜂巣発育抑制

*扁平上皮過形成(非常に固い)⇒①耳小骨②内耳ともに破壊される

*顔面神経麻痺

治療

抗生剤(初めの3日間は経過観察)、切開排膿

*まずは保存的治療

→伝音性難聴高度で手術

1. 保存

a. 排膿

b. 抗菌薬点耳、内服、IV

2. 手術=鼓室形成術

鼓室形成術

D/D慢性化膿性中耳炎と真珠腫性中耳炎

 

耳漏の性状

鼓膜所見

X線像

慢性化膿性中耳炎

粘液性

緊張部中央に穿孔

緊張ないと光錐(-)

乳突蜂巣発育不全

硬化像

真珠腫性中耳炎

悪臭を伴う分泌物

上鼓室(弛緩部あるいは辺縁)に穿孔

骨欠損

*顔面神経と鼓室の位置関係

○鼓膜所見

 

位置

肉眼的所見

層構造

弛緩部

上方

濁っている

2層

緊張部

その他

半透明、光錐

3層

⇒緊張ないと光錐できない⇒下が緊張部と想起

②急性⇒滲出性

*病態

1. 耳管がa. 上気道炎、b. アデノイド、c. 上咽頭癌により閉鎖され、中耳内が陰圧になる⇒水が中耳内にたまる⇒伝音性難聴

2. 小児(4~6)と高齢者の二峰性ピーク

D/D 耳痛(-): 中耳炎との鑑別点

*検査

視診: 鼓膜内陥

@インピーダンスオージオメトリー: B型(稀にC型 cf. 耳管狭窄が主なC)

*治療

耳管閉塞の原因疾患の治療

(2)耳小骨

*概説

AB gap(+)で鼓膜に異常無し!!

病態

病名

特徴

検査

ティンパノ

治療

耳小骨硬い(アブミ骨と蝸牛の固着)

耳硬化症

*10~30歳女性好発

*周りがうるさい方がよく聞こえる

*鼓室岬の充血

*徐々に進行

*両側性

オージオグラム

⇒2000Hzで骨導↓=cahartの陥凹

As型

アブミ骨術

耳小骨外れた

離断症

外傷契機に発生

 

Ad型

 

⇒さらにティンパノメトリーで検査

Cf. 外傷性の難聴

病因

難聴の種類

耳小骨離断症

頭部打撲

伝音性難聴

外リンパ瘻

鼻をかむ、重いもの持ち上げた

感音性難聴

 

<感音性難聴>

(1)内耳性-AB gap(-), 補充現象(+)

*高度な難聴(ろう>91dB)⇒内耳炎

*一側: すべての音域⇒突発性難聴: 突発的で耳閉感を伴う

*両側高音域

1. 4000Hz(C5-dip); 騒音性難聴: 急(音響外傷)⇒眩暈(+)、緩徐⇒眩暈(-)

2. 高音域全体: 老人性難聴

*両側全音域: 中毒性難聴: アミノグリコシドによる

老人性難聴で高音域から障害されるのは当然である→蝸牛の底部で、高音が聴取される=音エネルギーを最初にうける→長年の音エネルギーの蓄積で、底部から変性する(騒音性難聴も同様である)

①内耳炎

②薬剤性難聴

③突発性難聴④騒音性難聴⑤老人性難聴⑥外リンパ瘻

⑥外リンパ瘻

概説: 腹圧↑により内耳窓が破裂→外リンパ液(髄液)が流入もしくは漏出し、蝸牛症状や前庭症状を呈する

症状: 高音域優位の変動性感音性難聴、めまい

Cf. 先天性難聴

-内耳炎などによる

-早期に診断(6か月)

-言葉の発達を図る

D/D言葉の発達が遅れる①知能低下②難聴

Cf. Ramsay-Hunt症候群@

顔面神経麻痺だけでなく、蝸牛・前庭脳神経障害も生じる

Cf. 機能性難聴: オージオグラム(主観的)⇒聴力低下、しかしABR(客観的)⇒変化なし

Cf. 自記オージオメトリ: 聞こえないとき音量大きくする、聞こえるとき小さくする

 

難聴の種類

オージオメトリの型

連続音=断続音

正常or伝音性

Ⅰ型

連続音が聞き取りづらい

感音性

Ⅱ型: 内耳性

Ⅲ, Ⅳ型: 後迷路性

断続音が聞き取りづらい

機能性難聴

Ⅴ型

補充現象(+)⇒ギザギザが細かくなる

黒=持続音、青=断続音

(2)後迷路性: 蝸牛神経障害

▽第Ⅷ神経鞘腫(聴神経鞘腫)⇒前庭神経から発生する

Cf. 大きくなると周囲の神経圧迫(Ⅴ,Ⅶ)

Cf. 両側性の場合は神経線維腫と考える

発生母地と症状

検査所見

蝸牛神経⇒難聴

AB gap: (-)

補充現象: (-)

ABR: 潜時延長; 伝道↓を反映

前庭神経⇒めまい(+/-):CNSが代償するので

Caloric test: CP

 

<めまい-総論>

@

特徴

経過

末梢性

中枢性

回転性

vertigo

悪心、嘔吐を伴う

凝視による抑制あり

急性

メニエール

前庭神経炎

BPPV

脳梗塞

脳幹梗塞(ワレンベルグ)

動揺性

dizziness

ふらつき=前庭性失調: Romberg(+), 偏倚(患側に傾く)

凝視による抑制なし

慢性

聴神経鞘腫

小脳変性症

<めまい-各論>

 

メニエール病

前庭神経炎

BPPV

症状

突発性のめまい(回転性)、前庭性失調

眼振

方向固定性水平性眼振

一方向性水平眼振

回旋性眼振

Caloric test

反応(-)=CP

反応(-)=CP

施行しない

難聴

(+)

(-)

(-)

経過

繰り返す

感冒ウイルス

くりかえす(~数十秒)

治療

循環改善薬、利尿薬⇒内リンパ嚢開放術

 

理学療法

Cf. 内耳性難聴+めまい

①メニエール病

②アミノグリコシド系-動揺性めまい

<鼻-総論>

(1)解剖生理

鼻腔・副鼻腔: ①吸気の加温、加湿、浄化②音性の共鳴

上鼻道: 後ろにあるものが開口; ①後部篩骨洞、②蝶形骨洞

中鼻道: 後ろにあるもの以外; ①前部篩骨洞、②前頭洞、③上顎洞

下鼻道: 鼻涙管が開口

(2)症候

▽嗅覚障害@

<炎症性鼻疾患>

(1)アレルギー性鼻炎

 

年齢

合併症

減感作(IgG4関連)

通年生

ダニ

若い

喘息

有効

季節性

花粉

 

結膜炎

無効→免疫寛容も記憶??というか遮断抗体産生を介すので

症状: 鼻閉、鼻汁、くしゃみ

鼻甲介: 蒼白、腫脹

治療: 抗アレルギー薬、抗ヒスタミン、ステロイド点鼻

(2)副鼻腔炎

好発部位: 篩骨洞(蜂の巣上で貯溜しやすい)、上顎洞(開口部が上)

<血管性鼻疾患>

鼻出血

特発性-80%

@続発性-20%: ①血友病、②上顎・上咽頭癌、③Rendu-Osler-Weber病

Cf. Rendu-Osler-Weber病: 肺動静脈瘻+鼻・消化管血管腫(鼻出血、下血)

Cf. Bellockタンポンの合併症=滲出性中耳炎

 

<腫瘍性鼻疾患>

▽上顎癌@

-扁平上皮癌、男性に多い

-予後: 悪い、骨の中で早期症状出にくい

-治療: 集学的治療が原則

①術前に放射線療法や化学療法(浅側頭動脈から抗腫瘍剤動注)

②縮小してから手術

<咽頭総論>

(1)解剖生理

咽頭扁桃腫大→①上気道狭窄、②滲出性中耳炎

アデノイドは4~6歳で生理的に肥大する

<唾液腺の疾患>

多形腺腫(耳下腺、顎下腺、舌下腺): 良性、しかし切除して取り残すと癌化

唾石症(顎下腺好発): 摂食時疼痛、腫脹

 

支配神経

排泄管

耳下腺

CN9、CN5

ステノン管

顎下腺

CN7

ワルトン管

舌下腺

 

<扁桃の疾患>

急性扁桃炎→扁桃周囲膿瘍or慢性扁桃炎

(1)急性扁桃炎

@起炎菌: A群β溶連菌(pyogenes)

症状: 発赤、膿栓、白苔

治療: PC-G, 広域PC/セフェム

(2)扁桃周囲膿瘍

概説: 扁桃被膜と咽頭収縮筋の間に感染波及→縦隔炎へ移行するriskあり

症状: 開口障害、耳痛、口蓋弓腫脹、口蓋垂が健側へ

治療: 起因菌として、連鎖球菌・インフルエンザ菌・肺炎球菌・嫌気性菌が最も考えられる→ペニシリン系+クリンダマイシンの経静脈投与が採択されることが多い

(3)慢性扁桃炎

概説: 自己免疫疾患のきっかけに

合併症: AGN、IgA腎症、掌蹠膿疱症

治療: 抗生剤+切開排膿

 

<腫瘍性咽頭疾患>

(1)上咽頭癌

概説: 男性に多い、EBV関わることも、扁平上皮癌、リンパ行性転位

予後: 転位しやすく、余後悪い

症状: ①鼻出血、②耳管狭窄、③頭蓋底浸潤=頸静脈孔症候群(CN9,10,11)

検査: ①内視鏡、②CT/MRI

治療: 1st; 放射線療法、2nd; 化学療法もよい適応

(2)下咽頭癌

*概説

輪状後部: 女性に多い

梨状陥凹: 男性に多い

(3)良性腫瘍

①血管線維腫

概説: 上咽頭に発生、思春期男児、hypervascular

良性腫瘍だが、浸潤性を持っている。

症状: 鼻閉、滲出性中耳炎、鼻出血

治療: 切除術

Cf. 頸部リンパ節転位をきたしやすい疾患

①甲状腺癌

②声門上癌、舌がん

③上咽頭癌

④下咽頭癌

⑤消化管癌のリンパ節転移

 

§喉頭

<総論>

(1)解剖生理

(2)気道狭窄と気管切開

*適応-気道狭窄

-挿管が1st choice

@*気管切開はどのような時に??

長期の挿管

挿管ができない: 外傷、腫瘍、頸髄損傷

*手技

Jackson三角: 第2-3気管軟骨輪うえ

@①底辺: 第1気管軟骨 ②頂点: 胸骨上窩

 

<嗄声>

(1)病態

image

(2)反回神経麻痺: 気息性でより重症

*解剖生理

Rt: 右鎖骨下動脈で反回 Lt: 大動脈弓部で反回

声帯: 感覚=上喉頭神経、運動: 下喉頭神経=反回神経

*原因

①末梢性: 縱隔×; 食道癌、肺小細胞癌、縦隔腫瘍

②中枢性: 頸静脈孔症候群

*症状

両側性→両側声帯閉鎖しており窒息の可能性あり

*反回神経のD/D

主訴

咽頭

気息性嗄声

=大声がでない、持続しない

中枢性

カーテン徴候、嚥下構音障害

末梢性

異常所見なし

(3)声の酷使

疾患名

片側or両側??

声帯結節

両側性

声帯ポリープ

片側or両側性

ポリープ様声帯

両側性

(4)乳頭腫: 凸凹だけど、てかっている。癌ではない。

-HPV→母子感染

-癌化することもある

→両仮声帯、声帯に乳頭状腫瘤が多発

→多発でテカッタ腫瘤なら乳頭腫疑う

(5)喉頭癌

①疫学

-口腔癌とともに発生頻度が高い扁平上皮癌

-40歳代から増加し始め70歳代がピーク、男性喫煙者に多い

-声門部癌が頻度多く、転位も少ない→治療=放射線療法@

@

声門上癌

声門癌

声門下癌

頻度

約35%

約60%

約5%

症状

異物感、嚥下痛

嗄声

咳嗽

②診断、治療: 病気の決定はTをマーカーにする

@

特徴

声帯運動

治療

T1

声帯・声門上・声門下限局

T1a=一側声帯

T1b=両側に及ぶ

制限されない

*T1~2: 放射線療法

*T1~T2放射線非制御例で、喉頭水平部分切除術

T2

領域外に進展

制限されない

T3

声門周囲への浸潤

制限される

*喉頭全摘術

→代用音声指導(食道発声、人工喉頭)

T4

喉頭外浸潤

制限される

<炎症性喉頭蓋炎>

急性喉頭蓋炎

急性喉頭炎@

急性声門下喉頭炎

(仮性クループ)

好発

欧米では幼児

日本では成人に多い

 

5歳以下の幼児

原因

インフルエンザ菌が主

咽頭痛が激しいにも関わらず、のどの所見が乏しいときに疑う。

ライノウイルス

コロナウイルス

パラインフルエンザ

インフルエンザ菌、連鎖球菌、ぶどう球菌による続発性混合感染を起こしうる

時期

 

季節の変わり目

冬季

症状

①咽頭痛、嚥下障害、発熱で発症(嗄声なし)

②急速に嚥下困難、吸気性呼吸困難、努力性呼吸が出現

③窒息死することもある

嗄声、喉頭の違和感・乾燥感、咳嗽

①声門下の粘膜腫脹

②犬吠様咳嗽、喘鳴、嗄声

③吸気性呼吸困難による苦悶状発作で夜間に発症

④脱水、チアノーゼ、窒息を起こすこともある

治療

気導切開の態勢を整え、ステロイド・抗生物質点滴静注

安静、消炎薬、去痰薬など

①アドレナリン+ステロイド吸入による粘膜浮腫軽減

②抗生物質・ステロイドの全身投与

③輸液、酸素投与

所見

     

<先天性頭頚部疾患>*治療=袋ごと摘除

疾患名

特徴

正中頸嚢胞

①甲状舌管の遺残

②舌骨レベル

側頸嚢胞

①第2鰓溝の遺残

②胸鎖乳突筋の下1/3

<外傷>

(1)顔面損傷

①鼻骨骨折: 外鼻錐体、鼻中隔→変形、鼻出血

②下顎骨折: 多い、咬合不全

③上顎骨折

LeFort

部位

症状

三叉神経×

頭蓋底部×

3

上部

咬合不全

(+)

髄液瘻、耳出血、鼻出血

2

上顎骨の眼窩壁まで

(+)

(-)

1

上顎骨歯槽

(-)

(-)

④側頭骨骨折

 

A: 縦骨折

*伝音難聴

*顔面神経麻痺

B: 横骨折

*感音難聴

*顔面神経、内耳神経麻痺

⑤眼窩吹き抜け骨折: 眼球運動×

Bruns眼振

0 件のコメント:

コメントを投稿