“マウスを低用量紫外線に長期間さらすと、脳内麻薬の一つであるβエンドルフィンというオピオイドが産生されることがあきらかになったと2014年7月19日 Cell紙online版に掲載された。
“日に焼けることは、皮膚がんのリスクを高めることが広く知られている
“にもかかわらず、多くの日焼け愛好者がリスクをものともせず、日光を求め続ける
その理由を明らかにした発見かもしれない
“Fisherらは、マウスの一部の皮膚細胞が、低用量の紫外線に長期間さらされるとβ-endorphinも合成することを明らかにした
“紫外線を照射していたマウスでは、そうでないマウスに比べて血液中のβ-エンドルフィン濃度が優位に上昇
“マウスはもともと夜行性であるため明るい場所よりも暗い場所を好む傾向があるが、UVを照射したマウスでは、ライトのあたる場所を好むようになったと報告している
“しかし、紫外線に暴露したマウスを暗い箱とオピオイド作用と拮抗する「ナロキソン」投与とを結びつけるように学習させると、このマウスは明るく照らされた箱を探し出すようになった。
“ただし、この偏倚行動は遺伝学的にβ-endorphinを産生できないようにしたマウスでは認められなかった。
“マウスは全身を毛におおわれており、太陽に対する反応はヒトとは違う可能性もある
“そして、マウスが紫外線暴露の物理的報酬を経験したことは示されているが、依存症になったことまでは示されていないと指摘している
“それでも尚、Fisherによれば日光への暴露は、オピオイド薬よりはるかに多くの人々に影響を及ぼすため、今回の研究結果が人に当てはまるとしたら、社会に対する影響は極めて大きい可能性があると結論付けている
●所感
健康リスクがあるにもかかわらず、日焼けを好む人が後を絶たない
その理由として、日焼けをすること自体が脳内麻薬を産生することにつながることを示した初めての論文で、一定の価値があるだろう
β-endorphinの前駆体はPOMCと呼ばれる物質で、MSHとよばれるメラニン産生刺激物質の前駆体でもある
要するにMSHとβ-endorphinは同時に作られるのである
日光に暴露するという行為が、MSHだけでなくβ-endorphin産生も同時にもたらすということ
現在はsupplementとしてVitamine Dを摂取できるがかつては、できなかった
そのため日光暴露というものが、相対的に生命予後をよくしていたためにβ-endorphinも同時産生されるように進化したのかもしれない
高齢になり癌をもたらすリスクというのは、女性の生殖可能年齢が50歳であることを考えると、生物的には、それほど重要なことではないことも示唆しているかもしれない
そして、基本的に報酬回路というのは、寿命50年程度を考えた時に、種全体としての生命予後を良くする選択に対して働くのか
0 件のコメント:
コメントを投稿