2014年9月21日日曜日

Alzheimer病の原因遺伝子

Nature 2014.6.15より

Strittmatterは、アミロイド結合蛋白質を探索中に、ApoEを発見した。

元々Alzheimer病と19番染色体の一部領域との遺伝的関連が指摘されていた。

ApoEをcodeする遺伝子も19番染色体上にあることが示され、ApoE遺伝子がAlzheimer病の発症リスクに関与することが推測された。

ApoEの一般的な変異体であるApoE2,3,4に関して解析され、ApoE4対立遺伝子がAlzheimer病の発症リスクの高さと相関していることを示す論文が発表された。

APOE4を1copy受け継ぐと、その人がAlzheimer病を発症するriskは4倍となり、copyだと12倍になる。

しかし、このdataに対する当時の反応は、ほとんどが批判か無視であった。その後2年もたたないうちに研究者らがアミロイドβの研究に殺到するようになり、APOEへの関心は薄れてしまった。

βアミロイドに対する治療の効果が、芳しくないことがわかるにつれてAPOEへの関心が回復してきた。

そもそも、βアミロイドは脳内で細胞が死んで萎縮が起こった結果プラーク内に蓄積される多くの物質の一つに過ぎないだろう。

そんな中、APOE4が発症リスクを上昇させる仕組みが徐々に解明されてきた。

APOE4は2種類の経路でAlzheimer病に関与していて、一方の経路はアミロイドに依存している可能性がある。

APOE4は動物でもヒトでも、APOE3に比較して脳内のアミロイドβ沈着を強く促進する。

APOE2はアミロイドβ沈着を減少させる予防的な型だと考えられている。

もう一方の経路はアミロイドが関与しない。neuronはstressを受けると修復機構の一環としてAPOEを産生する。

そしてAlzheimer病のリスクとなるAPOE4は、毒性のある断片に分解されやすく、これらの断片が細胞のenergy産生工場であるmitochondriaを損傷し、細胞骨格を変化させてしまう。

この2つの経路がAlzheimer病の発症リスクにどのくらいの比率で関わっているのか、まだわかっていないが、多くの研究者は有害な型のAPOEおw臥位の少ない型に変えることが有望な治療法になるのではないかと考えている。

実際、実験レベルではAPOE4蛋白質の構造をAPOE3に似た構造に変えることに成功しており、それにより、培養細胞レベルでは異常な断片化を減らすことに成功したとのことであった。

mitochondria損傷は、Alzheimer病だけでなく他の疾患でもあてはまると言われている。

例えば、パーキンソン病や、てんかんでもリスク因子となることが知られており、脳損傷の予後不良riskの上昇やHIV感染で無治療の場合に急速な症状進行が見られることとも関連付けられている。

Rosesは、2009年に19番染色体のAPOEに隣接するTOMM40という遺伝子内に非codeDNA配列があることを報告した。

この配列は「523」と呼ばれ、長さにばらつきがあり、その長さによってTOMM40とAPOEの発現の程度が決まる。

Tom40はmitochondriaの外膜にあるタンパク質搬入用のchannelを形成している。このタンパク質がないと、mitochondriaは必要な時に分裂することができない。

多くの場合、Alzheimer病を発症するのは、かなり高齢になってからであるが、APOE4対立遺伝子を持つのは全体の25%にすぎない。

そのため、発症予測のためのAPOE4検査では部分的な情報しか得られないが、APOEとTOMM40の両方の遺伝子型を判定することで、もっと幅広い集団について情報が得られるだろうと推測されている。

Roseのteamは、APOE3が通常は短い523配列か非常に長い523配列のどちらかをもって遺伝することを見出し、APOE3対立遺伝子を2個受け継いだ日殿Alzheimer病発症年齢は、それと一緒に受け継いだ2個の523個の変異体の組み合わせ方に依存して異なっていたことを報告した。

ただし、他の研究室からこれとは異なる研究結果が報告されており、まだ決着はついていない。

「TOMORROW」と呼ばれる臨床試験が実行されており、健康な高齢者6000人が募集されており約5年間かけて実行され、APOE及びTOMM40にもとづいて発症リスク評価を行うalgorismについても調べられる。

またこの臨床試験では、リスク評価algorismでAlzheimer病のリスクが高いと判定された人々に、「ピオグリダゾン」という薬剤を低用量投与することで発症を遅らせることができるかも調べる。

ピオグリダゾンはmitochondriaの分裂を促進し、Alzheimer病に関連する病理や症状を改善することが期待される。

地球の呼吸を測定するOCO-2とは?

ASCENDS intro image

“NASAは2014年7月2日に炭素観測衛星を打ち上げた

http://science.nasa.gov/missions/oco-2/

OCO-2 mission graphic

 

 

 

 

 

“NASAにとって最初の炭素観測衛星になるが、実は5年前に約4億ドルを投じて開発されたOCOの打ち上げに失敗

“OCO-2は、地球大気中の二酸化炭素濃度の正確な分布を測定するための人工衛星である

“NASAは温室効果ガスである二酸化炭素の、工場や自動車などから排出・吸収されるような人為的要因によるものと植物、火山などからの自然要因によるもの両方の詳細な地図を作ることを目的としている

“実は日本でも、温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(Greenhouse Gases Observing Satellite)が2009年に打ち上げられている

http://www.jaxa.jp/press/2009/05/20090528_ibuki_j.html

“OCO-2は「いぶき」や「GOME-2(欧州気象衛星開発機構による開発された二酸化炭素濃度測定衛生)」と比較して、観測視野が約3㎢と非常に狭いが、圧倒的に分界能が優れている

“そのため、雲の多い地域、無秩序に広がる都市圏や大規模な発電所から排出される二酸化炭素さえ検出できるのではと期待されている

“NASAの目的は、OCO-2からの測定結果と地上での患側dataや化石燃料消費量の明細表とを組み合わせて温室効果ガスの排出源をつきとめることである

“OCO-2は光合成をする植物が放出する弱い蛍光を測定することにより、植物による炭素の取り込みも詳細に観測する。

“植物のクロロフィルという色素が太陽光を吸収してenergyを取り出し、より長い波長の光子を再放出する現象を利用して、この蛍光を測定する

“OCO-2の運営期間は予定ではわずか2年程度であるが、積載している燃料は10年分ある

“NASAは2017年に国際宇宙ステーションにOCO-2の測定装置を同じものを設置することを計画している

“OCO-2よりも低軌道で運行するため、異なる時刻にデータを收集することができる

“この2つのとなるdataから植物の光合成や大都市圏のラッシュアワーの影響による二酸化炭素の時間変導に関しても解析が可能になるかもしれない

“NASAに限らず、各国が次世代のに二酸化炭素測定衛生を開発しているASCENDS(NASA), GOSAT-2(JAXA), CARBONSAT’'(ESA)

http://decadal.gsfc.nasa.gov/ascends.html

http://www.iup.uni-bremen.de/carbonsat/

日光浴は中毒効果があるかもしれない

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“マウスを低用量紫外線に長期間さらすと、脳内麻薬の一つであるβエンドルフィンというオピオイドが産生されることがあきらかになったと2014年7月19日 Cell紙online版に掲載された。

“日に焼けることは、皮膚がんのリスクを高めることが広く知られている

“にもかかわらず、多くの日焼け愛好者がリスクをものともせず、日光を求め続ける

その理由を明らかにした発見かもしれない

“Fisherらは、マウスの一部の皮膚細胞が、低用量の紫外線に長期間さらされるとβ-endorphinも合成することを明らかにした

“紫外線を照射していたマウスでは、そうでないマウスに比べて血液中のβ-エンドルフィン濃度が優位に上昇

“マウスはもともと夜行性であるため明るい場所よりも暗い場所を好む傾向があるが、UVを照射したマウスでは、ライトのあたる場所を好むようになったと報告している

“しかし、紫外線に暴露したマウスを暗い箱とオピオイド作用と拮抗する「ナロキソン」投与とを結びつけるように学習させると、このマウスは明るく照らされた箱を探し出すようになった。

“ただし、この偏倚行動は遺伝学的にβ-endorphinを産生できないようにしたマウスでは認められなかった。

“マウスは全身を毛におおわれており、太陽に対する反応はヒトとは違う可能性もある

“そして、マウスが紫外線暴露の物理的報酬を経験したことは示されているが、依存症になったことまでは示されていないと指摘している

“それでも尚、Fisherによれば日光への暴露は、オピオイド薬よりはるかに多くの人々に影響を及ぼすため、今回の研究結果が人に当てはまるとしたら、社会に対する影響は極めて大きい可能性があると結論付けている

フリー素材 写真素材 高画質写真 海辺で日焼け

●所感

健康リスクがあるにもかかわらず、日焼けを好む人が後を絶たない

その理由として、日焼けをすること自体が脳内麻薬を産生することにつながることを示した初めての論文で、一定の価値があるだろう

β-endorphinの前駆体はPOMCと呼ばれる物質で、MSHとよばれるメラニン産生刺激物質の前駆体でもある

要するにMSHとβ-endorphinは同時に作られるのである

日光に暴露するという行為が、MSHだけでなくβ-endorphin産生も同時にもたらすということ

現在はsupplementとしてVitamine Dを摂取できるがかつては、できなかった

そのため日光暴露というものが、相対的に生命予後をよくしていたためにβ-endorphinも同時産生されるように進化したのかもしれない

高齢になり癌をもたらすリスクというのは、女性の生殖可能年齢が50歳であることを考えると、生物的には、それほど重要なことではないことも示唆しているかもしれない

そして、基本的に報酬回路というのは、寿命50年程度を考えた時に、種全体としての生命予後を良くする選択に対して働くのか

2014年9月13日土曜日

IgG4関連疾患

 

§IgG4関連疾患

IgG4-RDは日本で確立されたステロイドに反応する良性疾患であり、少なくとも自己免疫性膵炎はIgG4RDの一部である

IgG4-RDは炎症病態とはいえず、不明熱にもなり難いが、他臓器病変+高ガンマグロブリン血症を呈する疾患。

 

(1)概説

壮高年男性に多く、抗核抗体陰性、膠原病と関係しない

各臓器の腫瘤にIgG4酸性形質細胞の浸潤がある

○IgG4とは?

慢性の抗原刺激を受けた時に生じる

補体結合性抗体による免疫複合体性炎症に拮抗

IgEによるアレルギ―性障害に拮抗する

アレルギー患者ないし、IgE高値例に高IgG4がしばし認められる

⇒CSSでもIgG4↑、疾患活動性と相関

○IgG4-RDとは原則としてCRP0であることが初期判断に重要

⇒熱性病態でもないが炎症性腹部大動脈瘤は例外

 

(2)IgG4-RDに先立って知られていた疾患群

1. 自己免疫性膵炎/ Autoimmune pancreatitis

浸潤形質細胞はIgG4陽性細胞の比率が高い

多くは閉塞性黄疸または糖尿病によって気づかれ、膵腫大・膵管狭窄の画像をみてかつては膵腫瘍として手術されたが巣状のリンパ球・形質細胞浸潤、それを取り囲む線維化

⇒PSL 30-40mg/dayを著効して、腫大・黄疸・糖尿病が改善する

2. Mikulicz病

唾液腺と涙腺の腫大病変

Sjogren症候群と混同されたが、分泌低下は乏しく、抗SSA抗体陰性で、ステロイドに反応する点でSjogren症候群と異なる。全く別疾患であるサルコイドーシスの唾液腺腫脹まで含めてMikulicz症候群と言われたこともある。

3. 後腹膜線維症/ retroperitoneal fibrosis

後腹膜腔で炎症浸潤細胞と線維化を伴う軟部組織が増生し、血管や尿管を取り巻き、臨床的に疼痛ないし、炎症性腹部大動脈注、水腎症・腎後性腎不全を呈する

⇒多くは血清IgG4高値であることがわかった

4. IgG4-RKD

*後腹膜線維症、腫瘤による腎盂・尿管の圧迫⇒水腎症、腎後性腎不全

*尿細管間質性腎炎

尿細管~間質に巣状のリンパ球・形質細胞、それを取りまく線維化

IgG4陽性形質細胞が多い、好酸球の浸潤も見られる

まとめ: 腫瘤性病変と高γグロブリン血症を見た際にはIgG4-RDを疑うべき

臓器別の病態名

頭頸部; 肥厚性硬膜炎(脳神経の圧迫障害、頭痛)。下垂体縁、炎症性偽腫瘍、耳下腺炎、涙腺炎

胸・腹; リンパ節炎、間質性肺炎、肺・縱隔腫瘤、自己免疫性膵炎、硬化性胆管炎、炎症性腹部大動脈瘤

腎・泌尿器; 尿細管間質性腎炎、水腎症、前立腺炎

 

(3)症状

圧迫症状(膵管、胆管、尿管、腎、神経、血管)、糖尿病(←膵炎)

例えば、軽い腹痛、黄疸、腎不全、脳神経圧迫症状、頭痛で受診する

Ex: 嗄声・嚥下障害で発症し、脳神経圧迫の原因となるpachymeningitisを認めた。珍しい気管支粘膜の腫瘤性病変も見られ、所見はすべてステロイド治療で改善したが嗄声は遷延した。

 

(4)検査

○血液

血清IgG高胝

IgG4>135mg/dl

IgG4/IgG index>8%

ときに好酸球増加、血清IgE高値、通常CRP0

○画像検査

肺(寒湿、儒喀の浸潤影または腫瘤影)、腹部・後腹膜腔(腫瘤、大動脈瘤)、頭部(脳硬膜粃糠、大腦のpseudotumor, 下垂体炎)

 

(5)治療

PSL:0.6mg/kg/day

一般に著効するが線維化病変には効きにくい

線維化した腫瘤の尿管圧迫による腎障害は回復しにくいこともある

自己免疫性膵炎によるDMもすぐに治るわけではない

高齢者が多いので、感染及び長期的副作用に気を遣う、減量中の再然も多い

 

(6)診断基準

癌・悪性リンパ腫、WG、Sarcoidosis, CSSなどを除外すべき

炎症性大動脈瘤を除いてCRP上昇は認めにくい

1. 特徴的な、びまん性または局所性の腫大病変が単発または多発

2. 血清IgG4>135mg/dL

3. 生検像

①明瞭なリンパ球。形質細胞浸潤と線維化像

②浸潤形質細胞; IgG4陽性細胞/IgG陽性細胞比>40%かつ

強拡大視野にIgG4陽性形質細胞>10

診断: 1+2+3: 確実、1+3: 多分IgG-RD、1+2: IgG-RDの可能性あり

2014年9月7日日曜日

泌尿器科 2CK/ 日本医師国家試験対策

泌尿器科

<解剖生理学>

(1)腎の脈管

○脈管の関係

腹から: V→A→U

(2)尿管

尿管の長さ: 25~30cm

尿管の走行: 後ろから前へ; 総腸骨動静脈より前、大腰筋より前

膀胱三角部の機能: 逆流を防ぐ

狭窄部3か所: ①腎盂尿管移行部②膀胱流入部③総腸骨動脈交叉部→結石陥頓しやすい。

胃袋と膀胱は筋肉三層構造

膀胱は頂部のみ腹膜と接している。

膀胱粘膜は移行上皮

膀胱壁の中の尿管は斜走→逆流防止にgood

膀胱の容量は300~500ml

容量と膀胱内圧の関係は、正比例ではない

(3)精巣、精管

精液: 精子+精嚢液+前立腺液

精細管(周囲: 間質、白膜)→精巣上体→精管

精細管→①精細胞: 精祖細胞→精母細胞(第1第2減数分裂)→精娘細胞(セイジョウ)→精子

   →Sertoli細胞(FSH)

間質 →ライディッヒ細胞→テストステロン(LH)

精子の分化: 精細管 精子の成熟: 精巣上体

 

<尿がでない>

(1)尿が出ない

 

尿閉   ←鬱滞→         無尿1(腎後性無尿)

無尿2

       

原因

BPH

排尿反射↓(DM, LSS,脊損)=弛緩性膀胱=自律性

子宮脱

癌(骨盤内)

ARF: 腎前性, 腎性

症状

尿鬱滞→水腎症→腎後性腎不全

尿鬱滞→水腎症→腎後性腎不全

尿を作らない

治療

*導尿(家なら間欠的自己導尿、腹圧排尿)

*エコー下腎盂穿刺

*下腹部圧迫=手圧排尿禁忌

*エコー下穿刺

*腎瘻

生食、フロセミド

Cf. 排尿反射

1. 膀胱収縮 =副交感神経↑

2. 括約筋緩む=交感神経α↓

この二つが同時に起こるのが大切

Cf. BPH→αブロッカー: 出口緩める

抗コリン薬→尿閉: 抗コリン薬 (PL風邪薬にも入っている)

(2)尿閉の原因: BPH,②自律性膀胱(弛緩性膀胱)

①BPH

@検査: 尿流測定→エコー、MRI

ピークが下がってダラダラ出る

治療: 1st αブロッカー @2nd TUR and 自己導尿( 1stで効果ないとき)

②自律性膀胱; “反射”から独立した溢流性 。反射が起きずどんどん蓄積していく。

検査: 膀胱内圧検査

治療: 自己導尿(押し出す力が弱いとき)

遅れて、しかもだらだら出る

Cf腎不全→静脈性尿路造影はできない ∵濾過されないから

水腎症の状態でドレナージすると、腎性尿崩症になることがある→水腎症では必ず入院でin out管理しないといけない!!

 

<尿が出すぎる>

(1)頻尿

①多尿: 1. DM、2. 尿崩症

②過刺激: 3. 膀胱刺激症状、4.過活動膀胱

(2)尿失禁: http://jinzou.sekatu.com/nyousikkinn.html

①真性尿失禁: 尿路自体に異常

*尿管異所性開口

*括約筋損傷(前立腺全摘後など)

②仮性尿失禁: 尿路以外の異常

1. 腹圧性尿失禁:膀胱造影が有用

*骨盤底筋群↓→(多経産婦)いきんで漏れる

治療:骨盤底筋群のトレーニング

2. 溢流性(奇異性)尿失禁

*尿閉に伴う(たとえば、弛緩性膀胱⇒尿閉⇒溢流性尿失禁)

3. 切迫性尿失禁(過活動膀胱: 脳での)

4. 反射性尿失禁(過活動膀胱: 脊髄での)

5. 機能性尿失禁: 尿路以外の身体精神障害で生じる(ex: トイレまでいけない)

Cf. 腹圧性膀胱と過活動膀胱の鑑別

 

尿意

症状

腹圧性@

(-)

*頻尿(夜トイレ3~4回)

*失禁

過活動性膀胱  

求心路intact(中枢性、間質性膀胱炎)であれば(+)

*頻尿(夜トイレ3~4回)

*失禁

Cf. 神経因性膀胱: 過活動膀胱、弛緩性膀胱

◎過活動膀胱: 神経因性膀胱

排尿反射↑: 反射性/切迫性→尿失禁→治療: 抗コリン薬

 

尿意

場所

反射性(自動性)

(- )

脊髄

切迫性(無抑制)

(+)

大脳

*脊髄は狭いので、求心路(尿意)も遠心路(過活動抑制)も破壊される。

*大脳は広いので、遠心路(過活動抑制)のみ破壊される。

◎弛緩性膀胱: 神経因性膀胱@

排尿反射↓⇒尿閉⇒尿失禁⇒治療: コリン薬

①自律性  ; 求心路、遠心路共に

②知覚麻痺性; 求心路のみ

脊髄中枢=S2~4

D/D排尿反射による失禁の分類

①排尿反射正常: 真性尿失禁、機能性尿失禁、腹圧性尿失禁、尿閉(BPHなど)

②排尿反射過剰: 過活動性膀胱(切迫性尿失禁、反射性尿失禁)

③排尿反射低下: 弛緩性膀胱

 

<機能障害>

(1)水腎症

腎盂が拡大→腎後性腎不全(特に集合管障害されやすく腎性尿崩症の状態に)

→腎性と同じ

* Uosm=Posm: 等張尿

*尿Na上昇

原因は?: 尿路の閉塞

①尿閉(BPH, 自律性)

@②尿管の閉塞 cf. 馬蹄腎: 両側性のこと多い 膀胱三角瘤: 先端が狭窄=ピンホール様

@後部尿道弁→精丘のところで膜様弁が生じる→両側性水腎症

腎盂が大きく見える→①水腎症②慢性腎不全(腎実質の縮小で腎盂が大きく見える)

(2)膀胱尿管逆流症(VUR)

排尿時に膀胱→尿管逆流: 尿管鬱滞→①水腎症②急性腎盂腎炎

①原発性

逆流防止の未熟→年少児(性: 女>男児)

原因: 膀胱三角部の機能未熟、尿管が垂直に膀胱に侵入(締め付け弱い)

②続発性

@膀胱より下流―鬱滞

Ex: 尿閉

@検査: 排尿時膀胱造影, IVP, エコー, CT

Cf. IVPはCr>2mg/dl以上あるときは造影が不十分なことが多く、しかも腎機能をさらに悪化させる可能性が多い

治療: @

①原発性: まずF/U→改善しない水腎症などを認める→逆流防止術を試行する

②続発性: 原疾患の治療

Cf. 下大静脈後尿管

⇒右の尿管うっ滞から結石伴って血尿を呈することあり

(3)尿管異所開口

*概念

尿管が正常の尿管開口部以外の場所に開口するもの

*臨床像

患側の水腎症の原因になりやすい。女性の場合尿失禁の原因として重要。

*検査

⇒静脈性尿路造影

インジゴカルミンを静注すると異常開口部から排泄がある

⇒当然、上から流さないと意味ない!!

*治療@

腎機能が良好なら尿管膀胱吻合術。腎機能不良なら腎尿管摘除術。

 

<尿路感染症>

(1) @炎症疾患: 10^5/ml以上を認めることが診断基準の一つである

 

発熱

特異的な症状

急性膀胱炎

陰性(管腔臓器なので)

*膀胱刺激症状(頻尿・排尿時痛・残尿感)

急性腎盂腎炎

陽性

*背部痛

*CVA tenderness(腎被膜伸長による)

*膿尿ほぼ必発

急性前立腺炎

陽性

*会陰部不快感

*膀胱刺激

*排尿障害、膿尿認めることあり

急性精巣上体炎

陽性

*陰嚢痛

*陰嚢腫脹 D/D精巣捻転: 発熱(-)で鑑別

逆行性が多い⇒排泄障害が伴う時に原因になる=尿道下裂はリスクになりにくい

GNR: 大腸菌

尿沈渣: 白血球, 赤血球

@治療: ニューキノロン系

単純性→基礎疾患(-)

複雑性→基礎疾患(+)

(2)STD

淋菌性

クラミジア

潜伏期

3d~1w

1~3w

分泌物

(+)膿性

(±)漿液性

検査@

Gram染色

DNA診断

治療@

セフェム・PC・ニューキノロン

マクロライド・テトラサイクリン・ニューキノロン

(3)尿路結核

空気感染→肺へ→経血行的→①まず腎臓、次に腎臓から排泄されて尿路へ、②尿路へ

尿路: 変形、狭窄(乾酪性肉芽腫により)

 

<尿路結石>@男性は女性の2倍以上!!、上部尿路の方が多い。

(1)原因

1. Ca結石

シュウ酸カルシウム結石(最多): 正四面体、正八面体

リン酸カルシウム結石(シュウCaとの混合石)

 

原因

@シュウ酸Ca結石

①尿にCa↑:

(1)濾過量多い;血中Ca↑(副甲状腺↑、骨吸収↑(ねたきり、遠位RTA))

(2)Ca再吸収×; ステロイド、Cushing症候群、炭酸脱水素酵素阻害薬

②尿にシュウ酸↑:

(1)遺伝性

(2)腸管吸収性高シュウ酸血症:

腸管内のCa-FFA結合↑→シュウサン-Ca結合↓→シュウサンの腸管吸収↑

(3)食事性: ホウレンソウ、チョコ、ココア、VitC

③うっ滞/ 異物(カテーテル)

2. リン酸アンモニウムマグネシウム結石

UTIに合併する→尿がアルカリ: リン酸アンモニウムMgが沈殿→結石→UTIの悪循環

女性に多い: UTIの頻度に関連

形状: 珊瑚状腎盂(悪循環で育って大きくなる)

そもそもの頻度も多い(尿酸結石より多い)∵UTI頻度が関係する

3. 尿酸: 高尿酸血症

酸性で沈殿しやすい→予防: 尿をアルカリにする

X線: 陰性石(CTで描出)

Cf: サイアザイド→尿中への尿酸排泄↓→尿酸結石×

4. シスチン結石: 常染色体劣性遺伝、六角形

酸性で沈殿しやすい→予防: 尿アルカリ化

X線: 陰性石(CTで描出)

治療薬: ペニシラミンがキレート剤として機能する

Cf. 糖尿病とアルドステロン症は尿路結石の原因とならない

Cf. 海綿腎: 集合管の障害で鬱滞→結石ができる

(2)診断~治療の流れ@

*側腹部痛

*会陰部への放散がある(CVA tenderness)à 尿鬱滞

→尿: ①試験紙法: 鮮血陽性 ②沈渣:RBC(変形なし) 試験紙法で陽性→沈渣を行う

1. エコー: 腎盂にあればこれでわかる

2. X-P: エコーが弱い尿管もok@

3. CT

4. IVP: どうしてもわからないときに施行、尿路形態の異常と陰影欠損)

→石の診断とともに水腎症の有無もみる

治療:@

①10×6mm以下; 自然排石可能@

*保存的: 1. 飲水、2. 抗コリン薬(平滑筋緩む、痛みも減る)、3. ペンダゾシン、硬膜外麻酔(鎮痛して緩ませる)

*結石溶解: 1. 尿酸結石⇒アロプリノール、2. シスチン結石⇒D-ペニシラミン、3. Ca結石⇒サイアザイド

②長径10mm以上: 自然排石無理→結石破砕術(ESWL体外衝撃結石破砕術)⇒難治例には経皮的腎砕石術や経尿道的尿管砕石術との併用療法。

Cf. 尿管ステントが留置されることもある

③手術的治療の適応

a. 腎機能障害をきたす尿路の閉塞 b. 難治性尿路感染症の併発 c. 自然排石困難な結石

(3)尿pHとX線透過性による分類

①尿pH

酸性: キサンチン、尿酸、シスチン、シュウ酸Ca

アルカリ性: リン酸Ca、リン酸マグネシウム、リン酸アンモニウム

②X線透過性

透過性大: キサンチン、尿酸、シスチン(語呂: キニシない)

透過性小: シュウ酸Ca、リン酸Ca

 

<尿路系の腫瘍>

腎細胞癌/ 膀胱癌→血尿(無症候性、間欠的)

→尿細胞診を行う(陽性率高く有用)、IVP(尿路に接しているので有用)

腎細胞癌

腎盂・尿管癌

尿道癌

膀胱癌

由来

尿細管上皮由来

移行上皮癌

仮性重層円柱上皮

移行上皮が90%

(1)腎細胞癌

@原因: ①VHL遺伝子×(がん抑制遺伝子)②長期透析 →腺癌

@症状: 腫瘤、疼痛、血尿(ただし早期症状乏しい)

特徴: ①Hypervascular(血行性転移)、②ホルモン放出↑↑(Epo, PTHrP, サイトカイン→発熱)③静脈内への浸潤傾向強い

@検査: ①エコー ②CT/MRI ③Angio ④IVP ⑤尿細胞診

手術: ①~4cm: 部分的腎摘除 ②4cm~: 根治的腎切除(Gerota筋膜ごと)

→手術適応ないときサイトカイン療法( IFNなど)

Cf. IVP=intravenous pyelography

(2)膀胱癌

原因: 不明、ナフチルアミン・オーラミン・ベンジジンはリスク

病理: 移行上皮癌、乳頭状増殖、多発性(空間的: 同じ移行上皮領域の腎盂、尿管にも発症、時間的: 再発起こる)

症状: 血尿(初期に発見できる)

検査: ①エコー(1㎝以下でも描出可能) ②CT,MRI(深達度も) ③膀胱鏡→生検(深達度も) ④膀胱造影/IVP( 膀胱内のコントラスト劣るが腎盂尿管系を幅広くスクリーニングできる)⑤細胞診

◎治療

①表在癌: TUR-Btの後に抗癌薬、BCGの膀胱内注入療法を行う

②浸潤癌: 膀胱全摘+抗癌薬全身投与

(①上皮内癌: 膀胱内に抗がん剤、BCG注入→辺縁不明瞭なため

②粘膜下層: 内視鏡的切除(TUR)

③筋層: 手術+尿路変更術)

Cf. 尿路変更術

(1)腸に尿を出す(S状結腸): 感染の問題。

(2)回腸を一部切除し導管を作って、皮膚に露出させる(リザーバーを作る)→感染の問題はすくないがコスメティックな問題あり。

Cf. レノグラム@

  • 閉塞性腎疾患や腎血管性高血圧症、腎腫瘍などにおける分腎機能評価や治療後の経過観察に有用です。
  • アイソトープを静脈内に注射しながら30分連続撮影する。腎臓に流れ込む血液の様子、左右の腎臓それぞれの機能を知ることができる。
  • 移植腎の機能評価が可能です。
  • 利尿剤を負荷して検査を行う利尿レノグラフィでは、尿路系の拡張が器質的な閉塞によるものか、機能的なものかの鑑別が可能です。

◎尿膜管→胎生期に膀胱から臍帯へ向かう管: 胎生期膀胱からの老廃物を排出

→生後は閉じる

①嚢胞→鬱滞、感染のリスク

②発癌(腺癌): 予後悪い

 

<生殖器の腫瘍>

(1)前立腺

○輪切にした絵

腹側: 膀胱 背側: 直腸

前立腺:

①中心域; 本来の前立腺→精液の一部を作る(精子活性↑)

@②移行域(周囲腺)→BPH

③辺縁域→前立腺がん

○横から見た絵

移行域: BPH→図より膀胱刺激、排尿困難生じやすい

辺縁域: 前立腺がん→図より症状生じにくい

①肥大症(正常前立腺=くるみ大)

診断から治療の手続き

○診断@

頻尿→排尿困難(+)→排尿困難(++)残尿感→尿閉(特に飲酒後)

→①スコアを付けるIPSS ②尿流測定 ③エコー、(CT)、MRI

尿の出方が遅い、積分したら尿量

肥大症では、機能異常の検査の方が重要

○治療

排尿困難(+)~ →α1ブロッカー

排尿困難(++)、残尿感~ →α1ブロッカー+TUR

尿閉→α1ブロッカー+TUR

Cf. TURでは、電流を使用するため灌流液として非電解質等張液を使用する。

Cf. 排尿後尿滴定→残尿強

②前立腺癌

診断から治療の手続き

○診断

@健診で見つかること多い: PSA↑(PAPも上昇、癌特異的)

検査:

①エコー: 経直腸的

@②MRI: T2;辺縁域高信号→高信号でない不整なmass

③生検: 経直腸的

○治療@

A: たまたま(BPHのTUR)→F/U

B: 前立腺内 →手術=前立腺全摘 (+放射線+内分泌)、放射線治療も根治術たる

C: 骨盤内 →(手術+)放射線+内分泌

D: 骨 →内分泌+(補助的に化学療法、効きづらいので)

Cf. 内分泌療法@

①産生↓: GnRHa

②受容体ブロック: 抗アンドロゲン薬=フルタミド(CAB療法)

③アンドロゲン活性↓: 5α還元酵素阻害薬=フィナステリド

③拮抗: エストロゲン製剤

○骨転移→脊椎、骨盤

脊椎: 椎体に転移→脊柱管内に浸潤して神経症状

①下肢、筋力低下、感覚×

②排尿×→自律性膀胱→尿のうっ滞、急性腎盂腎炎→導尿・輸液(尿閉に近いときに導尿すると導尿後尿崩症様の症状呈する)@

Cf. 膀胱瘤

(2)精巣腫瘍: 25-35

受精卵→セミノーマ: LDH↑

@胎児細胞→胎児性癌、卵黄嚢腫、奇形腫: AFP↑

絨毛細胞→絨毛癌: hCG↑

○診断から治療への手続き@

精巣腫大(無痛性、透光性なし)

検査: エコー、CT/MRI、腫瘍マーカー、生検は禁忌

手術(転移があっても施行する: 放射線化学療法が著効するので)

術式: 高位精巣切除術(鼠蹊部のレベルで精巣動静脈を切除する)

@治療: ①セミノーマ: 放射線・化学 ②非セミノーマ: 化学療法

ただし範囲広いときはセミノーマでも放射線療法施行せずに、化学療法を行う。

 

<外傷>

(1)

○分類: 出血量の度合いで分類@

1度: 挫傷

2度: 裂傷

3度: 破裂、断裂

4度: 腎茎

http://www.geocities.jp/study_nasubi/e/e66.html

○症状

血尿(腹部損傷後血尿でたら腎損傷疑う): 膀胱バルーンカテーテルを入れておく

@→血尿見られたら①造影CT、②Angio、③IVP

☆血尿の程度は腎損傷の度合いを反映しない。

○検査

腹部X線像影CT、腎動脈造影、IVP、DIP(≒IVP)

⇒逆行性腎盂造影は禁忌: 尿道通すと腹腔内に最近まき散らす??

○治療

1度→保存

2度→塞栓術の適応もあり

2~4度→開腹手術する

(2)尿道

 

原因

症状

その他の所見

膜様部損傷

骨盤骨折

血尿

 

球部損傷

直接会陰部損傷

排尿困難・尿閉

会陰部出血斑

○診断: 逆行性尿道造影(cf. 尿道近くはこっち、より腎近いのはIVP)

○治療:テで保存的、手術(一期的、二期的手術:一時的に膀胱瘻を作り血腫落ち着いてから)

(3)精巣の外傷

病因: 白膜が断裂

症状: 精巣腫脹、疼痛

検査: エコー, CT/MRI

○治療

軽症→F/U

重症→血腫除去/精巣摘出

 

<先天性>

(1)

①嚢胞

嚢胞腎

 

嚢胞腎

海綿腎

病因

○遺伝性:

AD-成人

AR-小児・重症(1歳以内で死亡する)

○非遺伝性: 成人からみられること多い、両側性

病態@

尿細管と集合管の癒合不全

→嚢胞が形成され周りを圧排、破壊→血尿・多尿→CRF

Cf. 腎実質が破壊されるので高血圧も呈する

集合管の拡張(錐体部に異常)→小さい嚢胞で周囲を壊さないが、うっ滞が強い→尿路結石

合併症

*肝、脾臓、すい臓に嚢胞

*脳動脈瘤

 

検査

 

IVP: 錐体部にブラシ状の陰影

腎嚢胞エコー

IVP: 上部尿路の診断にgood http://www.harasanshin.or.jp/kensa/housha/ivp

②癒合した腎: 下極で

馬蹄腎: 遺伝性なし

症状: 一~両側に尿管狭窄→水腎症(前を尿管が下りるので)

@特徴的な所見: Rovsing徴候; 背屈で癒合腎が脊柱に押されて、狭窄が起こる→痛み++

検査: CT/MRI

(2)尿管→3つあり、互いに合併しうる@

①異所性の開口→真性尿失禁

②瘤を形成する→尿管瘤→小さい穴なので狭窄も起きる

③重複尿管

◎重複尿管

Meyerの法則

上から出たもの→下に開口しやすい: VURは生じにくい(斜めに挿入するので)、尿管瘤あることも。

下から出たもの→上に開口しやすい: 三角部より上に開いたときVUR生じやすい。

Cf. 女性の場合、尿管瘤が外尿道口から脱出することもあり。

(3)精巣

下に降りてくる

横から

腹膜が筒、症状突起→その中に精巣動静脈を包む

①下に降りない→停留精巣: 生下時に降りているのがふつう、数か月までは下に降りる、1歳~は治療対象→乏精子症/ 発癌→治療は精巣固定術

②袋が閉じない

1. 外鼠径ヘルニア

2. 陰嚢水腫

3. 精巣捻転症

病態: 動静脈狭窄: 虚血、うっ滞

症状: 腫脹・圧痛

治療: 4-6hr以内の手術(整復)

検査: ドップラーで血流→途絶している

治療: 精巣固定術を両側に行う

○精巣腫脹のD/D@

   

透光

その他の特徴

無痛性

陰嚢水腫

精液瘤

精巣腫瘍

あり

あり

なし

硬い

有痛性

精巣捻転症

精巣上体炎

なし

なし

Prehn徴候陽性

発熱、Prehn徴候陰性

Prehn徴候: 精巣を拳上して痛みが増す→陽性

精巣上体炎→精巣に鬱滞した血流が下がり痛みが減る

精巣捻転症→鬱滞がよりつよくなり痛みが増す

良性で、無症状のものはF/Uの必要なし。

○精索静脈瘤@

①特発性

②続発性→腎細胞癌

左に出来やすい

急にできる→腎細胞癌を疑う

特発性→乏精子症の最大の原因

<その他>

陰茎の勃起と障害

@陰茎海綿体→海綿体洞: 血液が充満→勃起する: 副交感神経刺激(骨盤神経)

治療薬→シルデナフィル; 硝酸薬と同時投与は禁忌

○持続的勃起

@*血液の病的な、うっ滞→白血病が原因であることが多い

*亀頭の拡張(⇒排尿困難(-))がないこと、圧痛を認めることが特徴

*最終的に勃起不全になる

○精巣損傷

Adding

腎乳頭壊死: http://blogs.yahoo.co.jp/comoson2000/60644318.html

耳鼻科2CK/ 日本医師国家試験対策

耳鼻科学まとめ

<耳-総論>

聴神経: ①蝸牛神経=聴覚、②前庭神経: 平衡覚

(1)聴覚

聴覚伝導路: Ⅰ聴神経→Ⅱ蝸牛神経核→Ⅲ上オリーブ→Ⅳ外側毛帯→Ⅴ下丘→Ⅵ内側膝状体→聴覚野(上外下内)

(2)平衡覚

三半規管

耳石器

検知対象

頭の回転角加速度

重力の方向

機能装置

クプラ

平衡斑(平衡砂+有毛細胞)

(3)頭頸部の知覚神経

鼻: V1, V2

動眼神経は上からくる=上咽頭癌で障害されやすいのは外転神経

Cf. リンパの流れ

 

<難聴-総論>

(1)鑑別

image

(2)耳痛

①耳疾患に由来するもの

外耳: 外耳道炎、RamsayHunt症候群

中耳: 急性中耳炎

②口蓋、咽頭扁桃疾患: 舌咽神経を介した放散痛

③歯、口腔疾患: 三叉神経枝を介した放散痛

④喉頭・咽頭疾患・耳下腺炎: 迷走神経を介した放散痛

Cf. 咳嗽反射: 求心=CNⅩ 遠心=CNⅩ、横隔神経、肋間神経

(3)先天性難聴

風疹、CMV、低出生体重児、重症黄疸

(4)一側か、両側か??

一側

両側

非感染性

突発性難聴

老人性

騒音性

中毒性

感染性(内耳炎)

ムンプス、ヘルペス

風疹、麻疹、インフルエンザ、梅毒 MRインバイ

(5)補聴器: 一般には平均聴力40db以上で、語音明瞭度良好の時に良い適応

伝音性⇒非常に良い適応(実際には両側性のものに適応)

感音性⇒軽症は○、重症は×(実際には初期からADL改善目的に使用する)

適応なし⇒①ろう>91db→人工内耳の適応、②機能性: 詐聴、心因性難聴

 

<外耳の疾患>

(1)耳せつ(急性化膿性限局性外耳炎)

*概説: 外耳道軟骨部に発生したおでき。保存的に治療。

*D/D: 単純膿性の耳瘻、発熱(-) 中耳炎は粘液性

Cf. furuncle=せつ、carbuncle=よう→せつが複数集まったもの

<伝音性難聴>

①中耳: 中耳炎; 1. 急性⇒慢性⇒真珠腫、2. 急性⇒滲出性中耳炎

②耳小骨障害

(2)中耳炎: リスク; 1)乳突不良2)糖尿病

*概説

起因菌: インフルエンザ桿菌、肺炎球菌

リスク: 保育所などの集団生活 悪化因子: 2歳以下

①急性⇒慢性⇒真珠腫性

急性⇒

慢性⇒

真珠腫性

病態

主に経耳管的に感染⇒発熱、耳痛、鼓膜の発赤・膨隆

*慢性炎症⇒肉芽腫形成⇒鼓膜穿孔=耳ろう⇒伝音性難聴

*含気蜂巣発育抑制

*扁平上皮過形成(非常に固い)⇒①耳小骨②内耳ともに破壊される

*顔面神経麻痺

治療

抗生剤(初めの3日間は経過観察)、切開排膿

*まずは保存的治療

→伝音性難聴高度で手術

1. 保存

a. 排膿

b. 抗菌薬点耳、内服、IV

2. 手術=鼓室形成術

鼓室形成術

D/D慢性化膿性中耳炎と真珠腫性中耳炎

 

耳漏の性状

鼓膜所見

X線像

慢性化膿性中耳炎

粘液性

緊張部中央に穿孔

緊張ないと光錐(-)

乳突蜂巣発育不全

硬化像

真珠腫性中耳炎

悪臭を伴う分泌物

上鼓室(弛緩部あるいは辺縁)に穿孔

骨欠損

*顔面神経と鼓室の位置関係

○鼓膜所見

 

位置

肉眼的所見

層構造

弛緩部

上方

濁っている

2層

緊張部

その他

半透明、光錐

3層

⇒緊張ないと光錐できない⇒下が緊張部と想起

②急性⇒滲出性

*病態

1. 耳管がa. 上気道炎、b. アデノイド、c. 上咽頭癌により閉鎖され、中耳内が陰圧になる⇒水が中耳内にたまる⇒伝音性難聴

2. 小児(4~6)と高齢者の二峰性ピーク

D/D 耳痛(-): 中耳炎との鑑別点

*検査

視診: 鼓膜内陥

@インピーダンスオージオメトリー: B型(稀にC型 cf. 耳管狭窄が主なC)

*治療

耳管閉塞の原因疾患の治療

(2)耳小骨

*概説

AB gap(+)で鼓膜に異常無し!!

病態

病名

特徴

検査

ティンパノ

治療

耳小骨硬い(アブミ骨と蝸牛の固着)

耳硬化症

*10~30歳女性好発

*周りがうるさい方がよく聞こえる

*鼓室岬の充血

*徐々に進行

*両側性

オージオグラム

⇒2000Hzで骨導↓=cahartの陥凹

As型

アブミ骨術

耳小骨外れた

離断症

外傷契機に発生

 

Ad型

 

⇒さらにティンパノメトリーで検査

Cf. 外傷性の難聴

病因

難聴の種類

耳小骨離断症

頭部打撲

伝音性難聴

外リンパ瘻

鼻をかむ、重いもの持ち上げた

感音性難聴

 

<感音性難聴>

(1)内耳性-AB gap(-), 補充現象(+)

*高度な難聴(ろう>91dB)⇒内耳炎

*一側: すべての音域⇒突発性難聴: 突発的で耳閉感を伴う

*両側高音域

1. 4000Hz(C5-dip); 騒音性難聴: 急(音響外傷)⇒眩暈(+)、緩徐⇒眩暈(-)

2. 高音域全体: 老人性難聴

*両側全音域: 中毒性難聴: アミノグリコシドによる

老人性難聴で高音域から障害されるのは当然である→蝸牛の底部で、高音が聴取される=音エネルギーを最初にうける→長年の音エネルギーの蓄積で、底部から変性する(騒音性難聴も同様である)

①内耳炎

②薬剤性難聴

③突発性難聴④騒音性難聴⑤老人性難聴⑥外リンパ瘻

⑥外リンパ瘻

概説: 腹圧↑により内耳窓が破裂→外リンパ液(髄液)が流入もしくは漏出し、蝸牛症状や前庭症状を呈する

症状: 高音域優位の変動性感音性難聴、めまい

Cf. 先天性難聴

-内耳炎などによる

-早期に診断(6か月)

-言葉の発達を図る

D/D言葉の発達が遅れる①知能低下②難聴

Cf. Ramsay-Hunt症候群@

顔面神経麻痺だけでなく、蝸牛・前庭脳神経障害も生じる

Cf. 機能性難聴: オージオグラム(主観的)⇒聴力低下、しかしABR(客観的)⇒変化なし

Cf. 自記オージオメトリ: 聞こえないとき音量大きくする、聞こえるとき小さくする

 

難聴の種類

オージオメトリの型

連続音=断続音

正常or伝音性

Ⅰ型

連続音が聞き取りづらい

感音性

Ⅱ型: 内耳性

Ⅲ, Ⅳ型: 後迷路性

断続音が聞き取りづらい

機能性難聴

Ⅴ型

補充現象(+)⇒ギザギザが細かくなる

黒=持続音、青=断続音

(2)後迷路性: 蝸牛神経障害

▽第Ⅷ神経鞘腫(聴神経鞘腫)⇒前庭神経から発生する

Cf. 大きくなると周囲の神経圧迫(Ⅴ,Ⅶ)

Cf. 両側性の場合は神経線維腫と考える

発生母地と症状

検査所見

蝸牛神経⇒難聴

AB gap: (-)

補充現象: (-)

ABR: 潜時延長; 伝道↓を反映

前庭神経⇒めまい(+/-):CNSが代償するので

Caloric test: CP

 

<めまい-総論>

@

特徴

経過

末梢性

中枢性

回転性

vertigo

悪心、嘔吐を伴う

凝視による抑制あり

急性

メニエール

前庭神経炎

BPPV

脳梗塞

脳幹梗塞(ワレンベルグ)

動揺性

dizziness

ふらつき=前庭性失調: Romberg(+), 偏倚(患側に傾く)

凝視による抑制なし

慢性

聴神経鞘腫

小脳変性症

<めまい-各論>

 

メニエール病

前庭神経炎

BPPV

症状

突発性のめまい(回転性)、前庭性失調

眼振

方向固定性水平性眼振

一方向性水平眼振

回旋性眼振

Caloric test

反応(-)=CP

反応(-)=CP

施行しない

難聴

(+)

(-)

(-)

経過

繰り返す

感冒ウイルス

くりかえす(~数十秒)

治療

循環改善薬、利尿薬⇒内リンパ嚢開放術

 

理学療法

Cf. 内耳性難聴+めまい

①メニエール病

②アミノグリコシド系-動揺性めまい

<鼻-総論>

(1)解剖生理

鼻腔・副鼻腔: ①吸気の加温、加湿、浄化②音性の共鳴

上鼻道: 後ろにあるものが開口; ①後部篩骨洞、②蝶形骨洞

中鼻道: 後ろにあるもの以外; ①前部篩骨洞、②前頭洞、③上顎洞

下鼻道: 鼻涙管が開口

(2)症候

▽嗅覚障害@

<炎症性鼻疾患>

(1)アレルギー性鼻炎

 

年齢

合併症

減感作(IgG4関連)

通年生

ダニ

若い

喘息

有効

季節性

花粉

 

結膜炎

無効→免疫寛容も記憶??というか遮断抗体産生を介すので

症状: 鼻閉、鼻汁、くしゃみ

鼻甲介: 蒼白、腫脹

治療: 抗アレルギー薬、抗ヒスタミン、ステロイド点鼻

(2)副鼻腔炎

好発部位: 篩骨洞(蜂の巣上で貯溜しやすい)、上顎洞(開口部が上)

<血管性鼻疾患>

鼻出血

特発性-80%

@続発性-20%: ①血友病、②上顎・上咽頭癌、③Rendu-Osler-Weber病

Cf. Rendu-Osler-Weber病: 肺動静脈瘻+鼻・消化管血管腫(鼻出血、下血)

Cf. Bellockタンポンの合併症=滲出性中耳炎

 

<腫瘍性鼻疾患>

▽上顎癌@

-扁平上皮癌、男性に多い

-予後: 悪い、骨の中で早期症状出にくい

-治療: 集学的治療が原則

①術前に放射線療法や化学療法(浅側頭動脈から抗腫瘍剤動注)

②縮小してから手術

<咽頭総論>

(1)解剖生理

咽頭扁桃腫大→①上気道狭窄、②滲出性中耳炎

アデノイドは4~6歳で生理的に肥大する

<唾液腺の疾患>

多形腺腫(耳下腺、顎下腺、舌下腺): 良性、しかし切除して取り残すと癌化

唾石症(顎下腺好発): 摂食時疼痛、腫脹

 

支配神経

排泄管

耳下腺

CN9、CN5

ステノン管

顎下腺

CN7

ワルトン管

舌下腺

 

<扁桃の疾患>

急性扁桃炎→扁桃周囲膿瘍or慢性扁桃炎

(1)急性扁桃炎

@起炎菌: A群β溶連菌(pyogenes)

症状: 発赤、膿栓、白苔

治療: PC-G, 広域PC/セフェム

(2)扁桃周囲膿瘍

概説: 扁桃被膜と咽頭収縮筋の間に感染波及→縦隔炎へ移行するriskあり

症状: 開口障害、耳痛、口蓋弓腫脹、口蓋垂が健側へ

治療: 起因菌として、連鎖球菌・インフルエンザ菌・肺炎球菌・嫌気性菌が最も考えられる→ペニシリン系+クリンダマイシンの経静脈投与が採択されることが多い

(3)慢性扁桃炎

概説: 自己免疫疾患のきっかけに

合併症: AGN、IgA腎症、掌蹠膿疱症

治療: 抗生剤+切開排膿

 

<腫瘍性咽頭疾患>

(1)上咽頭癌

概説: 男性に多い、EBV関わることも、扁平上皮癌、リンパ行性転位

予後: 転位しやすく、余後悪い

症状: ①鼻出血、②耳管狭窄、③頭蓋底浸潤=頸静脈孔症候群(CN9,10,11)

検査: ①内視鏡、②CT/MRI

治療: 1st; 放射線療法、2nd; 化学療法もよい適応

(2)下咽頭癌

*概説

輪状後部: 女性に多い

梨状陥凹: 男性に多い

(3)良性腫瘍

①血管線維腫

概説: 上咽頭に発生、思春期男児、hypervascular

良性腫瘍だが、浸潤性を持っている。

症状: 鼻閉、滲出性中耳炎、鼻出血

治療: 切除術

Cf. 頸部リンパ節転位をきたしやすい疾患

①甲状腺癌

②声門上癌、舌がん

③上咽頭癌

④下咽頭癌

⑤消化管癌のリンパ節転移

 

§喉頭

<総論>

(1)解剖生理

(2)気道狭窄と気管切開

*適応-気道狭窄

-挿管が1st choice

@*気管切開はどのような時に??

長期の挿管

挿管ができない: 外傷、腫瘍、頸髄損傷

*手技

Jackson三角: 第2-3気管軟骨輪うえ

@①底辺: 第1気管軟骨 ②頂点: 胸骨上窩

 

<嗄声>

(1)病態

image

(2)反回神経麻痺: 気息性でより重症

*解剖生理

Rt: 右鎖骨下動脈で反回 Lt: 大動脈弓部で反回

声帯: 感覚=上喉頭神経、運動: 下喉頭神経=反回神経

*原因

①末梢性: 縱隔×; 食道癌、肺小細胞癌、縦隔腫瘍

②中枢性: 頸静脈孔症候群

*症状

両側性→両側声帯閉鎖しており窒息の可能性あり

*反回神経のD/D

主訴

咽頭

気息性嗄声

=大声がでない、持続しない

中枢性

カーテン徴候、嚥下構音障害

末梢性

異常所見なし

(3)声の酷使

疾患名

片側or両側??

声帯結節

両側性

声帯ポリープ

片側or両側性

ポリープ様声帯

両側性

(4)乳頭腫: 凸凹だけど、てかっている。癌ではない。

-HPV→母子感染

-癌化することもある

→両仮声帯、声帯に乳頭状腫瘤が多発

→多発でテカッタ腫瘤なら乳頭腫疑う

(5)喉頭癌

①疫学

-口腔癌とともに発生頻度が高い扁平上皮癌

-40歳代から増加し始め70歳代がピーク、男性喫煙者に多い

-声門部癌が頻度多く、転位も少ない→治療=放射線療法@

@

声門上癌

声門癌

声門下癌

頻度

約35%

約60%

約5%

症状

異物感、嚥下痛

嗄声

咳嗽

②診断、治療: 病気の決定はTをマーカーにする

@

特徴

声帯運動

治療

T1

声帯・声門上・声門下限局

T1a=一側声帯

T1b=両側に及ぶ

制限されない

*T1~2: 放射線療法

*T1~T2放射線非制御例で、喉頭水平部分切除術

T2

領域外に進展

制限されない

T3

声門周囲への浸潤

制限される

*喉頭全摘術

→代用音声指導(食道発声、人工喉頭)

T4

喉頭外浸潤

制限される

<炎症性喉頭蓋炎>

急性喉頭蓋炎

急性喉頭炎@

急性声門下喉頭炎

(仮性クループ)

好発

欧米では幼児

日本では成人に多い

 

5歳以下の幼児

原因

インフルエンザ菌が主

咽頭痛が激しいにも関わらず、のどの所見が乏しいときに疑う。

ライノウイルス

コロナウイルス

パラインフルエンザ

インフルエンザ菌、連鎖球菌、ぶどう球菌による続発性混合感染を起こしうる

時期

 

季節の変わり目

冬季

症状

①咽頭痛、嚥下障害、発熱で発症(嗄声なし)

②急速に嚥下困難、吸気性呼吸困難、努力性呼吸が出現

③窒息死することもある

嗄声、喉頭の違和感・乾燥感、咳嗽

①声門下の粘膜腫脹

②犬吠様咳嗽、喘鳴、嗄声

③吸気性呼吸困難による苦悶状発作で夜間に発症

④脱水、チアノーゼ、窒息を起こすこともある

治療

気導切開の態勢を整え、ステロイド・抗生物質点滴静注

安静、消炎薬、去痰薬など

①アドレナリン+ステロイド吸入による粘膜浮腫軽減

②抗生物質・ステロイドの全身投与

③輸液、酸素投与

所見

     

<先天性頭頚部疾患>*治療=袋ごと摘除

疾患名

特徴

正中頸嚢胞

①甲状舌管の遺残

②舌骨レベル

側頸嚢胞

①第2鰓溝の遺残

②胸鎖乳突筋の下1/3

<外傷>

(1)顔面損傷

①鼻骨骨折: 外鼻錐体、鼻中隔→変形、鼻出血

②下顎骨折: 多い、咬合不全

③上顎骨折

LeFort

部位

症状

三叉神経×

頭蓋底部×

3

上部

咬合不全

(+)

髄液瘻、耳出血、鼻出血

2

上顎骨の眼窩壁まで

(+)

(-)

1

上顎骨歯槽

(-)

(-)

④側頭骨骨折

 

A: 縦骨折

*伝音難聴

*顔面神経麻痺

B: 横骨折

*感音難聴

*顔面神経、内耳神経麻痺

⑤眼窩吹き抜け骨折: 眼球運動×

Bruns眼振

眼科 2CK/ 日本医師国家試験対策

眼科まとめ

そもそも眼とは?眼科とは?

①光学系としての側面→その異常

②神経系としての側面→その異常

§. 総論1-光学系としての側面: 解剖生理と症候

(1)解剖生理

レンズ→網膜に光のピントを合わせる

主: 角膜→水晶体→網膜

支持物: ぶどう膜、強膜

瞳孔括約筋: 動眼神経支配

○光の通り道

角膜→前房、後房→水晶体→硝子体(99%水でできている)

:透明を維持するために血管存在しない。

:角膜内皮の役割: 細胞間の接着密であり房水が入るのを防ぐ(濁らないように)

:房水の存在により角膜の膨らみを維持できている(前眼部の構造の維持)

**水疱性角膜症

角膜内皮細胞<500/

○虹彩: しぼり; 光量の調節

縮瞳(副交感神経)/ 散瞳(交感神経)

○房水

毛様体上皮→後房→前房→隅角、線維柱帯→シュレム管→静脈

()屈折障害

①種類

結像点が網膜より前: 近視; 眼軸が前後方向に長い→凹レンズで修正する

結像点が網膜より後ろ: 遠視

近視

遠視

軸性(軸の長さによる)

凹レンズ

軸性、屈折性

凸レンズ

Cf. 乱視→どこにも結像しない

Cf. 老眼→近用眼鏡(近くを見るための眼鏡)

②検査

1. 自覚的なもの

Landolt環

5m. 1分の角度を識別できる視力を1.0とする

視力=1/最少視角(分)

2. 他覚的なもの→線状の光を入れて眼底からの反射で定量する

@検影法/オートレフラクトメーター

③具体的な症例

1.0が読めた→二つの可能性

1. 正視

2. 代償している遠視(軽症ならば補正できる)→レンズを厚くして調節できる

鑑別→凸レンズを入れる→正視ならば見えなくなる、遠視なら見える

コンタクトレンズで調節できるもの、できないもの

不同視: 左右で2D以上違う cf. 不等像視: 網膜像の大きさ異なるもの

円錐角膜: 修正可能

@無水晶体→可能

角膜ジストロフィー: 角膜の変性→調整不可能

(3)調節障害

①調節とは?→水晶体を厚くする

水晶体を厚くする: 毛様体筋収縮→Zinn小帯緩む、短くする→水晶体厚くなる

調節障害=弾性失って硬くなる

②調節力の計算

@近点: 最大調節の時にピントが合う距離

遠点: 全く調節しないでピントが合う距離

→調節力=1/近点-1/遠点(m)

= 100/近点-100/遠点(cm)

≒1/近点(m)

@網膜より前方= (+)

網膜より後方= (-)

@角膜の調節力40D >水晶体の調節力20D

§総論2: 神経系の側面-解剖生理と症候

(1)解剖生理学

網膜←脈絡膜

乳頭部: 神経節細胞が集まる→視神経

視細胞

錐体

明るい所の視力

順応

中心

桿体

うす暗い所の感覚

順応

周辺

ロドプシン: VitA

視力: 視神経→視交叉→視索→外側膝状体(neuronバトンタッチ)→視放線→後頭葉

反射:           →EW核(節前)→毛様体神経節(節後)

近見反射: 両目輻輳à 調節à 縮瞳

調節: 前房浅くなる、縮瞳、水晶体厚くなる、毛様体筋収縮

瞳孔径→加齢とともに小さくなる

(2) 弱視: 大脳における視覚野の発達障害

→小さいときに眼を使っていなかった。視覚系は生まれてから発達。Cf. 聴力は胎児から

○眼を使わなかった/使えなかった理由@

①先天性白内障

②遠視     →1. 近視は弱視にならない

③不同視(2D以上):弱い方の信号を受けれなくなる 

@④斜視     →2. 斜位は弱視にならない: 斜位は眼位はずれているが両目で見ている。

        →3. 調節性内斜視は弱視にならない: 遠視で見ようと努力しているので弱視(-); 調節と輻輳は同時に起こってしまう。

Cf. 先天性内斜視→脳腫瘍や網膜芽細胞腫も斜視の原因となる→眼底検査を行う

先天性内斜視に必要な検査: ①眼底検査②視力検査(弱視の有無)③屈折力検査(遠視による調節性内斜視)

(3)視野障害と暗点

①視野異常

視神経交差より前 →片側の視力低下

視神経交差部   →外側×

視神経交差より後ろ→同名半盲

正常視野範囲

上側

鼻側

下方

耳側

50度

60度

70度

90度

②暗点

Ltの眼底: 乳頭部が鼻側→Ltの視野: 患者が視ているオリエンテーションで表示

○暗点の種類

1. 中心暗点=注視点暗点

→①黄斑部の疾患: (1)加齢性黄斑変性、(2)DM: 出血、虚血

→②視神経の疾患: 球後視神経炎

2. マリオット盲点拡大→うっ血乳頭

3. マリオット盲点から連続≒弓状暗点→開放隅角緑内障

4. 輪状暗点: 網膜色素変性症≒桿体細胞が変性する

乳頭部の特にやられやすい部分

Seidal暗点:正中を越えないもの

Bjerrum暗点: 正中を越える

⇒どちらも中心点=注視点を避けた暗点

語呂: Sub, Beyond

Cf. らせん状(管状); 心因性

(4)色覚異常

@スクリーニング: 仮性同色表

アノマロスコープ: 上下の色合わせ⇒確定診断に必須

§総論3: その他

1. 眼窩の骨

@眼窩内に存在: 涙腺

眼窩を構成する骨:

上; 前頭骨、下; 上顎骨、外; 頬骨、後; 蝶形骨、@内側; 涙骨、篩骨、口蓋骨

2. 羞明と飛蚊症@

羞明 →前眼部の障害: 角膜炎、虹彩毛様体炎、白内障

飛蚊症→後眼部の障害: ①硝子体(混濁、血腫、後部硝子体剥離(少し網膜が剥離))、②網膜

⇒後ろの方だと十分に屈折しない??

☆羞明の原因-詳細に

1. 眼内に大量の光が入る

散瞳剤使用後、病的散瞳

2. 光の変な屈折に対する過敏反応

白内障、角膜疾患(眼瞼内反含)、虹彩毛様体炎(角膜混濁?!)、先天緑内障(角膜混濁)

3. 眼球の光に対する過敏性亢進

白子、全色盲(一色型色覚)

眼球運動痛→ 視神経炎; 視神経膜と外眼筋付着部が連続しているため

3. 充血

血管が拡張: 球結膜の血管拡張⇔D/D結膜下出血(日常的): ベターっと赤い

→①結膜充血: 周辺部、赤い(浅)

→②結膜炎:

 

結膜充血

毛様充血⇒うっ血

場所

周辺部、赤色(浅い)

結膜と瞼の折り返し→抗原が蓄積しやすい

○角膜の表層、結膜

⇒結膜表層より浅い層の問題

角膜周囲放射状、紫色(深い、静脈?)

→角膜の静脈は虹彩毛様体の深部に入ってくる

○角膜の中~深層、虹彩、毛様体

⇒結膜より深い層の問題

⇒前眼房の圧が高くて毛様血流うっ滞

原因@

*結膜炎

*表層角膜炎

*角膜実質炎

*虹彩毛様体炎:

D/D①虹彩毛様体炎: 縮瞳

②閉塞隅角緑内障: 散瞳

Cf. 球結膜充血=結膜充血+毛様充血

(まぶたの裏側の部分を瞼結膜、白目を被う部分を球結膜という)

4. 複視

急激な眼球運動障害をもたらす疾患⇒海綿静脈洞周囲の疾患

①Tolosa-Hunt症候群 ②眼窩蜂巣炎 ③眼窩先端部症候群

5. 眼瞼下垂

上眼瞼挙筋(動眼神経)

①挙筋自体の異常: 先天性、眼筋ミオパチー

②挙筋腱の伸展: 加齢性、コンタクトレンズ

③動眼神経麻痺

④神経筋接合部異常: 重症筋無力症

ミュラー筋(交感神経)

①交感神経麻痺: ホルネル症候群

5. Adie瞳孔とArgyll Robertson瞳孔

Argyll瞳孔

Adie瞳孔

瞳の状態

縮瞳していること多い(両眼性多い)

散瞳している(片眼性多い)

対光反射

消失

遅延

輻輳反射

保持

遅延

病態@

上丘レベルでの中脳水道周辺部の障害

不明。毛様体神経の異常再生と考えられている。

病因@

梅毒、松果体部腫瘍、糖尿病、MS

特徴: 深部腱反射消失を高率に合併

語呂: Argyllで服装は大丈夫だが、対人が×

Adieは強直性瞳孔→散瞳したママ動かない=反射遅延

6. 視神経萎縮

単性視神経萎縮

圧迫:外傷、下垂体腫瘍、うっ血乳頭

炎症性視神経萎縮

視神経炎

緑内障性視神経萎縮

緑内障

網膜性視神経萎縮

網膜色素変性症、長期にわたる網膜中心動脈閉塞症

§各論

<炎症性疾患>

(1)眼瞼と涙腺

①眼瞼

汗腺

Moll腺

 

脂腺

Zeis腺

眼瞼腺

急性炎症

外麦粒腫

内麦粒腫

⇒水分の蒸散防ぎたいので油が必要!!外側面は皮膚と同じ=汗腺ある!!

語呂: モーゼメ!!(Moll腺、Zeis腺、Meibome腺)

1. 急性炎症、黄色ブドウ球菌@

→麦粒腫(ものもらい)

治療: 抗生剤、切開・排膿

2. 慢性炎症

→霰粒腫: 無痛性硬結、細菌感染ではない

治療: F/U, 切開掻把

②涙腺

涙小管→涙嚢→鼻涙管を通り→下鼻道

○鼻涙管は閉塞しやすい

@涙嚢で鬱滞: 慢性涙嚢炎→周囲の蜂窩織炎→急性増悪して急性涙嚢炎へ

症状: 流涙、脂肪、内眼角の発赤腫脹

(2)結膜炎

○症状: 眼脂、眼瞼浮腫、結膜充血   cf.麻疹のカタル期→眼脂陽性

Cf. 眼脂(目からの老廃物)を認めるもの: 結膜、涙嚢、鼻涙管の炎症⇒老廃物排泄装置である涙液がうっ滞する疾患で生じる。つまり単純角膜炎では生じない!!角結膜炎では生じる!!

○原因は??⇒炎症=感染性、自己免疫性

①感染性: D/D point; 耳前リンパ節腫脹

*ウイルス性

疾患名@

原因ウイルス

潜伏期

特徴

対策

流行性角結膜炎

アデノ8

1週間

*感染力(+++), 症状(+++),

*濾胞性結膜炎(円蓋部に)

*点状表層角膜炎(視力障害のリスク)

接触感染の予防(アルコール消毒徹底)

2-4Wで自然治癒

急性出血性結膜炎

エンテロ70

1日

*結膜下出血

*耳前リンパ節腫脹は軽度

*角膜傷害は認めない

 

咽頭結膜炎

アデノ3、7

 

咽頭炎

 

左: 流行性角結膜炎 右: 急性出血性結膜炎(べたーって)

*クラミジア

 

特徴

治療

トラコーマ

急: 流行性角結膜炎に似ている→慢: パンヌス; 血管が角膜に侵入

テトラサイクリン、マクロライド、ニューキノロン

封入体結膜炎

母児垂直感染(経産道)、頸管炎

トラコーマの急性期と似ている(軽症)

肺炎などの全身症状(+)

テトラサイクリン、マクロライド、ニューキノロン

②免疫性: D/D point; アレルギー性結膜炎→掻痒感

○花粉症

*検査: 涙Eo↑、血中IgE↑

*治療: 抗アレルギー薬、ステロイド点眼

○春季カタル: Ⅰ型+Ⅳ型

Cf. ツベルクリン反応は4型

(3)角膜炎

○症状: 眼痛(三叉神経支配なので)@、異物感、流涙、羞明(前眼部の混濁)

⇒炎症は①刺激して②変性させる

①角膜への刺激(=三叉神経への刺激)眼痛、異物感、流涙

②羞明

○原因

**感染性

①細菌性(=匍行性): 外傷契機に黄色ブドウ球菌侵入→深い潰瘍形成→前房蓄膿

治療: 抗生剤点眼 

②ウイルス性: HSV-1; 三叉神経節に潜んでいる

有痛性角膜知覚低下という変な症状@

 

深さ

肉眼所見

病態

治療

上皮型

浅い

樹枝状潰瘍

ウイルスによる

ACV

実質型

深い

円盤状→虹彩毛様体炎

ウイルス+免疫応答

ACV+ステロイド

**他には: Sjogren, 顔面神経麻痺, 眼瞼内反

**水疱性角膜症

病態: 角膜内皮の障害→実質浮腫

リスク: 白内障の前房内レンズ術後

Cf. アカントアメーバ角膜炎

(4)ぶどう膜炎: key; カーテン(虹彩)の出過ぎを抑えましょう!!(抗炎症効果あり)

①虹彩毛様体炎

○病態@: ぶどう膜に炎症+前後への波及(縮瞳による)

1. 直: 虹彩腫脹→毛様充血、縮瞳 (D/D: 閉塞隅角緑内障; 充血+散瞳)

    縮瞳→前にも後ろにも炎症を播種させる

2. 前: 隅角狭く→眼圧↑、ルベオーシス(新生血管)

3. 後: 硝子体混濁

眼圧正常値: 10~21mmHg

○原因は??@

*感染性→トキソプラズマ、梅毒、結核、眼部帯状ヘルペス(菌血・V+α)

*免疫性

疾患名

特徴

ベーチェット

好中球の前房蓄膿

サルコイドーシス

本邦最多のぶどう膜炎の原因

*肉芽腫

前:豚脂様角膜裏面沈着

後:硝子体にも肉芽腫(真珠の首飾り様)

後:網膜静脈周囲炎

○治療

ステロイド(点眼)+アトロピン(散瞳させて炎症の撹拌を防ぐ)

○検査2+1所見:縮瞳、毛様充血+(前房浅い)→虹彩毛様体炎

②原田病@: 脈絡膜の炎症→@網膜剥離へ

*病態: メラノサイトへの自己免疫疾患→1. 皮膚の白斑、2. 内耳難聴

*症状: 感冒から

@1. 目への: 脈絡膜炎→眼底浮腫、蛍光漏れ→夕焼け状眼底(メラノサイト消失により赤色↑)

2. 目以外: 髄膜炎、耳鳴り

☆蛍光眼底造影で浮腫→脈絡膜炎or 網膜血管の炎症: 特徴的な限局性漿液性網膜剥離

D/D 網膜血管の浮腫なら→眼底写真で硬性白斑(+), 出血(+)

ベーチェット: シダ状蛍光漏出, ほうき状蛍光漏出

③交感性眼炎@

病態: 外傷、免疫応答

原因: 眼ぐちゃぐちゃ→ぶどう膜暴露=抗原になっている→ぶどう膜炎

治療: ステロイド(全身投与)、受傷眼の摘出

http://ri-center.w3.kanazawa-u.ac.jp/hokurikuRI_HP/pdf/saizensen06-2.pdf

3/4

白内障、緑内障

<白内障>

病態: レンズが白濁する@、比較的短期に視力障害が進行することもある

原因:

①先天性: DOWN, 風疹

②老人性: 車軸状の変性

@③続発性: ステロイド、放射線、DM、外傷性、アトピー性皮膚炎

診断: 細隙灯顕微鏡; 角膜、虹彩、水晶体前面からの反射、水晶体後面からの反射、硝子体の反射

→術後視力回復を得られるかどうか検査する必要があり、ERGが施行されることもある。

血管新生緑内障→前房浅い

治療: 白濁した水晶体を摘出+眼内レンズ@

@①嚢内摘出: 嚢ごと全部取る→レンズの固定が難しい→水疱性角膜症、硝子体前方移動=網膜剥離

②嚢外摘出: 後嚢は残す→残った後嚢の白内障

→改良バージョン=超音波吸引術: 3mmの切開でOK

挿入レンズの計算に必要なもの: 眼軸長、角膜屈折力

術前検査: 角膜内皮細胞数、②角膜形状検査(ケラトメーターなど)、③眼軸長(US Amode)

<緑内障>

(1)閉塞隅角緑内障

房水の鬱滞→眼圧↑↑

①角膜: 浮腫→光虹視

②虹彩:

*毛様充血(鬱血): 角膜周囲の血管が放射状に充血(角膜周囲の血管は虹彩毛様体に流入するので)

*散瞳: 圧によって縮瞳する筋肉麻痺してしまうから

(前房浅くなっている∵後房圧↑)

③網膜: 視力低下

治療:

①房水産生↓: 炭酸脱水素酵素阻害薬(ダイアモックス)内服

②房水吸収↑: マンニトールを点滴静注、散瞳解除(縮瞳):ピロカルピン点眼投与

補助: 周辺虹彩切除術レーザーで穴をあける→房水を後房から前房に送る=隅角を広げる、網膜への圧排を解除する→原発性閉塞隅角緑内障では薬物療法効いても施行する。

(2)開放隅角緑内障

病態: 線維柱帯の目詰まり(隅角は広い)=流れにくい→房水の軽度鬱滞→慢性、軽度、眼圧正常~少↑(日内変動大きい)

症状: 初期から傍中心暗点、神経線維束欠損を認める

①視神経乳頭部に症状→Cup/Disc比↑↑

@②弓状暗点、鼻側視野欠損(気づきにくい)

@治療:

①産生↓: 炭酸脱水素酵素阻害薬、@βブロッカー点眼

②吸収↑: ピロカルピン点眼(縮瞳)、PG点眼、(マンニトールは効果強いので急性に、逆にβブロッカーとPGは作用遅いので急性には△)

③線維柱帯切開術

まとめ

即効性

ゆっくり

房水産生低下

ダイアモックス

βブロッカー点眼

房水吸収亢進

マンニトール

ピロカルピン(散瞳薬)

PG

(3)発達緑内障@

出生時から症状

隅角の形成×→高眼圧↑

→①眼軸長↑②角膜径↑(1歳以下、≧12mm)③角膜×: 流涙、羞明④眼瞼ケイレン(眼圧↑)

(4)続発性緑内障=隅角が狭くなる

①虹彩毛様体炎

@②新生血管緑内障: 虹彩毛様に血管新生=ルベオーシス

@原因: DM 、網膜中心静脈閉塞症、ぶどう膜炎

<網膜疾患>(1)血管性、(2)黄斑疾患、(3)網膜変性、(4)網膜剥離

(1)血管性

1. DMと高血圧

*非特異的病態; 出血、虚血

DMもHTも→血管破れたり: ①RBC出血、②脂肪沈着(視神経の髄鞘に): 硬性白斑(星状斑)

      →詰まる: 虚血→軟性白斑(綿花様白斑): 新生血管できる

新生血管→①網膜前出血②硝子体出血→牽引性網膜剥離

*特異的所見; 変性

DM: 動脈瘤

HT: ①圧が高くなると→動脈がspasm生じて狭小化する(中枢も狭小)

  ②動脈硬化→内腔細くなる=銀銅線

  ③網膜動脈壁にヒアリン変性→動脈の反射↑

④交差現象→上の動脈が静脈を締め付ける

Cf. 糖尿病性網膜症と加齢黄斑変性症の眼底所見の違い

⇒加齢黄斑変性症は黄斑部周囲に注目!!網膜における出血斑だけでなく、中心性漿液性網脈絡膜症のように、黄斑部が膨隆しているはず!!

○診断:

@蛍光眼底: ①血液もれ② 無血管野③新生血管→さらに動脈瘤も明瞭にわかる

○糖尿病@

1. 突然の視力低下→①黄斑部に出血、虚血②新生血管から硝子体出血

2. 治療: 汎網膜光凝固; 虚血させ需要をへらす、硝子体切除

3. 糖尿病網膜症の分類

網膜症例期

眼底所見

治療

単純網膜症

毛細血管瘤、網膜出血、硬性白斑、網膜浮腫

血糖コントロール

増殖前網膜症

火炎状網膜出血、軟性白斑、静脈異常、網膜内最小血管異常(IRMAアーマ)

血糖コントロール+光凝固手術

増殖網膜症

新生血管、網膜前出血、硝子体出血、線維血管性増殖膜、牽引性網膜剥離

血糖コントロール+光凝固手術+硝子体手術

前増殖型と増殖網膜症はレーザー光凝固の良い適応。

○高血圧

①血圧高いこと→高血圧性

動脈硬化→銀銅線、交差現象

②合併症: 網膜静脈閉塞症; 血管閉塞が原因(DM、動脈硬化、交差現象)

出血: 火炎状出血(静脈性だが鬱滞したものが破れるので派手)

cf. 分枝閉塞:上耳側が多い(静脈は、末端部上耳側から乳頭に集まってくる)

鬱滞→新しい血液入ってこない→虚血=軟性白斑、新生血管↑↑→虹彩ルベオーシス(新生血管できはじめると進行し続け、虹彩にも及ぶ)

 

高血圧性変化

動脈硬化性変化

動脈血管狭細化

動脈壁反射亢進

血管口径不同

動静脈交差現象

出血・白斑

銅線動脈、交差現象著名

乳頭浮腫

銀線動脈

2. 網膜中心動脈閉塞症 

血栓、塞栓→血流低下→急激な視力低下  

D/D黒内症→高齢者の急激な視力低下→頸部血管雑音聴取する

○眼底検査

①Cherry red spot; 黄斑部は脈絡膜と網膜動脈の両方からサプライ受けている

虚血部位=周囲=乳白色に変化

②蛍光眼底造影

○治療

40分以内に治療しないと×: ①何とかして血を送る ②酸素高付加する

①何とかして血を送る@

1. 眼球マッサージ

2. 血管拡張薬: 亜硝酸アミル、二酸化炭素吸入

3. 眼圧を下げる→網膜血管への圧迫を下げる: 前房穿刺、炭酸脱水素酵素阻害薬

4. 血栓溶解薬: t-PA

②酸素高付加する

5. 高濃度酸素吸入: 脈絡膜側からの血流を利用して酸素供給

Cf. 急激な視力低下→眼球内、眼底に有意所見なし→視神経より脳側の疾患

@

☆急激な視力障害を呈する眼科疾患⇒視神経、網膜自体か、網膜密接器官による

1. 視神経障害

2. 後眼部疾患

①網膜動脈閉塞症②網膜静脈閉塞症③硝子体出血④網膜剥離

3. ぶどう膜炎

☆夜盲を起こす疾患

1. 先天性

①進行性: 網膜色素変性症(Laurence-Moon-Biedl症候群、Usher症候群、Refsum症候群)、など

②停止性:小口病、眼底白点症

2. 後天性

①ビタミンA欠乏

②眼球鉄錆症:眼球内、鉄異物放置

☆眼球由来の眼痛

1. 炎症

2. 角膜上皮欠損

3. 急性閉塞隅角緑内障

(2)@黄斑部

 

中心性漿液性網脈絡膜症

加齢黄斑変性症

好発

中年、男性

高齢者

病態

脈絡膜血管の浮腫→網膜盛り上がり

脈絡膜から血管増生

→Bruch膜を壊して侵入

→出血繰り返し→ 線維化

症状

軽度(自然に吸収)→変視症、遠視(網膜が前方へ)

中心比較暗点

重症→中心暗点(黄斑部の疾患なので)

初期: 変視症を認める

検査

蛍光眼底造影: 黄斑部に水がたまる

眼底:血管増生、黄斑部が赤くて白い

治療

光凝固: 吸収早める、くっつける

新生血管を選択的に焼灼する

Cf.ドルーゼン=Bruch膜の肥厚→老廃物のようなもので、これに対して軽微な慢性炎症が惹起される 

*現在、加齢黄斑変性に対して、汎網膜光凝固は殆ど行われない→代わりに光線力学療法(新生血管のみ選択的に破壊する)。

(3)変性症

○網膜色素変性症@

遺伝性: AR

病態:進行性の疾患である; ロドプシン×→杆体の変性→最終的には錐体にも変性(病末期になるまでは、黄斑部がspareされる。)

症状: 夜盲、中心視力正、輪状暗点(まず杆体から変性=周辺視力↓)

@検査: 眼底: ①骨小体の沈着; 周辺に多い、変性した視細胞のゴミ

②乳頭部委縮(軸索変性)、③血管狭小化(需要の低下)

網膜電図: 視細胞の活動を見るもの; 平坦になる

(4)網膜剥離

→二つに裂ける: 視細胞と色素上皮細胞の間で割ける⇒初期症状=光視症: 繰り返す

→脈絡膜の支持がないと栄養が不十分→長期に剥がれていると変性してしまう

@○原因

①裂孔原性剥離: 強度近視など

②滲出液性剥離: 脈絡膜に炎症→浸出液押し出す

③牽引性剥離→硝子体出血: DM

○症状

飛蚊症

裂孔原性の場合は→光視症(ポンと裂孔できた時に電気的刺激)

○検査@

①眼底検査: 直像、倒像(周辺部がよりよく見える)

②Goldman三面鏡→眼内の前部も観察可能

③エコー

④ERG: 良く見えなかったときに補助として使う

○治療

内陥術: 後ろの脈絡膜と強膜を前方へ

裂孔原性: 光凝固; 穴を塞ぐ

**網膜芽細胞腫@

視神経にそって頭蓋内に侵入+血行性転移; 骨ならロゼット形成

遺伝形式: AD

白色瞳孔

<視神経疾患>(1)うっ血乳頭、(2)視神経炎、(3)骨折

(1)うっ血乳頭 cf. 緑内障で見られるのは乳頭陥凹

①頭蓋内圧亢進

②@眼底: 乳頭1. 発赤、2. 腫脹、3. 境界不明瞭

③傍中心暗点

Cf. 眼底の乳頭浮腫がみられる病態

1. 乳頭付近の視神経を含めた炎症→原田病

2. 脳圧更新状態→脳腫瘍、悪性高血圧、高炭酸ガス血症

Cf. 視神経乳頭蒼白⇒視神経乳頭から外側膝状体までの間の視神経障害を示す。

(2)視神経炎: 視神経は黄斑部から一番投射を受けている;1-2wksの経過で急速に進行する視力低下と視野欠損

乳頭炎

疾患

症状

検査

乳頭炎

中心暗点、

*眼底: 初期変化なし→慢性で委縮=D/Dポイント

*視野検査

*視覚誘発電位VEPで潜時延長

球後視神経炎(眼球の後ろ)

中心暗点

*眼底: 初期変化なし

*視野検査

*視覚誘発電位VEPで潜時延長

Cf. 神経細胞がやられる疾患は電気的検査を試行する

①網膜色素変性症→ERG ②視神経炎→VEP

⇒刺激が入ってからが見たい=VEP

<外傷>

(1)角膜

**腐食性: 塩酸、水酸化ナトリウム

→とにかく生食で洗う(中和ではない!!!)

→@虹彩毛様体炎の予防: ステロイド、アトロピン

→感染予防: 抗生剤

**紫外線: 海、家、電気溶接

(2)眼内異物

×: MRI

○: X-P, CT, 眼内エコー

(3)骨折

①視神経管骨折@

原因: 眉弓外上側の打撲

@病態、治療: 浮腫が進行→視神経の圧迫→治療: 手術、ステロイド

②吹抜骨折

病態: 眼窩壁の骨折; 内壁と下壁の破壊→外眼筋が陥入

→動けない: 複視; 下壁=上転×、@内壁=外転×

→頬部感覚障害: 三叉神経第二枝の損傷

DD point: 動眼神経麻痺→瞳孔の異常なし

Cf. 網膜色素変性症と小口症

どちらも、夜盲症→でも進行しない小口病は視神経委縮しない

<診察、検査、治療>

(1)見える

*前眼部:

①斜照法; 斜めから光を入れて視る

②徹照法; スリットを入れて照らして反射を見る→今はやられないが細隙灯顕微鏡の原型

③細隙灯顕微鏡→角膜、前房、虹彩、後房、水晶体、硝子体

細隙灯に同時追加できる検査

検査内容

+Goldman圧平眼圧計: 左図

眼圧

+Goldman三面鏡: 右図

隅角、硝子体、網膜赤道面・周囲を観察可能

⇒前眼部、後眼部の周辺部を観察できる

網膜赤道面=網膜が始まるところ(緑丸)

*眼底

直像鏡: 観察できる範囲狭い

倒像鏡: 観察できる範囲広い→剥離はこっちでよ~~く観察

(2)見え方@

視野検査

検査名

検査内容

Goldman量的動的

*指標を動かして見える範囲を調べる

Goldman量的静的

*指標を固定して輝度を変える

*網膜のある点の感度

(3)電気生理

検査名

対象疾患

見ている物

ERG 網膜電図

網膜色素変性症、網膜剥離(広範囲)⇒網膜が広汎に変性する疾患

網膜大丈夫??

VEP 視覚誘発電位

視神経炎

視神経大丈夫??

ERG VEP検査

**VEP:

①視覚刺激により頭皮上で誘発される電位

②視神経から視中枢に至るまでの視路の他覚的検査法

③中間透光体の混濁には影響されず,高度視力障害者,意識障害患者,乳幼児でも可であり,網膜疾患と視路疾患の鑑別ができる

@**色覚異常: 錐体には3種類ある: 赤、緑、青

正常: 正常3色型色覚

色弱(赤色弱、緑色弱): 3色型色覚(弱いが認識している)

錐体が2種類(赤色盲、緑色盲): 2色型色覚

錐体が1種類: 1色型色覚

⇒赤と緑はX染色体上に並んでいる: 障害されやすい

⇒青は7qに乗っている

(4)治療

Cf. アトロピン: 散瞳は1週間ほど続く

○光凝固法の適応

①DM→汎網膜光凝固

@②未熟児網膜症→無血管野に照射して新生血管↓

③加齢性黄斑変性症→新生血管焼灼

④漿液性網脈絡膜症→吸収を良くする

⑤裂孔原性

裂孔周囲にレーザー光凝固を施し、接着力を強めて網膜剥離を予防する

→剥離したらレーザーだけでは×内陥術必要。やりうるのは裂孔だけ!!

⑥閉塞隅角緑内障: トンネルを作る

適応ないもの@

①中心動脈閉塞症

②網膜色素変性症

③黄斑円孔→黄斑部に円孔生じるので接着すればよさそうだが、錐体細胞死滅させる恐れあり行われない

○蛍光眼底造影の適応

網脈絡膜や、視神経乳頭部に病変があり、動静脈に異常を来す疾患

○超音波Bモード適応

光が網膜まで届かない時

Cf. VEPや光干渉断層検査は光が届かないと使えない

@○ヘスチャート=Hess赤緑試験: 眼球運動の検査

○Weber 麻痺
Weber paralysis
*概念
中脳大脳脚レベルの血管障害のこと。

   

Benedikt 症候群

Weber 症候群

赤核まで障害

錐体路を障害

*病因
後大脳動脈や後脈絡叢動脈脚間枝の血栓症
*症状
患側の動眼神経麻痺。
対側の片麻痺を呈する。
動眼神経麻痺で眼瞼下垂。

○コーツ病

*網膜血管拡張のため滲出液が網膜外網状層、網膜下腔に貯留し、網膜剥離をきたす。この結果視力が低下する。浸出液により多数の@硬質白斑が癒合した滲出斑が顕著に見られる。このため@白色瞳孔となる。

*@幼児期に発症し、8歳頃に診断される。片眼性が多く、その他は健康である。

○Tolosa-Hunt症候群: http://www.med.teikyo-u.ac.jp/~ortho/med/ana/ana111.htm

Painful ophthalmoplegia

*概念

眼痛(特に眼窩後部痛)と眼球運動障害による複視を主症状とする

海面静脈洞あるいは上眼窩裂部の非特異的炎症性肉芽腫が考えられている

*症状

一側の動眼神経、滑車神経、外転神経、三叉神経第1枝、第2枝、第3枝(稀)、ときに視神経、頸動脈周囲交感神経叢の種々の組み合わせの神経障害。

*検査

非特異的炎症所見

髄液: 正常が多いが、単核球優位の細胞数増多もある。

眼窩静脈造影:上眼静脈の上眼窩裂部の閉塞および海面静脈洞の充盈欠損

頚動脈造影:ときに内頸動脈サイフォン部の狭窄

*治療

プレドニゾロン1mg/kg/日の経口投与

○Usher症候群http://www.nanbyou.or.jp/entry/918

@比較的希な常染色体劣性遺伝子疾患で、難聴網膜色素変性を併発する。現在、10の遺伝子の変異が原因であることが分かっている。現在治療法は確立されていないが、将来遺伝子治療によって直すことが出来るようマウスを使った実験が進められている。

⇒メラノサイトは内耳にも存在し、光エネルギーだけでなく、熱エネルギーや音のエネルギーを吸収し限局させることに優れていることが判明している。

⇒Usher症候群はメラノサイトの異常(マクロで)⇒メラニン産生の障害度で難聴の度合い決まる?!⇒視力障害は必ず聴力障害に遅れてくる。⇒網膜色素変性は、メラニン↓による網膜の脆弱性で後発的に進行する。聴力障害は、メラニンによる音凝集能↓および防御能↓による破壊への脆弱性?!

○Laurence-Moon-Biedl症候群

*概説
 ローレンス・ムーン・ビードル症候群とは、知能障害,網膜変性,性機能低下症,多指(趾)症を伴う常染色体劣性遺伝性疾患である。
*症状
・知能障害は約80%に認められ、小児期に発生し、加齢とともに進行する。
・眼の症状は90%の症例で認められ、夜盲症が初発症状として多い
・性腺機能低下症は75%の症例で認められ女性にはまれである。
障害部位は大部分が視床下部で、一部は性腺原発である。指(趾)の異常は80%の症例で認められ多指(趾)症が多い。腎障害が高頻度に合併するといわれている。

*まとめ 5主徴
1.性器発育不全
2.肥満
3.知能低下・精神薄弱
4.奇形(多指・多趾)
5.網膜色素変性(色素性網膜炎)
6.その他:小人症

Low 知能、性機能、小人症、Moon: 肥満、網膜× Body×; 多趾症などの奇形

○多量の眼脂

→結膜、涙嚢、鼻涙管の炎症 cf. 角膜ヘルペスは眼脂

○白色瞳孔

1. 網膜芽細胞腫

2. 先天性白内障

3. 未熟児網膜症

4. 第1次硝子体過形成遺残

5. 網膜剥離

○うっ血乳頭と視神経炎

 

うっ血乳頭

視神経炎

乳頭炎

球後視神経炎

眼底

乳頭の発赤、腫脹、境界不明瞭、乳頭突出、静脈怒張

異常なし

視力

ほぼ正常、未治療では末期に低下

予後良好、初期より低下

1-2週間の経過で急激に進行

視野

マリオット盲点の拡大

中心暗点、ラケット上暗点(石津暗点)

色覚

正常

障害あり

@眼窩痛

軽い

高度

病態

脳圧亢進による

視神経自体の炎症

片側・両側

両側性が多い

片側性が多い

左:うっ血乳頭 右:乳頭炎

○未熟児網膜症

[概説]

 網膜の血管の未熟性に基づく疾患。在胎週数34週未満、出生体重が1800g未満の低出生体重児に起こり易く、生後3~6週ごろ発症する。
 ヒトの眼は妊娠第3週ころにできはじめ、眼球の形がほぼ完成するのが7週ごろ。視神経乳頭部は中央よりやや鼻側にあり、鼻側の網膜血管は妊娠第8ヶ月くらいには網膜の端まで発達し終わるが、耳側の網膜血管は長いため9ヶ月以降にならないと発達し終わらない。したがって多くは耳側の網膜に病変が起こる。

[原因]

胎児が予定より早く生まれてしまったため、網膜血管の発達が終わっていない為に生じる。
高濃度の酸素の投与も要因の1つと考えられているがこれだけが原因ではない。

[症状]

 網膜症をおこした赤ちゃんのうちの5%くらいは、急激に病状が進んで網膜が剥離し失明するラッシュ型というタイプで、このタイプは失明を予防することは困難。
出生体重が1000g未満で生存した児の4%では、血管成長の異常が進んで網膜剥離を起こし出世以後2~12ヶ月以内に失明する。

○黄斑円孔

黄斑における網膜剥離

硝子体から剥がして、ガスを充満させる

○硝子体手術

術後うつぶせ

液体+ガスで圧120%くらい

*ERG

a波: 視細胞

b波: 双極細胞などの内側層

律動小波はアマクリン細胞により形成される。

aの方が、bよりも小さい

*概説

中心動脈閉塞で、内側細胞が死滅しa波だけ目立つようになる。

律動小波は微小循環により支持されており、DMで消失する。

*正常型 

白内障、硝子体混濁

*減弱型

網膜色素変性、網膜剥離、ぶどう膜炎、進行した糖尿病性網膜症、網膜中心静脈閉塞

*消失型

網膜色素変性や網膜全剥離

*陰性型

網膜中心動脈閉そく、網膜中心静脈(虚血)、増殖糖尿病網膜症、網膜色素変性、小口病

○虹彩ブロック、毛様体ブロック

虹彩ブロック=急性緑内障→虹彩に穴を開ける

毛様体ブロック=悪性緑内障→虹彩に穴を開けても治療にならない

○Eales

*概念
網膜静脈周囲炎に基づく反復性の網膜硝子体出血。
*疫学
30歳代の男性に、好発する
片眼性から両眼性に進行する
*検査
眼底所見(白鞘形成、白線化)

 

白鞘形成

*症状
急激に発症する、高度な視力障害
*治療
対症療法(ステロイド、レーザー光凝固)

○虚血性視神経症

前部虚血性視神経症の場合は、眼底検査で視神経乳頭に特徴的な蒼白浮腫(そうはくふしゅ)(むくみ)がみられ、視神経の発赤腫脹(しゅちょう)や出血を伴うこともあります。
 後部虚血性視神経症の場合は、発症当初にはまったく眼底に異常がなく、瞳孔(どうこう)反応や視野検査や病歴などから診断することもあります。

○角膜層構造

○甲状腺眼症のサイン

Graafe徴候: 下方視しても黒目が消えない(眼球移動に上眼瞼がついていけない)

Dalrymple徴候: 正中視で上方に白目

Stellwag徴候: 瞼が閉じきらない

Giffort徴候: 上眼瞼反転不能

○甲状腺眼症

甲状腺に関係した抗体が眼球の周りにある脂肪や目を動かす筋肉の中に存在し、それが標的となって“炎症”が起こるもの。甲状腺機能亢進症(バセドウ病)でも低下症(橋本病)でも、また甲状腺機能が正常であっても甲状腺眼症は起こる。

◎眼底所見の見方(酒井式)

正常眼底 AMD

⇒層を意識すること

①加齢黄斑変性症は網膜と脈絡膜の間=ベターっと広がった出血

②網膜静脈閉塞症⇒網膜の上=まき散らす感じ=むらだらけの出血

⇒網膜色素変性症: 杆体異常つまり黄体周辺キレ~

Q: どっちがトキソ??

左がtoxoplasma

Toxoplasma眼症は網脈絡膜炎と呼ばれるように網膜と脈絡膜の間に病変を作る。そのため、辺縁がはっきりとわかる病変を形成しやすい。先天性toxoplasmaではほぼ必発の症状。

一方でCMVは網膜炎をもたらすので、病変の辺縁を追うことは難しい。網膜炎はあってもなくてもよい。

精神科 2CK/日本医師国家試験対策

精神科まとめ

§不安障害

<GAD>

*概説

制御不能な、複数の事柄に対する過剰な不安

男女比=1:2

*病歴/身体所見

1日中にわたる不安が6か月以上続く

3個以上の身体症状: 落ち着きのなさ、疲れ、集中力低下、イライラ、筋緊張、睡眠障害

*語呂: CRIFTS

C: difficulty concentration

R: restlessness

I: irritability

F: fatigue

T: Tension(Muscle)

S: sleep disturbed

*治療

①短期間療法

BDZ: 即効作用を期待できるが、依存や耐性の問題があるので、SSRIを用いて徐々にtaperingしていく。

→急激な休薬は、アルコール離脱症状様の症状を惹起する

②長期療法

1. 生活を変化させる

2 精神療法

3. 薬物療法: 1st; SSRI, 2nd~;buspirone, Venlafaxine(SNRI)

4. 患者教育は必須

*Key Fact: BuspironeもMAOIと併用すべきでない

 

<OCD>

*概説

強迫観念や衝動が社会生活に支障をきたすほどである。しばし難治性である。

典型的には、後期青年期もしくは、早期成人期に生じる

男女比=1:1

*病歴/身体所見

1. 強迫観念: 持続性の望まない侵入的な(intrusive)考え、衝撃、イメージのこと。明らかな不安や困難をもたらす。

2. 強迫行動(Compulsions): 強迫観念を中和させる、何度も繰り返す精神行動を認める(洗手、儀式、counting)

3. 患者は、強迫行動が過剰で、非論理的であることを自覚している

Cf. Obsessive-compulsive personalityとの鑑別点

4. 患者自身に治療意志がある

*治療

薬物療法: 1st; SSRI

2nd. CBT

患者教育が強く推奨される(imperable)

*Key Fact: OCDの患者は内科ではなく皮膚科が初診であることが多い⇒手の洗いすぎによる皮疹

*D/D OCD vs OCPD(OC personality disorder)

OCD

OCPD

特徴

強迫観念と強迫行動に特徴づけられる

患者は過度に良心的(conscientious)で、融通が利かない

鑑別点

強迫観念と行動の異常性を自覚しており、治療したいと考えている

その性質が問題であると考えていない

 

<Panic障害>

*概説

繰り返される予期せぬパニック発作を認める。

男女比=1: 2~3、平均発症年齢は25歳だが全ての年代で発生しうる

広場恐怖を30-50%に認める(公衆の場に一人でいること)

*病歴/身体所見

①パニック発作の定義

不連続の(discrete)激しい恐怖や不快感を認めるもの。少なくともいかにあげるもののうち4つを10分以内に満たす。

1.頻呼吸 2.胸痛 3.動機 4.発汗 5.吐き気 6.震え 7.めまい 8.死の恐怖 9.発狂の恐怖 10. 離人感 11. ほてり(hotflash)

*語呂: THe PAANIC DDD 4/11以上

T: trembling

H: hot flash

P: palpitation

A: afraid of dying, afraid of going crazy

N: nausea

I: inspiration↑

C: chest pain

D: depersonalization, diaphoresis, dizziness

②特異的な所見

1. 口部周辺または先端部の異常感覚(paresthesias)

→頻呼吸と低酸素血症をもたらす

2. 1か月以上にわたり、次回発作や発作によりおこるだろう行動変異に予期不安を感じている

③広場恐怖の有無をチェックする必要がある

→治療方針が変わってくるため

*治療

①短期的治療

BDZ(eg. Clonazepam)は即効性を期待される→徐々に減薬

②長期的な治療

1. CBT

2. 薬物療法: 1st. SSRI 2nd. TCAs

*Key Fact: BDZ系としてAlprazolamを使うことがあるが、半減期が短いので、患者はその日のうちに軽度の退薬症状を呈することがある

*Key Fact: Panicと鑑別が必要な疾患

①身体疾患: 狭心症、MI、不整脈、甲状腺機能亢進症、褐色細胞腫

②精神疾患: 薬物による不安、GAD、PTSD

 

<社会不安とspecific phobia>

*概説: 2つの区別

①社会不安

社会や、聴衆の前で発表するような状況で惹起される

特異的な、発表や公衆の面前での尿で惹起されたり、全般的には社会関係で生じる

青年期に好発する

②Specific phobia×

恐怖の対象や状況に暴露された際に生じる: ex; 動物、高さ、飛行機

小児期好発

*病歴/身体所見

事柄や状況を避けようとして、社会生活に重大な問題を抱えている

その恐れが過剰であることを自覚している

*治療

①Social phobia×

CBT, SSRI, 低用量BDZ, βブロッカー

②Specific phobia

1st: CBT

2nd: 支持的、家族的、insight-oriented psychotherapyなど

 

<PTSD>

*概説

生命を脅かすような極端な恐怖体験を契機に発症する

*Key Fact: 性別の原因順位

Male 1st: レイプ 2nd: 兵役

Female 1st: 小児期の虐待 2nd: レイプ

*病歴/身体所見

①特徴的な所見:

語呂: RAN Away; Repeating, Avoiding, Non-reaction, Awakening

1. 何度も、その出来事を繰り返し思い出す(ex: nightmare)

2. トラウマを惹起するような刺激を回避する

3. 無反応(愛情剥奪、性的冷感)

4. 覚醒度亢進(過覚醒、過度の驚愕)が機能的障害をもたらしている

②経過

1か月以上症状が続く

③補助的所見

生存者としての罪悪感、イライラ、集中力低下、記憶喪失、睡眠障害、人格変化、薬物乱用、うつ、自殺

*治療

①短期治療×

不安に対処する: βブロッカーとα2アゴニスト(ex: クロニジン)なども含む

②長期的治療

薬物療法: 1st; SSRI, 2nd~; buspirone, TCA and MAOI

BDZも効果的だが、PTSD患者は薬物依存になりやすいので可能な限り避けること

他: 精神療法やグループセラピーは有用である

Cf. GAD: 1st; SSRI, 2nd~;buspirone, Venlafaxine

*Key Fact: BDZは薬物乱用歴のある人にも避けること

 

<不安障害の薬物治療まとめ>

薬物分類

適応

副作用×

SSRI

1st line for

GAD, OCD, PTSD

吐き気、消化管の不快感、睡眠障害、性的不能、興奮(agitation)

語呂: Sex, Sleep, Rising, Intestine

Buspirone

GAD, OCD, PTSD

慢性使用による痙攣

耐性、依存性、退薬症状は認めない Because U Seizure

βブロッカー

行動不安、PTSD

徐脈、低血圧

BDZ×

不安、不眠、アルコール退薬症状、筋肉ケイレン、night terrors, sleepwalking

睡眠時間減少、乱用の危険、耐性、依存性、脱抑止→混乱

フルマゼニル(GABAに対する競合的アンタコニスト)

BDZ中毒への拮抗薬

Resedation: 吐き気、眩暈、嘔吐、注射部の痛み)

Cf. night terror vs nightmere

Night terrors

頭が休息中の深い眠りの時に起こり、覚醒することなしに恐怖の感情をコントロールしている中枢が働いてしまう→患者は覚えていない

②Night walking

小児期の男子に多くNREMの深い時期に起こる→患者覚えていない

NREM=入眠してから2~3時間後

Night mere

レム睡眠中に起こる→患者は覚えている

 

§認知障害: 記憶、見当識、判断、注意

<認知症>

*概説

認知力の全般的な低下

意識レベルは安定している D/D: deliriumでは低下

85歳以上に好発

Alzheimer病(65%)、血管性認知症(20%)、ほかの原因は語呂

*語呂: 認知症の他の原因; DEMENTIAS@

D: degenerative diseases ( parkinson’s , Huntington’s)

E: endocrine( thyroid, parathyroid, pituitary, adrenal)

M: metabolic( alcohol, electrolytes, vitaminB12, glucose, heptic, renal, wilsons)

E: exogenous(heavy metals, carbon monoxide, drugs)

N: neoplasia

T: trauma(subdural hematoma)

I: infection(meningitis, encephalitis, endocarditis, syphilis, HIV, prion, lyme)

A: affective disorders(pseudodementia)

S: stroke/structure (vascular, ischemia, vasculitis, NPH)

*病歴/身体所見×

DSM-Ⅳでは、以下の5つの条件をすべて満たした状態を認知症と定義する。 
①記憶障害がある
②失行apraxia,失認agnosia,失語aphasia、実行機能障害executive functionのどれかがある
③上記のため社会生活に支障をきたす
④上記の状態に脳などの身体的な原因があるか、あると推測できる
⑤意識障害はない

Cf. 人格や気分や行動の変化はよく認める

Cf. executive function: 計画を練ったり、組織立てたり、抽象化したりする能力

*語呂: “M”EAAA”A”SoLo”ES

Memory loss, Executive function Agnosia Aphasia Apraxia, Alert ,Social Loss, Encephalo s,

*診断

①綿密な既往歴と身体所見をとる

→MMSEを施行する

②原因がはっきりした認知症を除外する必要がある

→CBC, RPR, CMP, TFTs, HIV, B12, folate, ESR, UA やCTやMRIをとること

*Key Fact: 認知症にせん妄が合併することは良くあることだ

*治療

①環境: 同じような生活環境を維持する

②薬物療法

1. コリンエステラーゼ阻害薬

2. 低用量の抗精神病薬を精神症状・興奮(agitation)に使うことがある

→ただし、心血管系機能障害のリスクを上げる可能性がある

3. BDZは避ける: 脱抑制や混乱をもたらす

③その他

家族、caregiver、患者の教育と支持は必須(imperative)である。

*D/D delirium vs dementia

Variable

Delirium

Dementia

注意力のレベル

損傷されている(impaired)

用心深い(alert)

Onset

急性

緩徐進行性

経過

振動性fluctuating

“sundowning”

進行性に悪化する

意識

混濁

十分

幻覚

認める(視覚と触覚)

高度に進行したものの30%に認める

予後

可逆性

15%のものは治療可能のもの

他は不可逆

治療

①原疾患の治療

②低用量の抗精神病薬

③環境の変化

①コリンエステラーゼ阻害薬

②低用量の抗精神病薬

③環境の変化

 

<せん妄delirium>

*概説

短期間で進行する認知の変化を伴った意識障害

小児、老人、入院患者(eg. ICU精神病)はリスクである

主な原疾患は語呂: I WATCH DEATHであらわされる

*語呂: I WATCH DEATH

I: Infection

W: Withdrawal

A: Acute metabolic, substance Abuse

T: Trauma

C: CNS pathology

H: Hypoxia

D: Deficiencies

E: Endocrine

A: Acute vascular/MI

T: Toxins/ drugs

H: Heavy metals

*病歴/身体所見

①急性のwaxingとwaning意識障害(lucid intervalsもある)

②知覚(perceptual)の障害(hallucinations, illusions, delusions

③好戦的combative, 被害妄想的、昏迷状態stuporous

④集中力低下、睡眠サイクルの逆転、夜に症状悪化(sundowning)

*診断

①バイタル、パルスオキシメーター、血糖値をチェックする

②最近の治療薬をチェックする(ネルコチックス、抗コリン薬、ステロイド、BDZ)、薬物の使用、前回のエピソード、既往歴(medical problems)、臓器障害(肝、腎)の有無、感染症(occult UTI is common in the elderly; check UA)

③ラボデータと画像診断をオーダーする

*治療

①原疾患の治療

②脱水状態や電解質異常を補正する

③感覚環境を最適化する: ある程度の視覚刺激や聴覚刺激を与える

④低用量の抗精神病薬(ハロペリドール)

⑤身体拘束具は保守的に使用すること

 

§気分障害: 感情障害(affective disorder)

<Major depressive disorder (MDD)>

*概説

1個以上の大鬱病性エピソードにより特徴づけられる

男女比=1:2

生涯罹患率=15-20%

20歳代半ばに好発症し、年齢とともに罹患率が増加する

慢性疾患と慢性stressはリスクとなる

患者の2-9%が自殺する

*病歴/身体所見

①診断基準

抑うつ気分、もしくは性的冷感があり、

2週間に渡りSIGECAPSの内5個以上の徴候や症状を認める

S: sleep (hypersomnia or hyposomnia)

I: Interest (loss of interest or pleasure in activities)

G: Guilt (feelings of worthlessness or inappropriate guilt)

E: Energy(↓) or fatigue

C: Concentration(↓)

A: Apetite(↑or↓) or weight(↑or↓)

P: psychomotor agitation, retardation

S: suicidal ideation

-----------------------------------------------------------------------------------------------------------

②うつ病のsubtypes

1. Psychotic features

典型的には気分と一致したdelusions/hallucinatins

2. Postpartum

Postpartumの1か月以降に発症する。10%に再発のリスク。精神症状は共通している。

3. Atypical

体重増加、過眠傾向、rejective sensitivity

4. Seasonal

特定の季節に生じる、冬に多い。光線療法に良く反応し、抗うつ薬には±。

5. Double depression

大うつ病が、循環気質の患者に発症したもので予後が悪い。

*治療

①薬物療法

50-70%の患者に効果的

×効果が表れるまでに2-6週間かかる、6か月以上取り続けること

TCAの副作用=TriC’s; convulsion, coma, cardiac arrhythmias

②精神療法

薬物療法と同時に施行することで、より有効となる

③ECT電気療法

安全で、非常に効果的な治療法: 難治性うつ病やpsychotic depressionに適応がある

治療抵抗性の躁病や精神病にも適応がある。通常6-12 treatmentsを必要とする。

副作用: 発作後ケイレンpostictal、不整脈、頭痛、順行性健忘(anterograde)

×禁忌: 最近のMI/卒中、頭蓋内に塊があること、麻酔高リスク者(相対的禁忌)

④光線療法: 季節性うつ病に有効

⑤Trans cranial magnetic stimulation(TMS)

ECTほどではないが、有効である。

*抗うつ薬の適応と副作用

Drug class

Example

適応

副作用

SSRI

Fluoxetine, sertraline, paroxetine, citalopram, fluvoxamine

うつ病、不安障害

①性器能への影響、消化管障害、不眠、振戦、下痢

②セロトニン症候群

@③パロキセチン: 胎児に肺高血圧を起こしうるので、妊婦には避ける paro=PHT

Atypicals

×

Bupropion, mirtazapine, trazodone

うつ病、不安障害

BMタブリュー

M メタボ

①Bupropion: ケイレンの閾値↓、性機能への影響少ない、ケイレンリスク者の投与は禁忌(ANなど)

②Mirtazapine: 体重↑、鎮静

③Trazodone: 高度鎮静、priapism

SNRIs

Venlafaxine, Duloxetine

うつ病、不安障害、慢性疼痛

Venlafaxine:拡張期の高血圧

ventricular

TCAs

Nortriptyline, Desipramine, amitriptyline, imipramine

NO DAI

うつ病、不安障害、慢性疼痛、偏頭痛、

夜尿症imipramin

心血管系への作用

ODの時には3-4日ICUでフォローする

抗コリン作用

MAOIs

Phenelzine, tranylcypromine, selegiline( a patch form is available)

PTSD

うつ病、特に非典型的うつ病

PTSD

チアミン食(aged cheese, red wine)とともに摂ると高血圧緊急症の恐れあり。

性機能への副作用、起立性低血圧、体重増加

語呂: SSRI; SSパロッテフルオッキセルトラ、フルボッキサシタロ

Cf. 夜尿症×

:4~5歳以後に少なくとも月に1回以上の夜尿を認めるもの。乳児期から継続=1次性à TCAs(imipramine), デスモプレッシン

*Key Fact

SSRIをやめMAOIに切り替える際には最低でも2週間開けなければならない

Ex: フルオキセチンなら5週間あける

*D/D

疾患名

鑑別点

器質的疾患による気分障害

甲状腺機能低下症、パーキンソン病、脳腫瘍、腫瘍一般、卒中(特にACA卒中)、認知症、副甲状腺異常

薬物による気分障害

非合法薬、アルコール、降圧薬、ステロイド、OCPs

適応障害×

特定のストレスイベントの3か月以内に発症

大うつ病と似たエピソードを呈するが5項目を満たさない

通常の死別bereavement

機能障害や希死念慮はそれほど重篤でない

通常は6か月以内、1年以内には寛解しているべきである

Illusions/ hallucinations of the deceasedは、患者がそれを幻覚と認識しているなら病的ではない

循環気質dysthymia

軽度の抑鬱気分が2年以上続いている

通常治療に抵抗性である

*D/D Postpartum disorders

Subtype

Time of onset

Symptoms

Postpartum blues

出産2週間以内

①悲観、抑鬱、不安定な感情

②子供を傷つけるという思考はない

Postpartum psychosis

出産2-3週間後

①Delusions と鬱

②子供を傷つけようと思うことがある

Postpartum depression

出産1-3か月後

①Delusion, depressionに加えて、睡眠障害や不安を抱える

②子供を傷つけようと考える

*語呂: サイコ兄さん(2-3wks)→postpartum psychosisが2-3週でそれより前がブルースであとがデプ

 

<Bipolar disorder>

*概説

タイプ1の有病率は約1%でタイプ2は約3%である。

男女比=1:1、家族歴がある場合にはリスクは増加する。

20歳に好発症し、加齢とともに発作頻度が増していく。

10-15%に自殺を認める

*Subtypes

①BipolarⅠ: 少なくとも1回以上の躁病エピソードか混合病エピソードを認める(full manicがあればよい±MDEs)

②BipolarⅡ: 少なくとも1回のMDEと1回の軽躁病エピソードを認める.

( full manicエピソードと混合病エピソードを認めない)

③Rapid cycling: 1年以内に4回以上のMDE, manic, mixed, hypomanicエピソードを認める。

④Cyclothymic: 2年以上にわたり軽度の軽躁・抑うつ期間が持続する。

*Key Fact: MDEsはbipolarⅠでもⅡでも認めうる

*病歴/身体所見

症状の語呂= DIG FAST

歓楽的な行動に過度にのめりこむ

抗うつ薬が躁病の発症起点になることがある

*語呂×

D: distractivity(観念奔逸)

I: insomnia

G: grandiosity(self-esteem↑) /more goal directed

F: flight of ideas(racing thoughts)

A: activities/ psychomotor Agitation

S: sexual indiscretions(無分別)/ other pleasurable activities

T: talkactiveness/ pressured speech

*診断×

①躁病エピソード: 1週間以上にわたる、持続的な気分高揚感、expansive or irritable moodに加えて、3個以上のDIG FAST症状を認める。

②精神病症状: 躁状態で共通してみられる。

③症状は器質的疾患や、薬物によるものではなく、機能や社会生活に支障をきたしている。

④軽躁病: 躁病に似ているが、明らかな機能障害や精神症状を認めず、入院を必要としない。

*治療

①双極性障害のmania

1. 急性期: 抗精神病薬

2. 維持期: 気分安定薬

3. BDZ: 難治性の興奮に対して使用する

②双極性障害のdepression

1. 気分安定薬±抗うつ薬

→躁転化を防ぐために、必ず気分安定薬から投与する

2. 難治性の場合にはECTも考慮する

③重度のうつ状態や、bipolrⅡでうつ症状が優位なもの

抗うつ薬に、低用量のリチウム(血中濃度0.4-0.6mEq/L)を合わせて投与する

*気分安定薬×

Drug class

適応

副作用

Lithium

気分安定薬の1st choice

急性躁病に抗精神病薬とともに使われる

抗鬱治療の補強(augmentation)に使われる

口渇、多尿、糖尿病、振戦、体重増加、甲状腺機能低下症、吐き気、下痢、ケイレン、催奇形性(1st trimesterに使うと)、ニキビ、嘔吐

治療域が狭いが、TDMできる

血中濃度>1.5mEq/L; 失調、構音障害、せん妄、急性腎不全→腎機能低下者は避ける

Carbamazepine

気分安定薬の2nd line

抗痙攣薬、三叉神経痛の治療薬

吐き気、皮疹、白血球減少症、AVブロック、AA(CBCを2週間ごとにモニター)、SJS

Valproic acid

BPD(borderline personality d), 抗痙攣薬

GI side effect(吐き気、嘔吐)、振戦、鎮静、脱毛、体重↑

稀に: 膵炎、血小板減少症、致死的肝障害、無顆粒球症

Lamotrigine

気分安定薬の2nd line, 抗痙攣薬

霧視、GI distress、SJS、皮疹をモニターするためにゆっくり投薬

 

§人格障害

人格とは、その個人の一連の感情的・行動的特色であると定義される。また人格は一般に一定のもので、予測可能なものである。

人格障害とは、ある個人の特色が頑なで、社会に適応したものでないために、社会生活に悪影響を及ぼしている状態のことである。成人期早期から発症する。

*語呂: 人格障害の特徴

M: maladaptive不適応

E: enduring永久的な

D: deviate from cultural norms 社会的規範から逸脱する

I: inflexible 不柔軟

Cs: cause impairment in social or occupational functioning

*診断

①態度気分の変調性、滑動性そしてストレスへの対応方法を尋ねること

②患者は責任・役割そしてストレスへの対処法に慢性的に問題を感じている。患者も、自分自身の行動を否定していたり、行動パターンを変えることに困難を感じていたりする。

③しばし精神的ケアを拒否する

*人格障害の徴候と症状

image

 

<Schizophrenia>

*概説

幻覚、妄想、無秩序な思考、異常行動に加え、意識清明下での社会機能の著しい障害を認める。

①疫学

1%に認め、男女比=1:1

発症のピークは男性(18-25)が女性(25-35)より早い

冬や早春に生まれた子供に発症しやすい

1st degree relativesにリスク高い

患者の10%が自殺する

②病因

ドーパミンのコントロール障害であると考えられている

CTとMRIにて異常を認める: 脳室拡大、皮質体積の減少

*分類

①Parnoid

妄想(しばし迫害妄想)と幻覚を認める。認知機能は通常保たれている。最も予後がよい。

②Disorganized

思考パターンと行動が高度に崩壊しており、感情の平板化も認める。最も予後悪い。

③Catatonic

過剰な運動と、運動停止を認める。無言症、waxy flexibility(奇妙な姿勢で止まる)、極端なネガティブ思考、Echolalia反響言語, echopraxia反響動作も認める。

*病歴/身体所見

①診断

6か月以上にわたり、継続的に6項目以上の社会的職業的機能障害を認める

1. 陽性症状: a. 幻覚(多くは幻聴)、b. 妄想 c. 無秩序な話d. 奇怪な振る舞い(bizarre) e. 思考障害

2. 陰性症状: a. 平板感情 b. 感情反応、c. スピーチ下手、d. 目的を欠いた行動、e. 性的冷感

②鑑別疾患

1. Schizophreniform disorders(シゾ風の)

統合失調症の症状を認めるが、症状持続が6か月に達さない

2. Schizoaffective disorder(シゾadding)

統合失調症に加え、MDDかBPDの症状を認める

疾患名

期間、特徴

精神病

Brief psychotic disorder: 1day~1month

Schizophreniform disorder: 1~6months

Schizophrenia: 6months~

Schizoaffective disorder: Schizo+ MDD or BPD

人格障害

Schizotypal: magical thinking(SchizoThinking)

Schizoid: loners

*治療

①抗精神病薬: 長期間のフォローアップ

②支持的療法: 社会スキルのトレーニング、vocational職業リハビリ、疾患教育

*抗精神病薬

Drug class

適応

副作用

定型抗精神病薬

×

ハロペリドール、ドロペリドール、フルフェナジン、チオリダジン、クロルプロマジン

クロールのプロフルチンドロまみれでハロー

①精神疾患、急性の興奮、急性のマニア、トゥレット症候群

②統合失調症の陽性症状により効果的(D2受容体をブロックすることで)

③コンプライアンスの悪い人は非定型薬や、depot form(ハロペリドール、フルフェナジン)への変更を考慮する

①EPS

②抗コリン作用

③NMS

→ICUで支持療法を提供し、ダントロレンかブロモクリプチンを投与する

非定型×

①クロザピン、リスペリドン(長時間作用型のdepot injectionが可能)

②クエチアピン、オランザピン、ジプラシドン、アリピプラゾール

①統合失調症の1st lineである(EPSと抗コリン作用少ないので)

②クロザピンは重度の治療抵抗性タイプと重症遅発性ジストニアに対し限定的に使われる

①体重増加、DM2、過眠、鎮静、QT延長症候群

②無顆粒球症: 毎週CBCを行う必要がある(clozapine)

*EPSと治療法

Subtype

Description

Onset

治療法

Acute dystonia×

長期にわたる、痛みを伴った筋肉の収縮やspasm(斜頸torticollis, 眼球上転発作oculogyric crisis)

Hours

①急性治療薬: 抗コリン薬(ベンズトロピン、ジフェンヒドラミン)

②予防投与: 抗コリン薬(ベンズトロピン)

Dyskinesia

偽性パーキンソニズム(ひきずり歩行shuffling gait, 歯車様筋固縮cogwheel rigidity)

Days

①抗コリン薬(ベンズトロピン)かドーパミンアゴニスト(アマンタジンを投与する)

②神経抑制薬の投与量↓または、休薬をする(耐性完成しているならば)

Akathisia

主観的、客観的落ち着きなさ

→悩んでいると思われる

Weeks

①神経抑制薬を減量し、βブロッカー(プロプラノロール)を試す

×②ベンゾジアゼピンか抗コリン薬が効果的かも

→病態に則するか、鎮静するか

Tardive dyskinesia

非自発的な、無痛の口部の動き。慢性のdopamine阻害によるdopamine感受性亢進によると考えられる。

50%が不可逆的

Months

①神経抑制薬を投与中止するか、減量する; より適切な治療薬に切り替える(クロザピン、リスペリドンなど)

②抗コリン薬を投与したり、神経抑制薬を減量することは、当初dyskinesiaを悪化させるかもしれない

§Childhood and Adolescent Disorders小児期と青年期の疾患

<Attention-Deficit Hyperactivity Disorder (ADHD)>

*概説

持続的な著しい不注意と、過活動性を特徴とする。男児に多く、典型的には3-13歳の間で認める。しばし家族性を示す。

*病歴/身体所見

診断には6か月以上にわたり、少なくとも2つの状況(家、学校など)で、①不注意と②過活動性のカテゴリーから6個以上の合致を認め、それにより重大な社会的、学業的問題を抱えていることが必要である。いくつかの症状は7歳に至るまでに発生している必要がある。

①不注意:

1. 学業と遊びにおいて注意力散漫を認める; 2. 詳細に注目できず、ケアレスミスが多発する; 3. 話しかけられたときに聞いていない; 4. 指導に従うことや仕事を完遂することが難しい; 5. 仕事を完遂するために必要な持ち物をなくす; 6. 忘れたり、気が逸れたりする

②過活動性/衝動性

1. そわそわする; 2. 教室で席を立つ; 3. 不適切に走り廻る; 4. 静かに遊べない; 5. 過度に話す; 6. 相手の番にまてない; 7. 他人を邪魔する

*治療

①非薬物療法: 初回治療は薬物治療ではなく行動療法などを施行する。砂糖や食品添加物は病因とは考えない。

②薬物療法:

1. 精神刺激薬: メチルフェニデイト(Ritalin), デキストロアンフェタミン(Dexedrine), デキストロアンフェタミンとアンフェタミンの混合剤(Adderall), アトモキセチン(Strattera)、ペモリン(Cylert)

副作用: 不眠、イライラ、食欲低下、チック、成長速度低下(治療中止後に回復する)

2. 抗うつ薬(SSRI, nortriptyline, bupropion)、α2アゴニスト(クロニジンなど)

<広汎性発達障害 pervasive developmental disorders PDD>

*概説

①社会性、コミュニケーション能力、行動における成長遅滞を呈する疾患群である; 自閉症、アスペルガー、小児期崩壊性疾患(Child hood dis integrative disorder、Rett症候群)

②男児に多く、症状の強度やIQ値は疾患ごとに大きく異なる

*Key Fact: PDDを見たら、TSやFragileXなどの先天的疾患を考慮すること

*病歴/身体所見

①3歳までに、活動や興味の対象が限定的で、社会性とコミュニケーション能力に乏しいという特徴現れる

②社会行動の発達障害を認める(social smile, eye contactなど)、人間関係に興味を持たない

③話し言葉の発達が遅れるもしくは欠如する

④話し方や身振りのステレオタイプがある(hand flappingなど)、興味が限定的である(ある物のパーツなど)

*PDDのタイプ

①自閉症

重度の言語と認知を伴った社会性とコミュニケーション能力の障害(impair)を認める。また、特徴的な限定的な行動の反復を認める。

②アスペルガー症候群

言語と認知の遅れを伴わない自閉症

③Rett症候群

遺伝性の女性における神経変性疾患。生後5か月までは正常に発達するが、それ以降、言語・頭の成長・cordinationなどに進行性の障害を認める。

④CDD小児期崩壊症候群

2歳まで正常な発達を認めた後、重篤な発達退行を認める。(言語、運動擬術、社会擬術、膀胱・腸管運動・遊び)

*治療

①集中的な(intensive)特殊教育、行動療法(management=特殊療法)、症状志向性薬物療法(攻撃性に対する神経抑制薬投与、ステレオタイプ行動に対するSSRI投与)

②家族療法とカウンセリングが必須である。

<Disruptive behavioral disorders破壊的行動障害>

*概説:反抗挑戦性障害oppositional defiant disorderや行為障害conduct disorderなどを含む

*病歴/身体所見

①反抗挑戦性障害oppositional defiant disorder×

6か月以上にわたり、権力者に対して、否定的、挑戦的defiant、反抗的disobedientで敵対的な態度をとる。行為障害に進行することがある。

*治療

個人療法(individual therapy), 家族療法

②行為障害conduct disorder:

1年以上ににわたり、他人の基本的人権や年齢に相じた社会規範やルールを持続的に迫害し続ける。攻撃的な行動をとる(レイプ、強盗、動物虐待など)。成年期に反社会的人格障害に進行する。

*Key Fact: “C”onduct dis order=”C”hildren, “A”ntisocial=”A”dult

 

<Mental Retardation>

男性であること、染色体異常があること、先天的な感染があること、催奇形物質、代謝異常、妊娠期のalcoholや違法薬物の使用との関連がある。

*病歴/身体所見

×①18歳以下に発症し、IQ<70で適応機能(衛生、社会スキル)の欠陥を認める。

②重症度分類

Mild

IQ: 50~70

Moderate

IQ: 35~50

Severe

IQ: 20~35

Profound

IQ: ~20

*治療

①1次予防

発達遅滞の原因となることについて教育史、周産期に母親に最適なスクリーニングを施行する。

②治療

家族相談と家族支持。スピーチ及び言語療法、作業療法、理学療法、学習補助、社会スキルのトレーニング

<Tourette’s syndrome>

*概説

①男性に多くみられ、遺伝性の傾向を示す

×②ADHD、学習障害、OCDと関連がある。

*病歴/身体所見

①18歳になる前に発症し、

②1年以上にわたり、多発する運動チックと言語チックを認め、社会生活や職業活動に障害を認める。

*治療

①薬物療法

抗ドーパミン薬(ハロペリドール、ピモジド)もしくは、クロニジン

②その他

行動療法とカウンセリング→社会適合性と協調行動獲得に有益

§Miscellaneous Disordersその他

<Substance abuse/dependence>

(1)Substance abuse: 1個以上の症状を一年以内にみとめる

①仕事や学校や家で責任を果たせなくなる

②危険な状態で薬物を使用する(飲酒運転、中毒状態で運転)

③薬物の使用中に法律違反を起こす

④薬物のせいで、繰り返し社会的、対人的interpersonal問題を起こしているにも関わらず、使用を続ける(薬物使用に関する配偶者との議論)

(2)Substance dependence: 3個以上の症状が1年以内に認める

①耐性ができており、=直接作用を得るために過剰な量の薬物を摂取する

②薬物をとらないときに退薬症状を認める

③薬物の限量や禁止に失敗する

④薬物を得るために長時間かける(錠剤を得るために沢山の医師に回る)

⑤生活動作life activitiesから孤立する

⑥意図しているよりも多量の薬物を摂取してしまう

⑦薬物のせいで、繰り返し社会的、対人的interpersonal問題を起こしているにも関わらず、使用を続ける

*語呂: WITHDraw IT 3個以上/7を1年以内に認める

W: withdrawal

I: Interest or Important activities given up or reduced

T: Tolerance

H: Harm(Physical and psychosocial) with continued use

D: Desire to cut down/ control

I: Intended time/ amount exceeded

T: Time spent obtaining/ using the substance is↑(life activities↓)

*診断/治療

患者本人は薬物使用を否定したり、少なく宣告したりする。そのため家族や友達からも情報を求める必要がある。

尿中や血中の薬物をスクリーニングし、LFTs(肝機能検査)と血中エタノールレベルも検査する。

*薬物乱用の徴候と症状

Drugs

依存

耐性

Intoxication

Withdrawal

精神

身体

Alcohol

+++

++

++

脱抑制、感情不安定、不明瞭スピーチ、失調、興奮、失神、幻覚

記憶障害、判断障害、昏迷

①1~2日: 早期離脱症候群

不安、焦燥、振戦、発汗、BT↑、BP↑

②2~3日: 振戦せん妄(重症)

振戦++、せん妄(意識↓、興奮、幻覚)、発汗、BT↑、BP↑

Opioids

+++

+++

+++

①急性: 多幸、陶酔感、呼吸抑制、縮瞳

②慢性: 便秘、栄養↓

③ナロキソン、ナルトキソンが拮抗薬

④オピオイド再開する前にはアンタゴニスト(ナロキソンなど)がウォッシュアウトされていること確認

①自律神経の嵐(鼻汁、くしゃみ、流涙、嘔吐、下痢、散瞳など)

②オピオイドの退薬症状は、死には至らず、ケイレンモないが全身痛が生じる。

Barbiturates

++

+++

++

意欲、認知力の低下、構音障害、眼振、高度では呼吸抑制(safety marginが狭い)

痙攣発作、不安、せん妄

⇒致死的心血管系collapse

Benzodiazepine

±

+

±

意欲、認知力の低下、構音障害、眼振、高度では呼吸抑制(軽度)

⇒高齢者の不眠には使用を避ける∵low doseでも逆説的興奮が生じうるから

痙攣発作、不安、せん妄

⇒頻脈、死

Amphetamines

+++

-

++

①統合失調症に似るが、疎通性は保たれ幻覚妄想が場面的

②交感神経症状: 散瞳、頻脈、ケイレン、発熱、発汗、不安、狭心症

③ハロペリドールを重度の興奮に投与し、症状をターゲットとした投薬も行う(antiemetics, NSAIDS)

Pos use “crash”: 疲労感、不快な夢、不眠・過眠、食欲亢進、精神運動制止、興奮

Cocaine

+++

-

-

①多幸、陶酔感

⇒不安、幻覚(cocaine bug)、散瞳、血圧↑、sudden death、胸痛(虚血による)

②ハロペリドールを重度の興奮に投与する。高血圧のコントロールも共に行うこと。

Post use “crash” : 疲労感、不快な夢、不眠・過眠、食欲亢進、精神運動制止、興奮

PCP

     

①攻撃的、反抗的、垂直/水平眼振

②重度の興奮に対してBDZやハロペリドールを投与する

③尿の酸性化、胃洗浄⇒体内からの排泄↑

GItractから何度も再吸収されるので、中毒症状が何度も繰り返す

⇒突然の暴力性

LSD

+

-

+

①不安、鬱状態、幻覚、妄想、フラッシュバッグ、散瞳、発汗

⇒感覚↑(色がより鮮やかに感じる)

②支持的カウンセリング

③精神症状に対して、抗精神病薬

④不安にたいしてBDZ

None

Marijuana

++

-

-

酩酊状態、知覚異常(eg. Slowed sense of time)、幻覚、食欲亢進、口渇感

⇒労働意欲低下、不安

None

Caffeine

     

落ち着きのなさ、不眠、利尿、筋肉のtwitching、不整脈、頻脈、紅潮

頭痛、昏迷、うつ、体重増加、渇望

Nicotine

     

落ち着きのなさ、不眠、不安、不整脈

イライラ、頭痛、不安、体重増加、渇望、徐脈、集中↓

*Key Fact: pinpoint pupilがなくてもオピオイドは鑑別に入れること

一緒に他の薬を飲むことで正常瞳孔、散瞳を呈することあり

⇒呼吸数、注射瘢、呼吸音を検査すること

 

<Alcoholism>

*概説

①×男女比=4:1で21-34歳に好発する。(ただし女性の発症率も増加傾向にある)

②家族歴と関連がある

*病歴/身体所見

①表参考

②手掌の紅斑と毛細血管拡張も他の末端器官の徴候や症状とともにチェックする。

*診断

CAGE質問表を用いてスクリーニングする。退薬症状の証拠を得るためにバイタルサインをモニターする。ラボで肝機能、LDH、MCVを検査する。

C: Cut Down

A: annoyed

G: guilty about drinking

E: eye opener?

1個以上のイエスはアルコール中毒の存在を示唆する

*治療

①他の医学的疾患を否定する。電解質異常等。

②退薬症状に対してベンゾジアゼピン投与する。幻覚と精神症状に対しハロペリドールを投与する。

③マルチビタミンと葉酸を投与する。グルコース投与前にチアミンを投与する(Wernicke脳症予防)

④痙攣発作の既往があれば、抗痙攣薬投与する

⑤group療法、ジスルフィラム、ナルトレキソンはアルコール依存の患者に効果的な可能性がある。

⑥長期間のリハビリ(Alcoholic anonymous匿名性の互助会)

*合併症

①消化管出血: 胃潰瘍、静脈瘤、マロリー・ワイス

②膵炎、肝臓疾患、DTs(Delirium Tremens振戦せん妄)、幻覚、神経障害、心筋障害、外傷のリスク↑(硬膜下血腫など)

Cf. 振戦せん妄: アルコールの離脱症状の1つで、著明な自律神経機能亢進や幻覚などが症状

 

<Anorexia Nervosa>

*概説

①リスク因子: 女性、低い自尊心、高い社会経済的地位

②OCD、MDD、不安症、キャリア、趣味: モデル業、バレー、体操gymnastic、ランナーなどにも関係するとされる

*病歴/身体所見

以下のような診断項目がある

①BW<85%

②通常の体重を維持するのを拒絶する、体重が増えることに対する激しい恐怖心、ボディーイメージの崩壊(自身をデブと認識している)、無月経

③制限するか(calorie制限、過度な運動)、過食して出す(嘔吐、下剤、利尿薬)

④徴候と症状: 衰弱状態、BMI18以下、うぶ毛、乾いた肌、徐脈、傾眠、低血圧、寒がり、低体温(35度以下)

*診断

①BMI, CBC, 電解質, 内分泌, ECGをとる

②精神科疾患の評価→併存症の有無をみる

*治療

①まず、カロリーを監視し、不足した栄養素を補給し体重を安定させる

②次に体重増加に集中する

③栄養素を補給したり、水分を補給したり、電解質を補正する必要があれば入院させる

④医学的に安定した後に、個人療法・家族療法・グループ療法を開始する

→併存するdepressionや心配症も治療する

*合併症

①MVP、不整脈(電解質異常)、低血圧、徐脈、無月経(3回連続して)、ネフローゼ、骨粗鬆症、多発骨折、汎血球減少、甲状腺異常

②自殺と医学的合併症での死亡率>10%

*D/D Anorexia vs Bulimia

Variable

Anorexia Nervosa

Bulimia Nervosa

Body image

Body imageの乱れがある

→嘔吐や過度な運動

Body imageの乱れがある

→嘔吐や過度な運動

過食

±

±

体重

標準体重以下(15%以上)

標準体重以上

病識

病気により苦悩しているわけではなく、治療困難

病気に悩まされていて、治療容易

治療

①カロリー摂取と体重増加をモニター、必要なら入院

②精神療法

③合併症の治療

①精神療法

②±抗うつ薬

<Bulimia Nervosa>

*概説

ANより女性の間で良く認める。低い自尊心、気分障害、OCDと関連している。

*病歴/身体所見

診断基準は以下のとおりである

①標準体重または標準体重以上であり、3か月以上に渡り、少なくとも週に2回、過食と代償行為(purging, fasting)を繰り返している。

②患者は病識をもっており、その行動を隠したがる

③徴候: 1. 歯のenamel溶解 2. 巨大耳下腺 3. 手甲に吐きダコ

*治療

①精神療法: 行動とbody imageの修正

②抗うつ薬: うつ状態の患者にも、非うつ状態の患者にも効果的である

*合併症

Constitutional

Cardiac

GI

GU

Other

衰弱cachexia

低体温

疲弊感

電解質×(K↓、pH異常)

不整脈

突然死

低血圧

徐脈

QT延長

歯の溶解と腐食

腹痛

胃内容排出の遅れ

無月経

ネフローゼ

皮膚: 産毛↑

血液: 顆粒球減少

神経: ケイレン

筋骨格: 骨粗鬆症、疲労骨折

Constitution: 体質

 

<Sexual Disorder>

*Sexual Changes with Aging 性機能の老化

①通常、加齢とともに性行為への興味は薄れていく

②男性: 女性よりオルガニズムまで多くの刺激が必要、オルガズムの激しさ↓、次のrefractory periodまで長い

③女性: 加齢とともにエストロゲン↓腟乾燥し粘膜菲薄化=性交時苦痛↑⇒ホルモン補充療法やクリームでの補助が必要

*Paraphilias性的倒錯

①概説×

異常な性的ファンタジー、衝動、行為に6か月以上に渡り没頭し、臨床的に重大な障害を人の生活に及ぼしていること。Pedophilia(小児愛)を含む。発症はほとんど男性に限られており、思春期か思春期前には始まっている。

②治療

1. insight oriented therapy 洞察療法と行動療法

2 抗アンドロゲン薬(Depo-Provera); hypersexual paraphilic activityに使われていた

*paraphiliasの特徴

Disorders

Clinical Manifestations

Exhibitionism

性器を他人に見せることで性的に興奮する

Pedophilia

子供と性行為をすることに興味をもったり実際にする

Voyeurism(覗き)

脱衣や性行為をしていると思われる人を覗く

Fetism

無機物を使って性的興奮を得る(しばし服)

Transvetic fetishism

女装、男装をして性的興奮を得る

Frotteurism

同意を得てない相手に性器を擦り付けることで性的興奮を得る

Sexual sadism

相手に罰を加えることで性的興奮を得る

Sexual masochism

傷つけられたり、脅しつけられたりすることで性的興奮を得る

*Gender Identity Disorder 性同一性障害

①強く持続的なクロスジェンダーへの渇望をもち、現在割り当てられている性自体、もしくは、その性の役割に不快感を持っている。内性器の異常は伴わない。反対の性の服をきたことや、性ホルモンをとったことがある。性転換手術を試みている。

②女性よりも男性に多い障害である。うつ病、不安症、薬物乱用、人格障害と関連する。

③治療: 治療は困難である。

1. 文化的に受け入れられている行動を教育したり、併存症の治療をしたりする。

2. 性転換手術やホルモン補充療法を施行する

3. 精神療法は補助的効果をもつ

*Sexual dysfunction

1. 性的興奮、欲求、オーガズム、性行為中の痛みなどの問題を抱える

2. 有病率は30%(約1/3)である。1/3は身体的な原因があり、他の2/3は精神的な原因がある。

3. 治療: 状況に応じて施行する

a. 薬物: シルデナフィル(Viagra)、ブプロピオン(Wellbutrin)

b. 精神: 五感へ働きかける

 

<Sleep disorders>

アメリカ人の1/3は睡眠障害に罹患する。

Dyssomniaとは、睡眠リズムやパターンに何らかの乱れを生じている状態のことである。

リスク因子: 女性であること、精神的・医学的疾患が存在すること、薬物乱用、加齢

*KEY FACT: SEX SLEEP障害 1/3

*原発性不眠症

①一般人口の30%に影響する、精神的・身体的疾患によらない不眠のこと。不安により増悪し、思考が十分な睡眠をとることに支配されていることがある。

②診断: nonrestorative sleep、入眠障害や睡眠維持に問題を抱えており、1か月の間その症状が週に3回のペースで現れる。

③治療:

1st line: 睡眠環境を整える

2nd line: 薬物療法; 初めは2週間までの短い使用にとどめる

薬物: Diphenhydramine(Benadryl), Zolpidem(Ambien), Zaleplon(Sonata), Trazodone(Desyrel)

Drug(Diphenhydramine) for ZZZ(Zolpidem, Zaleplon, traZodone)

*Key Fact: 推奨される睡眠環境

①一定の睡眠サイクルを作る

②カフェイン摂取を抑える

③昼寝を避ける

④夕方に温かい風呂に入る

⑤ベッドは睡眠か、性行為をするための場所にする

⑥日中の早い時間に運動する

⑦リラックス技術

⑧寝る前に食べ過ぎない

*原発性過眠症

①診断: 1か月以上にわたり、日中または夜間に過度の眠気を感じており、その眠気が医学的疾患、精神科的疾患、薬物、睡眠環境、睡眠不足、ナルコレプシーによらないもの。

②治療:

1st line: アンフェタミンのような精神刺激薬

2nd line: 抗うつ薬(SSRIなど)

*ナルコレプシー

①人口の0.16%に影響する。一般的に30歳未満の人に発症する。あるタイプのナルコレプシーは遺伝する。

②診断:

1. 臨床徴候:

a. 少なくとも3ヵ月に渡り、過度の日中の眠気、REM sleep latencyの短期化

b. 睡眠発作は、典型的症状である

2. 特徴的な過度の眠気

a. cataplexy: 突然の筋緊張の低下

b. Hypnagogic hallucinations: 入眠時の幻覚

c. Hypnopompic hallucinations: 起床時の幻覚

d. 睡眠麻痺: 起床時の短期間のマヒ

③治療

計画的な昼寝と精神刺激薬

×CataplexyにはSSRIを投与する。

*睡眠時無呼吸症候群

①症状: 過剰な日中の眠気、睡眠の乱れ、SBP↑、肺高血圧、突然死(infantsとelderly)、頭痛、うつ病

②分類と鑑別点

呼吸中枢×(CSA)

閉塞性×(OSA)

特徴

朝の頭痛、夜間の複数回覚醒

いびき

リスク: 男性、肥満、上気道手術歴、鼻中隔の偏位、巨大口蓋垂、巨大舌、下顎後退(retrognathia)

検査

呼吸運動正常⇒SpO2正常

呼吸運動低下⇒SpO2低下

治療

Mechanical ventilation(BiPAP)

CPAP

①肥満の解消

②小児→アデノイド切除

*Circadian rhythm sleep disorder

①概説:

1. 求めている睡眠時間と実際に取れる睡眠時間のずれが生じる疾患群

2. サブタイプ: jet-lag, shift-work type, delayed sleep phase type, unspecified

②治療:

1. jet-lag type(時差ボケ): 2-7日で自然寛解することが多い

2. 交替勤務制: 光線療法

×3. 薬物療法: oral melatonin; 睡眠の5時間半前に投与する

 

<Somatoform and Factitious Disorders>

*概説: 医学的に予見できないような身体症状を呈する

①Somatoform disorder(そのまんま ディスオーダー)

患者は症状に関する意識的なコントロールをしない

②Factitious disorder虚偽性障害

症状を偽ったり、自らを傷つけることでシックロールを演じる

女性に多い

③ミュンヒハウゼン症候群: 慢性重症のものを特に呼ぶ

身体所見と症状を偽り、不必要な検査や手術を受けようとする

医療関係者に多い

④代理母ミュンヒハウゼン症候群

誰かを病気にして、心配する介護者を演じるのを楽しむ

*Key Fact: D/D Factitious vs Malingering

Conscious and intentional processがあるかどうかで鑑別する

Factitiousにはない

*Somatoform disorders

疾患

臨床症状、疫学

Somatization disorder

①複数の慢性的な身体症状が異なった臓器系から生じる: GI、生殖期(月経不順)、神経系(異常知覚)そして痛みの訴えなど

②医学的検索、手術; 重大な機能障害

③男女比=1:20 30歳以下での発症が多い

④コンサルタントや専門家とコミュニケーションする特定の介護者と、定期的なアポをとる

Conversion disorder

①医学的に予見できない経過で、症状もしくは自発的な運動機能や感覚機能の欠損を認める

②ストレスや激しい感情と時間的に密接な関係がある

③若い女性、低いSES、低学歴がリスク

④自然寛解するが、精神療法が効果的

Hypochondriasis

①医学的保証にも関わらず、重大な疾患なのではないかとの恐怖に支配される⇒重大な社会的障害をもたらしている

②しばし、身体疾患の既往がある:不安不安

③男女比=1:1、成人で発症する

④グループ療法と、介護者とアポを取り、定期的に面会をする

Body dysmorphic disorder

①醜形なのではないかという恐怖に支配されている

②歯科医や形成外科医を頻繁に訪れる

③女性がやや多い。うつ病と関係する。

④SSRIが有効なことがある。

Somatoform pain disorder

①痛みの強さや詳細が、内科的過程と一致していない

②精神的要因と密接な時間関係がある

③女性により多く、発症のピークは40-50歳である。うつ病と関係する。

④治療

1. リハビリ(eg. 理学療法)

2. 精神療法、行動療法⇒痛み止めは効果がないこと多い

3. 薬物: TCA、SNRIが有効

 

<Sexual and Physical abuse>

①概説

被害者の多くは35歳以下の女性である。Riskは以下の通り。

1. 家庭不和marital discordの経験がある

2. 薬物乱用者

3. 薬物乱用している夫を持つ

4.妊婦、SESの低い人(差し押さえ命令を受けている等)

⇒子供の時虐待を受けた経験がある人は、大人でも虐待を受けやすい

*Key Fact

Sexual abuserの多くは、男性で、被害者をよく知っている人が多い(特に家族)

②病歴/身体所見

1. 多数の身体的不調や説明できない治療の遅れたキズを有しており、しばしERに訪問する。アイコンタクトを避ける傾向がある。

2. 子供は早熟の性的行動を示すことがあり、生殖期やアナルのtrauma、STD、UTI、精神疾患を持っている

3. パートナーが示す手がかり: 患者への質問に答える、診察室から離れることを拒否する

③治療

1. 患者の家庭内での安全性と、頼れる親類を調べる

2. 医学的治療を施し、感情的な支援とカウンセリングを提供する

3. 支援施設に関する情報を提供し、適切な方法で紹介する

4. documentationは必要不可欠である

<Suicidality>

①概説: 年間3万人が自殺で命を落としており、アメリカで8番目に多い死因である。17-20分に1人が死んでいる計算となる。

②リスク因子

語呂: SADPERSONS

S: sex; male

A: age; >45

D: Depression

P: previous attempt/Famili history

E: Ethanol/ substance abuse

R: rational thought

S: Sickness (chronic illness)/ stressor

O: organized plan/access to wepons

N: No spouse

S: Social support lacking

+family history, recent severe stressors

*Key Fact

Suicideは15-24歳では3番目に多い死因である

③診断

1. 精神科的評価をする

2. 家族歴、企図歴、死に対する両価性(ambivalence)、hopelessnessを聞く

3. 希死念慮、企図、計画、利用可能な手段などを直接聞く

④治療

1. 希死念慮の強い患者は、患者の意志に関わらず入院させる必要がある

2. 抗うつ薬処方開始後は自殺率↑∵自殺するエネルギーが戻るから